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[概説] [ワンポイント]

上部シレジア

1)楕円図案

 1920年2月20日(木)に発行された楕円図案葉書は、全部で2種類あります。

市内用10ペニヒ葉書

市外用15ペニヒ葉書

 楕円図案は、中央に額面の数字を配して、「上部シレジア」を表すフランス語(Haute Silésie)、ドイツ語(Oberschlesien)、ポーランド語(Gorny Slask)を入れたものです。なお、ポーランド語の綴りは、特殊記号を略して表示しているので、正確ではありません。葉書の上にも、3カ国語で「葉書」を表す文字が、左からドイツ語、フランス語、ポーランド語の順に入れられています。この葉書は切手と同じくパリで印刷され、当時のフランスの葉書に使われていた暗い色調の用紙が使われています。


2)鳩図案

 1920年3月に発行された鳩図案葉書は、全部で2種類あります。

市内用10ペニヒ葉書

市外用15ペニヒ葉書

 楕円図案から、平和の象徴である鳩を使った図案に変更されたシリーズです。それ以外は、様式も用紙も前シリーズと同じです。この葉書は1922年7月10日(月)までの長期にわたって使用されました。発行して間もない5月6日には、ドイツ本国のインフレの影響で、料金値上げが行われたため、切手を貼っていない適正使用例はあまり見かけません。
 上の写真で、市内用10ペニヒ葉書の方は、適正料金期間中(〜5月5日)に5ペニヒ切手を貼り足して15ペニヒ切手を貼り足した初期使用例です。市外用15ペニヒ葉書の方は、3度目の料金改定で125ペニヒにまで上がった時に、110ペニヒ分の切手を貼り足した使用例です。

 上部シレジアの葉書は、国際監視委員会が監視していた1922年7月14日(金)まで有効でした。15日からは、ドイツの葉書が使用されました。


[葉書料金について]

 1922年6月17日(土)までは、ドイツと同じ料金が適用されました。その間、3回料金が改定されましたが、国際監視委員会がその改定を即日適用するよう指示しなかったため、例えば、1921年4月1日の料金改訂は上部シレジアでは4月16日に、1922年1月1日の料金改定は2月1日に適用されるという具合に、遅れました。従って、一見すると料金表と合わない適正使用例が存在します。


[ワンポイント]
 各々のシリーズはドイツ切手と使用期間が重なる時期がありません。すなわち、切り替え時に併用期間を設けなかったので、ドイツ切手との混貼りはありません。この点は他の住民投票地域と異なります。
 上部シレジアの葉書は、料金の変遷に注目して集めるのが面白いでしょう。長期にわたって使用されたおかげで、ちょうどドイツの(初期の)インフレ時期に当たっているので、様々な額面の切手が貼られたものを見ることができます。また、前述のように、料金がドイツと異なっていたわずかな時期があるので、そのあたりに注目して集めるのもおもしろいと思います。ただし、葉書自体が地味でかつ人気がなく、市場にも出てこないのでそう簡単に集まるものではありません。ここら辺は、年期がものをいいます。

 両シリーズとも、市内用10ペニヒ葉書の適正使用期間が3ヶ月に満たず、切手を貼り足していない使用例の入手は意外に困難です。

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