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[ワンポイント]

在モロッコ局 Deutsche Post in Marokko German Post Offices in Marocco

 1899年12月20日(水)、ドイツはモロッコに最初の郵便局を開設しました。これに備えてドイツ本国の切手や葉書にMaroccoとだけ加刷したもの、すなわちドイツ通貨のものが用意されましたが、発行直前にモロッコ通貨が下落したことから、急遽現地通貨のCentimos(センチモ、センチモス)を加刷したものに置き換えました。これは、切手や葉書が投機目的で購入されることを防ぐために行われたものです。なお、最初に用意したMarocco加刷葉書は、不発行葉書として市場に出回っています。

[郵便局の開設]

 モロッコでは、以下の郵便局が開設されました。

開 局 日 局  名
1899年12月20日 タンジール(以下ドイツ語表記 Tanger、フランス語表記 Tangier)
1899年12月20日 カサブランカ(Casablanca)
1899年12月20日 ララシュ(Larache)
1899年12月20日 マサガン(Mazagan、1911年からMasagan、現ジャディーダ、El Jadida)
1899年12月20日 モガドール(Mogador、現エサウーイラ、Essaouira)
1899年12月20日 ラバト(Rabat)
1899年12月20日 サフィ(Saffi、Safi)
1900年7月11日 マラケシュ(Marrakesch、Marrakesh)
1901年5月27日 アルカサル(Alkassar、現クサルエルケビル、Ksar el Kebir)
1901年5月27日 フェス(Fes、Fès)(実際はFesのMedina地区)
1901年5月27日 メクネス(Meknes、Meknès)
1902年10月27日 フェス・メラー(Fes-Mellah)(FesのMellah地区)
1906年12月19日 テトゥアン(Tetuan、Tétouan)
1908年10月1日 アゼンムル(Asimmur、Azemmour)
1911年5月12日 アシラ(Arsila、Asilah)(5月1日の説があるが消印では12日が最初)


1)数字・鷲図案Centimos加刷葉書

モロッコ用5Centimos加刷葉書

ドイツ・外信用10Centimos加刷葉書

 数字・鷲図案Marocco加刷葉書は1899年12月20日から発行され、4種類あります。5ペニヒ葉書に5Centimos(センチモ、センチモス)、10ペニヒ葉書に10Centimosの額面が加刷されました。1年程度の使用期間ですが、使用例は多く残されていますので、入手は難しくありません。余談ですが、当時の通貨の換算は、25Centimos=20ペニヒでしたので、ドイツの葉書の額面と加刷の額面の換算比率は、少し違っています。

 上の写真で、10Centimos加刷葉書は、マラケシュ局の1900年8月22日の使用例です。この宛先は、当時切手収集家として有名であったオイケン陸軍中尉宛で、葉書の文面によると「(マラケシュの郵便局は)7月11日に開局した」と書かれており、当時の収集家達はこういう郵便局の開局情報を連絡し合っていたのでしょう。


2)ゲルマニア図案Marocco加刷葉書(1次)

モロッコ用5Centimos加刷葉書

 ゲルマニア図案Marocco加刷葉書(1次)は1900年から発行され、5種類あります。この加刷の書体は、後のドイツ印刷書体でないものです。

 上の写真は、5Centimos加刷葉書に同じ活字の5Centimos切手貼った使用例で、消印はアルカサル局の1902年3月15日のものです。

モロッコ用5Centimos加刷葉書

 上の写真は、5Centimos加刷葉書にドイツ印刷書体の3Centimos切手を2枚貼った使用例で、消印はタンジール局の1905年11月30日のものです。この2つの書体の違うシリーズの組み合わせは、よく見かけます。


3)ゲルマニア図案Marocco加刷葉書(2次)

モロッコ用5Centimos加刷葉書

 ゲルマニア図案Marocco加刷葉書(2次)は1905年から書体を変更して発行されたもので、7種類あります。台葉書の種類によっては入手が難しいものがあります。

 上の写真は、5Centimos加刷葉書に5Centimos切手を貼った使用例で、消印はフェス局の1906年1月6日のものです。


4)ゲルマニア図案Marokko加刷葉書

ドイツ・モロッコ用5Centimos加刷葉書

 ゲルマニア図案Marokko加刷葉書は、1911年からMaroccoの綴りをMarokkoとドイツ風に改めたもので、不発行を含めて5種類あります。第一次世界大戦勃発後の1914年8月に、フランス地区にあった在モロッコ局が閉局になったと同時にこれらの葉書も使用されなくなったため、実際には5種類中1種類しか使用されませんでした。

 上の写真が、唯一使用された葉書です。すでに、1907年11月15日(金)からドイツ宛がモロッコ内と同じ料金に値下げされていたため、この葉書はドイツ・モロッコ両用の葉書でした。

 この唯一使用された葉書に、すかしの文字が「I」になったものがあり、古くから少ないことが知られています。少ないとはいうものの相当数見つかっているのですが、ある古いカタログでこれが「現存1点である」と書かれていることから、これを根拠に、事情を知らない収集家向けに法外な値段で売られることがあります。そのような価値はありませんので、入手には十分注意が必要です。実際、未使用や使用済みまで市場に残っているので、現存1点のはずがありません。


[ワンポイント]
 なんと言っても、Marocco加刷とMarokko加刷の切手との混貼りや、消印もMaroccoからMarokkoに変更されたことから、その消印との組み合わせがポイントです。すなわち、Marocco加刷葉書にMarokko加刷切手やMarokko表記の消印が押されているものなどは、ぜひ入手したいところです。しかし、売り手もこの辺の事情を熟知しているので、相当の出費を覚悟しなければなりません。

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