目 次
ドイツ・ステーツ
ドイツ 1872
ドイツ 1873-1932
ドイツ 1933-1944
ドイツ在外局
ドイツ植民地
ドイツ海軍艦船郵便
第一次世界大戦占領地区
ベルギー軍占領地区
ドイツ住民投票地区
ダンチヒ
メーメル
ザール
第二次世界大戦占領地区
地方発行
 地方発行−概説
  地方発行
連合軍占領地区
西ドイツ
ベルリン
東ドイツ
統一後のドイツ

[概説] [ワンポイント]

地方発行(第二次世界大戦直後)

1)地方発行の例1(加刷とメータースタンプ収納印)

表書きはプライバシー保護のため消しています。

 上の葉書は、オルデンブルク(Oldenburg)管轄の各郵便局で発行されたものです。戦前の葉書の印面(右上)と標語(左下)の部分を黒で抹消しているところは、第二次世界大戦後の各占領地区で発行された葉書と同様の形式です。しかし、これが地方葉書として区別されている特徴は、左上に見える独特の赤い収納印です。
 この赤い収納印は、オルデンブルクの局で戦前から使用されていたメータースタンプを流用したもので、数字の6は6ペニヒを表しています。メータースタンプがなぜこの位置にあるかといいますと、通常の位置ではちょうど右上の黒い部分にかかってしまい、見えなくなってしまうからです。
 メータースタンプの下に黄色の切手(6ペニヒ)が貼られていますが、これは1946年3月1日(金)から葉書料金が12ペニヒになったので、不足分の6ペニヒを切手で補ったためです。


2)地方発行の例2(メータースタンプ収納印)

表書きはプライバシー保護のため消しています。

 上の葉書は、ブレーメン(Bremen)管轄の各郵便局で発行されたものです。こちらは、第二次世界大戦後のイギリス占領地区で発行された暫定葉書に、戦前から使用されていたメータースタンプを使用しています。前述のオルデンブルクのメータスタンプとよく似ていますが、わずかに違いがあります。
 イギリス占領地区の暫定葉書は、販売されるときに葉書の左下に収納印を押すように義務づけられていました。印面部分に「6ペニヒ収納済み」と表示があるのですが、この収納印を押してはじめて有効になるというもので、戦後の混乱による流出防止が目的であったと考えられています。収納印は、販売の際に通常の日付印や専用の収納印が押されましたが、ブレーメンの局だけは収納印を手で押す手間を省いて、メータースタンプで代用したのです。一見すると(緑色の)印面部分の6ペニヒにさらに6ペニヒを追加して12ペニヒを収納したかのように見えますが、それは間違いです。
 メータースタンプの左に紫色の切手(6ペニヒ)が貼られていますが、これは1946年3月1日(金)から葉書料金が12ペニヒになったので、不足分の6ペニヒを切手で補ったためです。


3)地方発行の例3(手押し印)

表書きはプライバシー保護のため消しています。

 上の葉書は、ヴェーゼルミュンデ(Wesermünde)局で発行された例です。戦前の葉書の印面(右上)と標語(左下)の部分を木片のようなものに黒インクをつけて抹消しています。葉書の中央やや上の位置に紫の箱形印が押されていますが、これが収納印です。
 紫色の切手(12ペニヒ)が貼られていますが、これは1946年3月1日(金)から葉書料金が12ペニヒになったので、不足分の6ペニヒを切手で補うべきところ、おそらく、差出人は持ち合わせがなかったので12ペニヒ切手を貼ったものと思われます。


[ワンポイント]
 地方発行は、戦後の混乱期でもあり、各地で独自の判断で行われたため、多種多様に存在します。これだけでも一大テーマになってしまうほど懐の深い分野です。さしあたっては、メータースタンプの押されたもの、いろいろな料金収納印の押されたものを集めるとよいでしょう。手押し抹消印は、いろいろなコルク印が使われたいわゆる「ザクセンの抹消」と呼ばれるポピュラーなものから、桁違いに難しいものまであります。

 新発見のものについては、売り手ではなく買う側の責任、ということが暗黙の了解になっています。新発見のものが「地方発行」として一般に認知されるのに時間がかかります。場合によっては、プライベートな記念品、あるいは偽物である、と結論づけられる場合もありますので、安易に飛びつくのは禁物です。

 近年、地方発行の葉書のカタログ評価が極端に値上がりしています。しかし、売り手はこれにあまり追随している様子はなく、カタログ評価だけが一方的に値上がりした感じです。しかも、どの葉書も一律いくら、という評価価格の付け方で、残存数の偏りが多い地方発行葉書の実際の価値が、そんな簡単に一律的になるものか?という疑問があります。集める側も、カタログに煽られることなく、冷静に判断した方がよいと思います。
 正直言って、簡単に偽造できるこの手の葉書に、珍しいからと言って高額な投資をするのは無謀であり大変危険です。

このページの先頭に戻ります。

トップページに戻ります。

Copyright © S.Stein 1997-2022