5日目。この日の予定はKiel(キール)行きです。
去年のドイツ、ベルギー旅行でもハンブルクは経由しましたが、行程上の都合でキールには行くことが出来なかった(ムンスターの戦車博物館とゼーロウの博物館がメインだった)ので、今回のプランに組み込みました。
ハンブルグ中央駅からRE(快速)で1時間20分ほどでキールに到着。道中の景色は風力発電や牛や羊の放牧が見られるのどかなものでした。
キールはOstsee(直訳すると東海になってしまいますが)の入り江にある港町で、大戦中も重要な軍港でした。そのためか、ドイツ海軍記念館が郊外のLaboeに設けられています。隣接してU995というUボートも展示されており、これらが今回の目的地です。
行った人の情報によると駅からバスを利用して1時間弱というのが順当なアクセス方法らしいですが、事前の情報集めで調べてみたところフェリーもあるそうなので、せっかくなのでこちらを使ってみることにしました。バスより若干高いようですが(時間も少し余分にかかります)。このフェリーもKGVというキール地域交通網に含まれているようですが、窓口で切符を買うとそのKGVの3.20ユーロの切符に加えて1ユーロの別のチケットが付いてきたので、その分高いということなのかもしれません。
Laboeはちょっとした観光地で、今日は土曜日ということもあってこちらは観光客も多く、船ではビールを飲んだりして楽しんでいる人の姿がたくさんありました。海上も大きなフェリーや貨物船から、個人レベルのヨット、復刻された帆船、変わったところでは浮きドックなど様々な船が目を楽しませてくれます。
ハンブルグを朝出たときに降っていた雨はやみ、多少風が強いものの海の上は快適です。左右に見える軍港には潜水艦やその他艦船の姿もありました。
湾内の両岸あちこちに寄りながら1時間10分ほどでLaboeに到着。ヨットハーバーというのが第一印象でしょうか。会場ではパラグライダーを楽しんでいる姿が多く見られます。バス停を確認した後、海沿いに北上し、記念館まで歩きます。
チケット売場ででコンビチケット(記念館と潜水艦両方)を買い、まずは記念館から見学します。主に塔と資料館から成り立っていますが、敷地の中に巡洋艦プリンツ・オイゲンのスクリューが展示されている広場があります。この船は幸運艦といわれ、第二次大戦を生き残り、米軍に接収された後、ビキニ環礁で水爆実験に使われたのですが、その後米軍からスクリューの返還を受け、ここに展示されることになったそうです。このように「プリンツ・オイゲン広場」となっており、同艦の紹介や模型も展示されています。戦後、軍関係者が靖国神社に慰霊に来たことがあったらしく、それを記すプレートもありました。
記念館の方は、近代ドイツになってからの海軍の歴史を写真と説明文でたどる形になっており、主要な艦船の模型があるので視覚的にもわかりやすくなっています。ドイツ戦艦フリードリヒ・デア・グロッセやビスマルクの模型もあり、これはさすがに存在感があります(模型はどれも1/50スケール)。なお、地下には慰霊碑もあるらしいが、一般公開はしていないようです。
次に塔に移ります。こちらが実際の「慰霊碑」的存在のようで、1階から3階まで、第一次大戦、第二次大戦で沈められたドイツの船の数が艦影と共に紹介され、近代以降のドイツ海軍の軍旗が並べられたりもしています。
その後はがんばって階段を塔の上まで登ることになります。途中、上や下を見るとそれはすごい迫力で、高所恐怖症の人にはおすすめできないものです。
80メートル以上ある階段を上りきると、塔の屋上が展望台となっています。さすがに苦労しただけあり、ここからの見晴らしは大変よいものです。
帰りは、実はあるエレベーターで一気に降ります。エレベーターは上に利用することも可能ですが、下の乗り場は順路としては戻ったわかりにくいところにあるので、そうと知っていなければなかなか使えないと思われます。
次にU955へ向かいます。
砂浜沿いにこの潜水艦が保存されており、後ろから前に進む形で内部を見学することが出来ます。後部魚雷発射管から始まり、電池室、エンジン室、居室、無線室、ソナー室、指揮室などと続き、最後は前部魚雷発射管です。魚雷置き場と居室(ベッド)が同じなのは他の潜水艦でも見たことがありますが、やはり物理的な制約から同じようになってしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
潜水艦は基本的に窮屈ですが、前に見たアメリカの潜水艦よりは空間に余裕があったような気がします。
見学終了後、海岸を歩きつつLaboeの町に戻り、今度はバスに乗ります。次に向かうのは、駅までの途中にあるHeikendorfというところにあるUボート戦没者の慰霊碑です。たまたま旅の下調べをgoogleマップでしていたときに見つけた場所で、U995の出口でもここの案内はありましたが、そうと知らなければ見過ごしていたと思われます。
バスで15分ほどのRathaus Heikendorfで降り、海に向かって15分ほど歩くと慰霊碑に到着します。もしくは、行きに使ったフェリーが近くのMoltenortに寄るのでそこから歩くとすぐです。湾内に突き出た一角で海沿いの歩道を通っていくことが出来ます。
さすがにすべての艦名や人名を追っていくことは出来ないが、その数には圧倒されます。今でも献花がされているようで、両端にきちんと並べられています。
再びRathausに戻り、バスで中央駅まで戻りました。駅近くをぶらついて時間調整とした後、列車でハンブルグへ帰ります。
ハンブルグ到着後は、すぐに宿に戻るにはまだ早い時間(とはいえすでに夕方)なので少し町歩きをすることにしました。ハンブルグ空港駅でもらった市内地図を参考に、倉庫街と市庁舎を見に行きました。
地下鉄で移動し、最寄り駅ぼBaumwallへ。地下鉄といいながら地上に出て高架線を走っているので眺めがよいですね。駅のすぐそばが観光港になっており、ここから東に向かってジグザグと歩き始めます。
倉庫街は煉瓦づくりの建物が運河沿いに並んでおり独特の雰囲気があります。
窓があるので「倉庫」なのか事務所として使われているのか区別がつかないのですが。
ちょうどそれら倉庫の間の運河の方角に夕日が差し込み、きれいな風景になっています。
そのまま倉庫街から少し北へ向かって歩き、市庁舎に到着します。これまでいくつもの町で市庁舎は見ていますが、さすがハンブルグは大都市だけあってかなりの規模の建物ですい。そのため市庁舎前の広場ではかなり引かないと全貌をカメラに収めることが出来ません。内部の公開時間は既に過ぎているので外観のみの見学です。
市庁舎を見終えた後は、駅で食事をして帰ることにしました。地下鉄で中央駅に戻り、駅構内のフードコートでビールとソーセージ、ポテトを食べます。ちょうどサッカーの試合が始まっているようで、テレビを見る客が大勢で盛り上がっていました。