5日目です。
今日はベルリンの市内を観光です。
とはいっても、最初に向かうのはかなりマニアックなところなのですが。
ルフトヴァッフェンミュージアム、つまり空軍博物館です。普通のガイドブックには出ていませんが、出発前の情報集めでオフィシャルサイトがあったので調べておきました。一応、行き方も見ていたのですが。
朝食を済ませてホテルを出て、駅から電車で西の郊外のシュパンダウというところへ向かいます。
ここからバスで行けるようなのですが、最寄りの停留所の名前がはっきりしなくて危ない感じがしたので、ここは切り札のタクシーを使うことにします。タクシーの車窓からバスのルートも確認しておけば帰りはバスで帰れるかと思います。
タクシーで20分ほどでミュージアムに到着しました。空港の跡地を博物館にしているので当然、町中ではありません。知っていないとたどり着くのは難しそう。周囲は普通の住宅地です。
開館は10時なのですが、10分ほど前に着いてしまったので少し待機。ほどなく係のおばちゃんが出てきて門を開けてくれました。他にも同族そうな初老の男性が来ていました。
さて内部ですが、格納庫いくつかと管制塔が資料館になっており、その正面の駐機場にたくさんの飛行機が並んでいます。第二次大戦後の冷戦期の東西の戦闘機がずらりと並んでいます。それはもう圧巻ですね。西側のロッキード、東側のミグ、その他もろもろ、私はあいにくこの時代のミリタリーにそれほど詳しくないのですが、その筋の人が来たらもう興奮が止まらないのではないでしょうか。
一回りして写真を撮りまくります。戦闘機の他にも輸送機や移動式ミサイルランチャー、レーダーなども置いてあります。
最近、敷地内の模様替えがあったのか、パンフレットと実際の飛行機の配置が違っていたり、サイトの案内にはあったバスの停留所(路線)がなくなっていたりと微妙に情報が異なっていました。駅からタクシーで来たのは正解だったかもしれません。
天気は日が差したり曇ったりで風も強くて少し寒いくらいですが、冷えてきたところで外の見学が終わってハンガー3の展示を見に行きます。公開しているハンガーはもう一つ7もあるようですが、おばちゃんによると今日はやっていないとか。
ハンガー3の中には、またここも所狭しと飛行機が並んでいます。飛行機が軍事利用され始めた1800年代終盤から、第一次大戦期、二次大戦期、戦後、といったようにいくつかの区画に分けられて各時代の飛行機や武装、エンジン、パイロットの服などが展示されています。
私が一番目当てにしてきたのはやはりそれなりに知識のある二次大戦期のところで、ここにはめっさーシュミットのBf109Gがあります。本物か複製品かはちょっと分かりませんが。あと、あのV2ロケットの弾頭と駆動部(おしり)なんかもありました。これはかなり壊れているのできっと本物でしょう。その他、「この時代の空軍基地の様子」という模型があり、たくさんのドイツ空軍機の模型がありました。同縮尺で比較してみると、やはり輸送機は大きいです。
その他では戦後の区画にあった大統領専用機(だと思う)の内部を再現したコーナーがおもしろかったです。
事前に調べておいたサイトの情報では、他にロケット戦闘機のMe163もこの博物館にはあるはずなのですが見あたらないので残念に思っていたら、別に特設コーナーがありました。
機体の他に開発の経緯の展示、テストパイロット(たぶん事故死した)の所持品などが公開されていました。
Me163は、一番最初にドイツに来たときにミュンヘンのドイツ博物館にあったのを見たのですが、それ以来15年ぶりの再会(?)ということになります。
ミュージアムショップの品揃えが今ひとつでしたが、二階にある特別展、「冷戦期の終わり」をざっと見てきました。
そして、もう一つの展示棟の管制塔を見に行きました。
一階はドイツ空軍の歴史といった感じで、先ほどのハンガーの区分けのように部屋ごとに各時代の写真や飛行服などの展示があります。第二次大戦は心なしかさくっと流されているような気もしましたが。
冷戦期の展示はおもしろいことに、順路の左右にそれぞれ西側と東側の資料が時代を合わせるように配置されています。
二階の管制塔は東西分裂期にこの飛行場を持っていたイギリス関連の展示となっていました。
ここまで見ておよそ2時間。結構、しっかり見てしまいました。半日使ってしまったことになります。
パンフレットによると、本当のアクセスはやはりバスで、(サイトの地図にあった)乗り入れ便はなく、少し離れた停留所からということのようです。そこからバスに乗ればシュパンダウ駅に戻れます。グーグルマップを頼りにしながら停留所まで20分ほど歩き、運良く20分おきのバスにほとんど待たずに乗れました。しかも市内の一日乗車券でこのバスにも乗れるようです。
せっかくなので、ルフトヴァッフェンミュージアムへの行き方をこちらに乗せておくことにします。誰か行く人の参考になれば。
そしてルフトヴァッフェンミュージアムについては、こちらにオフィシャルサイトがあります。
