目 次
ドイツ・ステーツ
ドイツ 1872
ドイツ 1873-1932
ドイツ 1933-1944
 はじめに
 ヒンデンブルク・メダル図案
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統一後のドイツ

[ワンポイント]

ヒンデンブルグ・メダル図案葉書

1)1932年発行

市内用5ペニヒ葉書

 最初のヒンデンブルク・メダル図案の葉書です。1932年10月1日(土)に、それまで発行されていたヒンデンブルク図案の切手が、需要の少ない80ペニヒを除いてこのメダル図案に切り替えられたときに、葉書も同時に改訂されたものと思われます。ただし、改訂されたのは市内用5ペニヒ葉書のみで、やはり需要の少ない外信用15ペニヒ葉書はそのままでした。外信用葉書は、次のシリーズで改訂されます。このとき、市外用6ペニヒ葉書の図案は、切手の場合もそうでしたが、エーベルト大統領のままでした。このため、図案以外の形式は、前シリーズと同じで、差出人住所氏名欄の間隔が上下21ミリの狭い方です。この21ミリのものは、ヒンデンブルク・メダル図案としては、この5ペニヒ葉書しかありません。
 1932年発行ですが、カタログでも1933年発行のシリーズと並べて掲載されるので、便宜上ここに入れています。


2)1933年発行

市内用5ペニヒ葉書

市外用6ペニヒ葉書

市外用6ペニヒ往復葉書往信部

市外用6ペニヒ往復葉書返信部

外信用15ペニヒ葉書

間隔24.5ミリ(新) 間隔21ミリ(旧)

 差出人住所氏名欄を改訂して発行されたシリーズともいうよりも、むしろこれが最初のシリーズ(全種類図案統一シリーズ)といえます。このとき、エーベルト大統領図案の市外用6ペニヒ葉書も間隔24.5ミリのものが出ていますが、すぐに上の6ペニヒ葉書に置き換えられました。これで、大統領図案は、このヒンデンブルク・メダル図案にすべて置き換えられた形になります。切手の場合も同じく、全ての額面が置き換えられました。


3)1933年発行 改色

外信用15ペニヒ葉書

 外信用15ペニヒ葉書と往復葉書の色を、紅から赤紫に変更したものです。次のシリーズとよく似ていますが、葉書中央の縦罫線の太さが違いますので注意してください。1878年以来外信葉書の色は、1924年の灰青という例外を除いて、伝統的に赤であったのに、なぜこの色に変更したのかは、不明です。


4)1933−1934年発行 改訂

市内用5ペニヒ葉書

市内用5ペニヒ往復葉書往信部

市内用5ペニヒ往復葉書返信部

市外用6ペニヒ葉書

市外用6ペニヒ往復葉書往信部

市外用6ペニヒ往復葉書返信部

外信用15ペニヒ葉書

外信用15ペニヒ往復葉書往信部

外信用15ペニヒ往復葉書返信部

3行(新) 5行(旧)

 葉書中央の縦罫線の太さを細くして(正確には3本を1本にして)、さらに差出人住所氏名記載欄の行数を5行から3行に減らしたシリーズです。用紙の色も、それぞれの額面に2種類ずつあります。


5)1934年発行 気送管郵便用葉書

 地下に埋め込まれた土管に郵便物を入れて空気圧で送る気送管郵便用の55ペニヒ料金の葉書です。55ペニヒ切手はありませんので、この葉書のみの額面です。55ペニヒの内訳は、市内用葉書料金5ペニヒ+気送管料金10ペニヒ+速達料金40ペニヒでした。
 第二次世界大戦が長期化すると物資も人手も不足し、節約の必要が迫られました。それで、1941年5月16日(金)の通達で、気送管郵便の速達の扱いが廃止されます。従って、気送管郵便料金は市内用葉書料金5ペニヒ+気送管料金10ペニヒ=15ペニヒになり、この葉書も自然と使われなくなりました。


6)1943年発行 加刷

往信部に6ペニヒ加刷

返信部に6ペニヒ加刷

 戦争の長期化で物資が不足し、需要が多い市外用6ペニヒ葉書が不足がちになってきたため、ベルギーのブリュッセルの航空分遣隊に従事するベルギーおよびオランダの労働者が使用する専用の往復葉書の余りを利用することになりました。往復葉書の往信部と返信部を切り離して単片葉書にし、それらに6ペニヒ加刷を施して発行されました。国内用の葉書にフランス語表記では具合が悪いので、文字を黒線で消しています。


[ワンポイント]
 紅色の外信用15ペニヒ葉書が難しい他は、入手しやすいシリーズです。複数のシリーズがときどき混乱して売られることがあり、注意が必要です。使用された時期がちょうど激動の時期に当たり、ズデーテン地方、オーストリー、エルザス、ロートリンゲン、ルクセンブルクでの使用例も見られますし、いろいろ検閲印もありますので、歴史に興味のある方には面白い収集対象です。

 また、次の総統図案が発行される1941年まで長期に渡って印刷されたので、特に最後のシリーズは未使用・使用済とも大量に残されています。使用頻度の少なかった外信葉書は終戦前まで使用されています。それでも残品を処理できず、終戦後のフランス占領地区、イギリス占領地区で加刷された例があります。

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