イギリス旅行記・６日目
ロンドンのイーストン駅には８時前に到着した。
特に車内放送などもなく、あっさりとした終着駅である。
駅の構内に、ようやく見つけた荷物の一時預かり所。ここに大きな荷物を預けてロンドン市内観光へと出発する。
マンチェスターの宿で予めプランを考えていたのでその通りに行動することにする。
とはいえまだ８時過ぎ、10時くらいから始まる博物館などへ行くには早いので、この時間は外観だけ見るものを回ることにした。
まずはイーストンの近くにあるセント・パンクラスという駅に向かう。ゴシック様式の建築である駅舎がすごいという。
歩いて10分ほどでやってきたが、確かに壮大である。一部改築工事中ということで工事の足場が組んであるのが興ざめであったが、赤い煉瓦造り風の建物は存在感がある。
ここから一日乗車券を買って地下鉄に乗る。ロンドンの地下鉄はその高さが有名だが、それは通常料金の話であって、実際には様々なフリー切符や割引があるため、特に一日に何度も乗る観光客であればその高さに辟易することはない。確かに初乗りが３ポンド（800円くらい）もするのだが、一日乗車券が５ポンドほどで買えるのだ。
それはともかく、早速その地下鉄に乗ってヴィクトリア駅へ。ここからバッキンガム宮殿、ウェストミンスター寺院、国会議事堂、時計台（ビッグバン）と有名で壮大な建物を見まくる。
宮殿は夏場以外は内部ツアーはないので外観だけの見物になるのだが、さすがは有名スポット、この時間でも多くの人がいた。そして、久しぶりに日本人に会ったかもしれない。
他の有名スポットも写真に収めながら歩き、テムズ川を渡って、ユーロスターの発着するウォータールー駅にやってきた。
ユーロスターには乗らず、そのまま地下鉄のホームに行き、２駅ほど乗ってロンドンブリッジ駅へ。
今日はこの近くにある２つの施設を見学するのがメインである。
最初に訪れたのは、テムズ川の上に浮かぶ巡洋艦のベルファスト。1938年に竣工し、第二次大戦で活躍し、朝鮮戦争にも派遣された船で、退役後はここで一般公開されている。
全長約180メートルという船なので、戦艦ではなくてもやはり大きく感じる。
中は居住区から武装、機関室までいろいろな場所が公開されている。機関室のエンジンなどは「すごい」としか言いようがないのだが、船は一つの閉じた生活空間でもあるわけで、炊事洗濯は勿論、歯医者や手術室、チャペルや独房まである。
船首はその独房や兵の寝室（ハンモックだが）、主砲の弾薬庫などが配置されている。
甲板に出ると主砲の中を見ることも出来る。また環境には司令室や艦長の私室などが設けれている。当たり前だが機能的に部屋が配置されていること、上級士官と下級兵では居場所からして違うことがよく分かる。
社会科見学だろうか、制服姿の小学生の一団も見に来ているようだった。
中の食堂でサンドイッチとコーヒーで軽く昼食。
ベルファストの次に向かったのは、ブラマーの紅茶コーヒー博物館というところである。
イギリスといえば紅茶が有名だが、コーヒーも割とポピュラーに飲まれていたそうだ。大英帝国時代はインドだけでなくアフリカにも植民地を持っていたから当たり前といえば当たり前かもしれないが。
ティールームの奧にあるこの博物館は、規模はさほど大きくないが、16世紀以降のイギリスと紅茶の関わりを示すものがいろいろと展示されている。メインはインドや中国からくる茶であるが、日本の緑茶や茶道についての解説もかなり詳しくされている。中国産の茶器をはじめ、紅茶を運んだり精製したりするための道具、イギリスで売られていた紅茶のパッケージなどが所狭しと並んでいる。
奥の方はコーヒーの展示になる。豆の品種や精製方法についての説明もあるのだが、こちらは19世紀頃からの様々な用具（エスプレッソメーカー）などの展示が充実している。真鍮で出来ているものがメインだろうか。
ポットでいれる紅茶と比較して、大きなものが多いので、コーヒーは家庭ではなく外のカフェで飲まれることが多かったのかもしれない。
せっかく紅茶の博物館に来たのだからと、ティールームで特製のブレンド茶を飲み、しばらく休憩する。ポットのお茶は４杯は飲めるほどの量で、最初の２杯をストレートで、あとの２杯をミルクティーでいただいた。上品ないい味である。
見学を終えた後、再び地下鉄で移動し、レスタースクエア駅の近くにある「オークズネスト」というゲームの店へ向かう。
何かよさそうなボードゲームを買おうと探しに行ったのだが、ネットで見たサイトで想像していたよりも小さな店で少しがっかりであった。どちらかというとやはり、ボードゲームよりはＲＰＧとメタルフィギュアがメインの店のようだ。「パイレーツ」というトレーディングカードゲームが旬であるようだが、さすがに手を出すわけにはいかない。
帰りの荷物の量のことを考えて、結局、軽めのゲームを２つと妖術師のメタルフィギュアを買った。
ここからイーストン駅に戻り、荷物を回収して再び地下鉄で移動して投宿。町の南西の方にあるホテルである。アールズコート駅から歩いて５分ほど。わかりやすい場所にあるのは助かった。
16時頃に着いて一休みした後、夕食を食べるところ探しも兼ねて繁華街のピカデリーサーカスへ向かった。
ブランドショップなどが軒を連ねるショッピング街であるが、まあ私には関係ない。ユニクロなんかも出ていたが……。
表通りから１本裏に回ると、レストランが多く並んでいる。胡散臭い日本食のレストランなんかもあった。武士の情けで店の名前は伏せておくが、明らかに中国人っぽいのが道に出てタバコを吸っていたりした。
今日はラグビーか何かの試合が行われているらしく、パブはもう盛況で時々道まで歓声が聞こえてきていた。
で、何を食べようか迷ったあげく、せっかくだから（？）とインド料理にしてみた。インドとイギリスは大いに関係があったわけだし。
インドカレーはなかなか本格的で美味しかったが、やはり少しお値段は高めかもしれない。
すっかり満腹になって宿に戻る。明日は最終日なので、荷物をきちんと整理する。本やゲームを買って増えた分は、下着など（もともと古いのを持ってきていた）を捨てて鞄の中のスペースを捻出する。まあ何とかなりそうだ。