高津本陣 高津本陣 Web Page 〜創作中心個人サークルの総合案内〜

イギリス旅行記・4日目

今日は、かなりマニアックな場所を訪れることになっている。

バーミンガムからローカル線で30分ちょっと行ったところにある、コスフォードという駅へ向かう。

カントリー風のレンガの建物や牧草地が広がるのどかなところなのだが、ここにイギリスの空軍博物館があるのだ。

コスフォード駅から何でまたこんな所に……、と思っていたら、それも当然。駅を降りると空港があり、その空港の敷地の一角が博物館になっているのだ。ネットで地図を調べておいたのだが、観光地ではないし、鉄道で行く人はほとんどいないような気がしていたので、万が一迷ったらどうしようかと思っていたのだが、駅名標の下にも「Royal Airforce Museum」とロゴマークがあり、駅の出口から案内板もあってそんな心配は杞憂に終わった。

空港沿いの道を半マイル(800メートルくらい)歩くと博物館に到着。

これまで天気は曇りばかりだったが、今日はよく晴れていて歩いていて気持ちよい。

少し早めに着いてしまったので、入り口に展示してある飛行機を眺めたりしつつ、のんびり建物に向かう。

隣の空港では訓練が行われているようで、ジェット機やプロペラ機、ヘリコプターなどが何度か離着陸している。

バスでやってきた年配の団体が入場して少し落ち着いたところで私も入場。

予想に反して入場無料だったが、せっかくだからと約3ポンドのパンフレットを購入。引きずってきた荷物は親切にも受付で預かってもらうことができ、早速、中に入ることにする。

館内はいくつかのゾーンに分かれており、それぞれのテーマの展示がされているが、最初は「英国空軍の歴史」という部屋になっている。

それこそ植民地時代や中世までさかのぼれそうな陸軍や海軍と違い、空軍は(当たり前だが)飛行機が発明された後に作られるわけであり、イギリスの「空軍」の創設は1918年になるという。

この展示室では、その1918年から現在(2006年)まで、各年ごとに、世界の情勢、空軍での出来事などが並べて追っていけるようになっている。

ヨーロッパでの出来事、もっというと対ドイツ戦がやはり中心になるが、日本の真珠湾や広島長崎なども勿論、取り上げられてる。また「戦後」は各地での植民地の独立、朝鮮戦争やフォークランド紛争、湾岸戦争などにも関わっていたので、それも取り上げられてる。

「空軍の歴史や活躍」のようなスライドを見た後、隣の「テスト・フライト」という部屋に移る。

こちらは「部屋」といっても格納庫を使ったもので広くなっている。

その広い格納庫に、所狭しと飛行機が展示してある。

ここはテーマ通り、イギリスの各種の試験機や実験機が展示されている。説明は一部を除いて英語、ドイツ語の他に日本語でも書かれていて助かる。

主に第二次大戦後のジェット機の時代において、翼の形やエンジンの配置など、様々な試行錯誤が行われ、実験機が作られたようだ。そのため、あまり有名な機体はないが、変わった形の飛行機もあって面白いところである。

その次に見るのは「WAR PLAINS」という、第二次大戦期を中心とした軍用機の展示である。

イギリス空軍のものだけでなく、世界各国の貴重な機体が展示されている。かなり保存には力を入れているようで、状態はどれもかなりよいものばかりだ。

日本の飛行機も、三菱の「キ−46」、そして特攻機として有名な「桜花」がある。アメリカのP-51(ムスタング)やドイツのMe-410、ロケット戦闘機のMe-163もあった。

勿論、イギリスのものでは有名なスピットファイア、爆撃機のモスキートなどが展示されている。爆撃機のリンカーンはとりわけ大きく、爆弾庫(の開いたところ)を下から見られることもあって迫力がある。

桜花 キ-46 Me410 ランカスター Me163

その次は「COLD WAR」と銘打った、冷戦時代がテーマの展示になる。

先ほどとは大きく変わって、ジェット機の時代。戦闘機もこれまで見たものに比べて大きくなっている。爆撃機や輸送機は言うまでもなく、やはり広い格納庫にパズルのように所狭しと並べられている。

また、飛行機だけではなく、ミサイルや核兵器(勿論、中身は入ってないでしょうが)まで展示してある。

所狭しと並ぶ兵器実物の展示がある一方、冷戦期の重要な出来事だったベトナム戦争やキューバ危機に関するコーナー、冷戦期の東西の社会生活を比較した展示(スポーツ、レジャーないろいろ、果てはスパイ活動なんていうものまで)があった。

フォルクスワーゲンとトラバントが並べて展示してあるのもなかなか面白い。

ここのミュージアムショップを覗いた後、最後に「ハンガー1」という格納庫に向かう。

ここは、訓練機や練習機を置いている場所で、ある意味、地味なものばかりだが、元々は現役の軍用機として使われていたものが後に練習機になったものもあり、それなりに由緒あるもののようだ。

練習機というと小型機をイメージするのだが、四発エンジンの旅客機のような大型機もある。

V2また、それらの飛行機の他に、エンジンやミサイルなども展示されている。これらの中には、第二次大戦でイギリスを悩ませたV2ロケットなどもあった。

エンジンはさすがに見ても違いや価値は分からず、ほとんど素通りになってしまったが……。

こうして一通り見学を終えたのだが、かなりじっくりと見てきたので3時間以上過ぎていた。

帰りの列車の時刻は調べてあるので(1時間に1本しかないのでかなり重要)、時間調整のためにレストランで食事をする。今日はチキンのクリームスープにする。相変わらず付け合わせのフライドポテトの量がすごかったのだが、今日はちゃんと完食した。スープはなかなか美味しかった。

コスフォードの駅に戻り、バーミンガムで乗り換えて今日はマンチェスターへ。

5時を過ぎてもまだかなり明るく、牧草地の景色を眺めながら2時間弱でマンチェスターのピカデリー駅へ到着。

今日のホテル、デイズは駅から近いのですが、ピカデリー駅が大きくてどの出口がどの方向を向いているのかが分かりにくい。

何とか方角を定めて地図に従って歩いていくと無事に到着。

明日の夜は寝台列車なので、明日と明後日の二日分の行動計画を考えることにする。

ロンドンの観光については主だったところをチェックしただけであまり考えていなかったので、少し真面目に。

荷物を整理して明日の準備に取りかかる。

上に戻る |  目次に戻る |  5日目へ


(c) 高津本陣・徐 直諒 since 1999.12