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[概説] [ワンポイント]

ルーマニア占領地区

1)第1次加刷

 第1次加刷葉書は、1917年6月1日(金)から発行され、全部で2種類あります。

10バニ葉書、ブカレストの初日印(6月1日)

10バニ葉書、3行検閲印付き

10バニ往復葉書往信部

10バニ往復葉書返信部

 第1次加刷は、Militärverwaltung in Rumänien(軍政下のルーマニア、の意味)を略したM.V.i.R.を枠内に配した加刷です。この加刷は、下の「10 Bani」の部分がベルリンで、上の「M.V.i.R.」の部分がブカレストで行われました。このため、両者の加刷文字の配置は、ずれているのが普通です。

 ところで、往復葉書の台葉書は、ドイツ本国で国内料金と外国料金が同一の10ペニヒとなった1918年10月1日(火)から発行されたドイツ語表記のみの往復葉書です。国内で使用するため、当然、フランス語表記はありません。ところが、その葉書が、1年以上前の1917年6月発行のこの加刷に使われているという事実が興味深いところです。製造時期を特定するため、初期使用例の調査が必要です。


2)第2次加刷

 第2次加刷葉書は、1917年7月から発行され、全部で2種類あります。

10バニ葉書

10バニ往復葉書往信部

10バニ往復葉書返信部

 第2次加刷は、別々に加刷していたものを1つにまとめて、他の占領地区と同じようなスタイルに改めたものです。往復葉書に、10の数字とBaniの通貨単位との間が狭い/広いのタイプ違いがあって、専門的に集めると3種類になります。

 上の写真で、10バニ往復葉書往信部に貼られている切手は、ルーマニアの収入印紙に加刷した強制貼り付け切手です。


3)第3次加刷

 第3次加刷葉書は、1918年3月から発行され、全部で2種類あります。

10バニ葉書

10バニ往復葉書往信部

10バニ往復葉書返信部

 第3次加刷は、ルーマニアのCotroceniにおいて和平条約が結ばれたため、「M.V.i.R.(軍政下のルーマニア)」の表示を「Rumänien(ルーマニア)」の表示に改めたものです。10の数字とBaniの通貨単位との間が狭い/広いのタイプ違いがありますので、専門的には3種類、もっと細かいバラエティを入れると4種類集めることになります。


4)第9軍加刷

 第9軍加刷葉書は、1918年3月から発行され、全部で3種類あります。

10ペニヒ葉書

10バニ往復葉書往信部

10バニ往復葉書返信部

 第9軍はフォクシャニ(Focsani)、ガラツィ(Galati ドイツ名Galatz)、ブザウ(Buzau ドイツ名Bezeu)で後方支援業務に従事していた軍で、その第9軍専用である旨の文字(Gültig 9.Armee)を枠で囲んだ加刷の葉書が使用されました。いずれもブカレストの北東部にある町で、一番近いブザウまでは約90kmあります。なお、地名の表記は、ルーマニア語の特殊文字を使用していないので、正確ではありません。

 上の写真で10ペニヒ葉書の使用済みは、消印と検閲はブカレストで行われていますが、裏面を見るとブザウで差し立てられています。


[ワンポイント]
 第一次世界大戦占領地区の中でも、このルーマニア占領地区は一番多くの加刷タイプがあります。そのかわり消印のほとんどがブカレスト(Bukarest)で単調ですが、気をつけて集めていると他の地域のものも見つけることができます。

 なお、第9軍加刷のGültigのüのウムラウトが欠けているものをたくさん見かけます。エラーものではありますが、正規のものと同じくらいありふれているので、高価になることはありません。

 第9軍加刷葉書の使用済が入手難関です。特に最後に発行された往復葉書がもっとも難しく、収集家が残した使用例でさえ入手に苦労するでしょう。

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