[概説] [ワンポイント]
シュレスヴィヒ
1)紋章図案
1920年1月25日(日)に発行された第1地区・第2地区両用の紋章図案葉書は、全部で3種類あります。
7 1/2ペニヒ葉書(適応料金なし)
市内用10ペニヒ葉書
市外用15ペニヒ葉書
このシリーズの葉書は、いろいろな切手との組み合わせがあるので、大変面白いシリーズです。
まず、この葉書が発行された25日までドイツ本国の切手が有効でしたので、それとの混貼りがあります。実際はポストに投函後翌日収集されたもの、つまり、翌26日の午前中まで有効でした。
次に、早々にデンマークへの帰属が決まった第1地区ではこの葉書が5月27日(木)まで有効でしたので、5月20日(木)に発行された第1地区専用の加刷切手との混貼りがあります。
さらに、この葉書は第2地区では6月23日(水)まで有効でしたが、国際監視委員会が撤退した6月16日(水)から第2地区ではドイツ本国の切手が有効になったので、それとの混貼りもあります。
上の写真で7 1/2ペニヒ葉書は、7 1/2ペニヒ分の切手を貼って市外用葉書にしたものです。この7
1/2ペニヒ葉書は、発行されたときから適応料金がなく、印刷物なら5ペニヒなので料金過剰、市内用葉書なら10ペニヒで料金不足、という中途半端なものでした。そもそも7
1/2ペニヒという料金は1919年9月末までの市内用葉書用で、なぜこの額面を用意したのかは不明です。
シュレスヴィヒ葉書とドイツ切手、および、ドイツ葉書とシュレスヴィヒ切手の混貼りの使用例は、こちらを参照してください。
2)第1地区用
1920年5月20日(木)に発行された第1地区専用の紋章図案葉書は、全部で2種類あります。
7エーレ葉書(適応料金なし)
市外用10エーレ葉書
このシリーズの印面の図案は、右下の通貨単位(Øre、エーレ)の違い以外は、最初のシリーズと全く変わらない図案です。「1.ZONE」の加刷の文字は黒ではなく、わずかに光沢のある暗い青です。前シリーズの両地区用の切手が5月27日(木)まで使用できたので、その切手との混貼りが存在します。また、この葉書は7月17日(土)まで有効でしたが、7月9日(金)から第1地区ではデンマーク切手が使用されたため、その切手との混貼りも存在します。
5月20日(木)時点の葉書料金は、市内用が8エーレ、市外用が10エーレでした。従って、7エーレ葉書は最初から料金不足でした。ちなみに、7エーレは印刷物料金です。では、印刷物用葉書かというとそうではなく、「POSTKARTE(葉書)」とはっきり書かれています。全シリーズもそうですが、こういう中途半端な額面の葉書を発行した意図がわかりません。
上の写真は、2点とも記念押印です。なぜかというと、一見するとどちらも適正料金(7エーレ葉書には1エーレ切手が貼られているので8エーレ料金の葉書)ですが、実は、7月1日(木)から葉書が市内・市外とも15エーレに値上げされていて、それにもかかわらず、消印がいずれも7月のものだからです。
3)公用
最初の3種のシリーズにCISの文字が加刷されたものです。これはシュレスヴィヒの州都であったフレンスブルク(現在、ドイツ最北端の町)に置かれた国際監視委員会用のもので、現在まで未使用とごくわずかの使用例しか知られていません。その未使用も、委員会が1920年6月16日(水)に撤退した後、8月頃に焼却処分されたので、残存数が大変少なく高価です。
[ワンポイント]
各々のシリーズは使用期間が重なる時期があり、それに注目して集めるのがよいでしょう。組み合わせを整理すると、ドイツ切手と両地区用の葉書との混貼り(発行当初とドイツへ帰属直前の2通り)、両地区用の切手と第1地区用の葉書との混貼り(その逆もあり)、デンマーク切手と第1地区用の葉書との混貼りです。これに、途中の料金値上げもからみますので、大変興味深い収集対象です。これらの混貼りの面白さは当時の収集家も知っていて、さかんに作られました。特に最初の1日しかないドイツ切手との混貼りは、かえってありふれていて珍しくはありません。後押しもたくさんあると思われます。
何と言っても公用葉書が難関です。大変高価で、入手には十分注意が必要です。次に、第1地区の葉書がやや入手難ですが、その他は比較的容易に入手できます。
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