3.[数字・鷲図案 PFENNIG 1878-1887]1)1878年10月1日発行外信用10ペニヒ葉書(紅色) 上の葉書が、ドイツ帝国最初の外信葉書です。しかも、PFENNIGEという通貨単位表示が、PFFENIGに改められた最初の葉書でもあります。さすがに外信葉書ともなると海外の目を意識したのか、切手の場合と同じく、ようやく葉書にも鷲の部分にエンボスが施されました。もともと最初から施されていたバイエルン王国の葉書は除いて、ドイツ統一後最初のエンボス加工の葉書と言えます。ただ、見た目は豪華なのですが、利用者が裏面に通信文を書くときにエンボスが邪魔で、その凸凹を避けて書いている例がいくつもあります。 この葉書は、ドイツ語とフランス語の二カ国語表示で、( )の中がフランス語です。 枠線の違いと点線欠け有無があります。さらに、文字のエラーがいくつか知られています。 印面と周囲の枠は、最初発行されたときは上の写真のように濃く鮮やかな紅色のインクで、後に桃のような色のインクで刷られました。これは当時発行されていた切手の色調の変化とほぼ同じです。また、用紙の変化もあり、後期になると、セーム色(暗い赤茶色)から明るいクリーム色に変わります。 外信用10ペニヒ葉書(桃色、用紙セーム色) 外信用10ペニヒ葉書(桃色、用紙クリーム色) 2)1879年発行市外用5ペニヒ葉書 市外用5ペニヒ葉書と5ペニヒ往復葉書が、PFENNIGEという通貨単位表示から、ようやくPFFENIGに改められました。印面の違い以外に、前シリーズとの変化はありません。 上の写真は、市外用5ペニヒ葉書の使用例です。これは、デンマーク宛で、本来10ペニヒであるべきところを5ペニヒ分不足になったため、未納扱いになり、四角にTの文字の印が葉書の左側に押されています。印面の右に見える6 1/4という数字は、不足分の5ペニヒをフランスの通貨で換算した場合の不足金額です。(100サンチーム=80ペニヒで換算。)受け取った国では、これを自国の通貨に換算して、手数料を加えて徴収しました。 3)1879年7月15日発行外信用10ペニヒ往復葉書返信部 上の葉書は、ドイツ帝国最初の外信往復葉書の返信部の使用例です。1883年9月にパリからドイツへ差し出されています。 4)1882年1月発行
葉書の製造管理用のマークとして、従来の点線欠け以外に、新たに製造年月が追加されたシリーズです。製造年月の数字は、葉書の右下に印刷されています。最初は、「月 年の下2桁」と間に空白があったのですが、途中からこの空白がなくなります。1887年2月まで印刷されましたので、番号は1 82から287まであります。 5)1886年発行外信用10ペニヒ葉書 外信用10ペニヒ往復葉書往信部 外信用10ペニヒ往復葉書返信部 1886年から外信葉書のデザインが一新されました。印面の図案やエンボス加工は変わらないのですが、書体を太くしたり、赤い枠線の上に「DEUTSCHLAND.-ALLEMAGNE.」の二カ国表示を明記したり、フランス語の()を省略したり、外国宛にはあまり意味がないと判断されたのか、ドイツ語の「An」(〜宛)の文字を省略したりと、いろいろ変更されています。 なお、同じ時期にバイエルン王国でも、同様の外信葉書のデザイン変更がありました。 枠線の違いがありますが、詳細は省略します。 6)1887年2月発行 住所欄注記入り
一番下の点線の左に住所記載に関する注記「Wohnung(Strasse und Hausnummer)」が入ったシリーズです。市外用5ペニヒ葉書と5ペニヒ往復葉書で、しかも1887年2月の印刷のものしかありません。往復葉書が難関です。 7)1887年2月発行 太線入り
前シリーズの下から2段目の点線を長くして太い横線が追加されたシリーズです。市外用5ペニヒ葉書と5ペニヒ往復葉書にあり、1887年2月印刷からあります。 さて、1887年2月印刷に3種類の葉書があることにお気づきになられたでしょうか? そうです。4)、6)、7)の3つのシリーズには、すべて1887年2月の製造年月の番号(287)があるのです。 [ワンポイント] このシリーズは、製造上のバラエティが多いので、専門的に集めると大変面白いシリーズです。前述の入手困難な往復葉書以外はどれも集めやすいのですが、点線欠けや製造年月のバラエティの完集は相当の努力が必要です。 1887年2月印刷に3種類のシリーズがあることに注意してください。つまり、葉書の右下に287の製造年月がある葉書が3種類あることです。 この葉書には、ドイツ統一前のステーツ時代の古い消印や、試行的に使用されてすぐに廃止された機械印が見られます。これらに着目して集めると、収集の幅が広がります。 ドイツ統一前のステーツ時代の箱形印 試行的に使用されてすぐに廃止された機械印 |
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