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3.[紋章図案 PFENNIG単位]
紋章図案 PFENNIG(ペニヒ)単位は、1876年から1900年まで発行され、細かなバラエティを除いて全部で20種類あります。
1) 1876年1月1日発行
市外用5ペニヒ葉書
[トピック] この葉書の未使用は、バイエルンの葉書の中で、最難関の一つ
通貨単位が1876年1月1日に変更された際に、印面部分だけを入れ替えて発行されたものです。印面以外は基本的に前年までのKRUEZER(クロイツェル)単位のものと変わりません。
5ペニヒの額面は以前の2クロイツェルに相当するのですが、実際に2クロイツェルを換算すると約5.7ペニヒになるので、若干切り捨てられた形です。これは、近隣のドイツ諸国の市外用葉書料金が一律5ペニヒ料金であったので、あわせざるを得なかったためと思われます。
この葉書を見分けるポイントは、印面の右上と左上の丸の中に数字の5が入っている所です。紋章図案KREUZER葉書の印面の特徴を思い出してください。切手として存在しない額面である2クロイツェルは数字の2、切手として存在する額面である1クロイツェルはポストホルンが入っていたはずです。(確認される方はこちらを参照してください。戻るときはブラウザの戻り機能をお使いください。)ところが、この当時は5ペニヒ切手が発行されていましたので、これでは切手と葉書が同じ図案を使っていることになってしまい、今までの方針に合っていません。これに気づいたバイエルン郵政局は、直ちに変更したものを発行しました。それが次のシリーズの5ペニヒ葉書です。
すばやく差し替えたためか、未使用はほとんど残っていないようです。古くから、宛名や消印を削って未使用に見せかけた偽物があったらしく、いろいろな文献に警告文が載せられています。(しかし、実際にそうやって未使用に偽造するのは至難の技のような気もしますが、とにかく、そういう偽物があるのだそうです。)
ところで、葉書の中央上にある紋章の中央部分の形状に注目すると、印面にエンボス加工されたものと異なっているのがわかります。(図版で確認できるでしょうか。)葉書の中央上にある紋章の方は従来の盾の形をしていますが、印面のエンボスの方は新しい楕円形です。実は、切手の方が先に1874年から紋章の形状の変更が始まっていて、葉書もそれにならって変更したのです。印面が切手の原版を使っているのですから自然とそうなったのかも知れません。しかし、葉書中央の印刷の方は、なぜか1879年の改訂まで従来の紋章が使われ続けました。
2) 1876年発行
市内用3ペニヒ葉書
市外用5ペニヒ葉書
市内用3ペニヒ往復葉書往信部
5ペニヒ葉書の改訂版(右上と左上の丸の中にあった数字をポストホルンに差し替えた版)と、新たに市内用3ペニヒ葉書と、往復葉書が追加されたシリーズです。
往復葉書が古くからのシリーズの形式をそのまま踏襲していることに注目してください。つまり、まだ形式の統一は完全ではなかったのです。
3) 1877年発行
市外用5ペニヒ往復葉書往信部
5ペニヒ往復葉書の書体とレイアウトを普通葉書の形式にあわせたものです。これで、ようやくすべての葉書の形式が統一され、シリーズとしてまとまりのあるものとなりました。
[1878年以降のシリーズの続きがあります。こちらをクリックしてください。]
[ワンポイント]
Königreichの字体の相違による版の違いで集めたり、文字抜けなどのエラー物を集めるのがよいでしょう。著名なエラーとして、Anの文字抜けがあります。また、往信部の文字の間違えも有名です。この間違えは、POSTKARTEのOの下にある「(Rückantwort・・・)」の文字「R」が「N」になったものです。ドイツ特有の印刷体文字の「R」が「N」によく似ていることからきたエラーなのですが、その文字自体が日本人には読みにくいため、うっかりすると見過ごしがちです。うまく探せば思わぬ掘り出し物が見つかるかも知れません。詳しくは、参考文献をご覧ください。
1879年から発行された紋章図案の改訂シリーズと大変よく似ているため、誤って売られることが多々あります。特に駄物を高価な物と間違えて売られるケースがあります。(おそらく意図的な間違いです。)紋章の形状には十分注意してください。
往復葉書の使用済が高価で苦労するシリーズです。最初の5ペニヒ未使用は別格として、努力すればある程度揃えることができるでしょう。
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