さて、次にお約束過ぎる観光スポットのブランデンブルク門に行きます。中央駅に出て地下鉄で2駅、地上に出るとすぐそこが門の正面です。
さすが観光客で賑わっていますが、少し変わった人の姿が。アメリカと西ドイツの憲兵のコスプレをした兄ちゃんとか、東ドイツの軍服を着たお姉ちゃんとかがいました。一緒に写真も撮れるようです。あと何故かダースヴェーダーのコスプレをした人がいました。あまり出来がよくなかったですけど。
通りすがりの老人にシャッターを押してもらったら、微妙に日本語が出来るらしく妙な会話をしました。「『助けてください』というんだよ」とか「こんにちは、がGuten Tagだ」とかそんな会話でした。
何故かしっかり握手をしてわかれましたが。
門は別に中に入れたりするわけではないので簡単に済ませて、次はSバーンで移動して「壁の記録センター」へ。この一角は壁が残っており公園のようになっていますが、特にセンターの正面の一角は緩衝地帯と監視塔が残されており、それを上から見ることが出来ます。内部は壁関連の展示で、1961年当時のいろいろな写真や、東を脱出した人たちの体験談(たぶん)などを展示しています。脱出の映像も流されていました。壁は意外に簡素な作りだなというのが正直な感想です。だからこそそれなりの人が脱出できたのでしょうけど。
近くを走るトラムに1停留所だけ乗って、そこから地下鉄の8番、7番と乗り継いで、ブリスシュトラーセというところに向かいます。
ここの駅前にはボードゲームの店があるというのでちょっと見に行ってみようかと思って。実はホテルからもそう遠くない、Spielbrettという店で、地下鉄から降りて地上に出るとすぐにありました。
またまた余談ですが、ドイツの地下鉄駅には改札がないので、ここのような中間駅ですと構造が極めて単純です。大きな交差点にある地下道に入る気持ちで階段を下りるともうそこにホームがあるという感じです。それはいいのですが「駅に行けばあるだろう」と思っているトイレがないのには時々困らされました。
店に入ると確かにたくさんのゲームが。しかし「Grand Cru」というワイン作りのゲームを探していたのですが売り切れのようで見つからず。代わりに「マンマミーア・プラス」というのがあったのでこれを買いました。
ちなみに、「Grand Cru」は帰国後にドイツアマゾンの通販で買いました。ドイツアマゾンではゲームを消費税(ドイツでは19%です)なし送料14ユーロで日本に発送してくれるので、ある程度の大きさ・値段であれば実はご当地で買うより安かったりします。今は円高なのでお得感も更に大きいですね。
再び地下鉄とSバーンを乗り継いで中心部に戻り、博物館島の近くにあるDDRミュージアムというところに行きました。
DDRというのは東ドイツの略称で、その名の通り東ドイツ関連の展示が充実した博物館です。マイナーなB級博物館だと思っていたのですが、結構人気があるようで賑わっていました(しかも木曜日の昼間なのに)。
中の展示も期待以上でした。入口で自慢しているように「ユニークな博物館」を目指しているそうで、様々な展示物のパネルには引き出しになっていたり開いたりするようなものもあってそこからいろいろ出てきます。開いたら東ドイツの国歌が流れるとか、演説が始まるとかなかなかおもしろい仕掛けです。ガラスで隔離してあるもの以外は展示品に触れるのも自由で、ヘルメットをかぶってみたり、コーヒー豆をつかんでみたり、トラバントに乗ったりといろいろ楽しめます。
「団地の生活」などというコーナーもあり、庶民の生活が紹介されていました。驚いたのは、電話の普及率が1989年で16%程度だとか、共産主義の浸透なのか1950年には全国民の80%だったプロテスタント信者が1989年には30%まで減り、代わりに「無宗教」が63.5%になったことなどでしょうか。
それと、面白かったのが、蓋を開けると少年合唱団が東ドイツ国歌「廃墟からの復活」を歌う映像が流れるところ。またまた余談になりますが、この曲、某エロゲーの主人公のテーマ曲としても使われています。私はどちらかというとそちらでなじみがあったので、蓋を開けてこのメロディを聴いたときにびっくりしました。
そんなに広いわけではないのですが、所狭しとそうした展示物が並んでいたのでついつい楽しんでしまいました。
お昼を食べる時間がなかったので、ここの隣にあるDDRレストランというところで食事しました。クラッセという豚肉を煮た料理を食べましたが、味はまあまあといったところでしょうか。もう少し脂のある部位を使った方がいいような気もしますが、なんでも「ホーネッカー首相の好物」だそうですからひょっとするとそれを再現しているのかもしれません。
その後はウンター・デン・リンデン通りを歩きながら博物館の立派な建物の外観だけ眺め(もう6時近いので閉館している)、駅から電車でホテルに戻ってきました。
路線図をにらみながら地下鉄その他の交通をかなり乗りこなしたような気がするのですが、この日もずいぶん歩きました。