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台湾旅行記・7日目

高雄から夜通し北上して、台北にたどり着きました。

台北は終点の駅ではないので乗り過ごしたりしないか心配でしたが、予想通り眠りが浅かったのでそれは杞憂に終わったようです。夜行列車は好きなのでそれ自体はよいのですが、やはり寝不足気味になってしまうのと、風呂に入れないのが厳しいところです。汗をかいて気持ちよくないことについてはなんとか我慢するにしても、体にしみつく汗くささはなんとかしたいところで‥‥。

郊外から地下に入り、台北駅に到着しました。

去年、出張で来たときに台北駅の上っ面だけ見ていて「かなり立派だな」と思ったのですが、駅の中の方は(たぶん、地下化されたのがかなり前なのでしょう)古くささは否めないようでした。

まだ朝早いので売店なども開いておらず、薄暗いのもそう感じさせる要因だったかもしれません。

まずはコインロッカーを探し出し、時間単位で2時間ごとに20元というのと、時間制限なしで一律50元というのを見つけたので、迷わず後者に預けました。

それからMRTの駅に向かい、まずは最初の目的地の新北投にある温泉に向かいます。

MRTというのは新交通システムのことで、現地語では「捷運(=早く動く)」と呼ばれていますが、新交通システムといってもきちんとした線路の上を走るので地下鉄のようなものだといえるでしょう(地上を走る区間もありますが)。

路線が複雑で降りる場所を見極めるのが大変なバスと比べると、値段は僅かに高めですが利用しやすい交通機関なのは確かです。

そんなわけで、このMRTを利用して郊外にある温泉へと向かいます。

今回、台北市内を動くプランを考えるにあたって、ようやく地理を把握することが出来ました。

MRTは豪華なホテルのある圓山付近で地上に出て、北投駅で新北投まで1駅間だけの支線に乗り換えるのですが、朝7時前は支線は運転しておらず「駅前から無料シャトルバスが出てるからそっちに乗ってね」という無情な案内板に追い出されて、バスで新北投入りしました。

台北の中心地からも30分程度で来てしまう新北投は、しつこいようですが日本統治時代に開発された温泉地で、今でも台北からの気軽な行楽地として賑わっています。

温泉会館斜面に展開する温泉街の中心には日本統治時代に温泉保養施設として作った建物が現在も残っており、今は温泉資料館になっています。中も見られるのですが、開館は9時からということなので外観のみ見ておきました。

一方、林立するホテルの他に、昔の日本の銭湯とほとんど同じ入浴施設がまだまだ現役であったりもします。

今回、朝早くからやっているその中の一つ、「瀧の湯」に行ってきました。

正面に大きく「男湯/女湯」と書かれた銭湯チックな建物に入り、入浴料60元也を払って中に入ると、脱衣所と風呂場の仕切りもなく、地元のご老人たちで賑わう風呂場にいきなり出ました。

遠慮がちに服を脱いで中に入りますと、硫黄の匂いのする紛うことなき温泉です。台湾では温泉にはいるときは水着着用と聞いていたのですが、純日本風のここではその必要はないようです。

最近の日本の日帰り温泉にあるような塩素消毒循環湯などとは違う、本当の天然温泉が台湾にありました。

ただお湯が熱くて長居できないのがつらいところです。明らかによそ者の自分には居づらいというのもありましたが‥‥。

それでも、車中泊明けの疲れを少し癒し、さっぱりした気分で湯を出ました。

その後、もう少し上にある源泉(草津みたいなのをイメージすればよいかと)に行こうとしたのですが、こちらも9時からとかで門前払いされました。源泉くらい常時開放でいいのにと思いましたが‥‥。

風呂上がりに大切なものを忘れていると思い、駅前に戻ったときに近くのセブンイレブンで牛乳を買って飲みました。フルーツ入りでない牛乳は初だったりしますが、この旅行では兎に角牛乳をよく飲んでいます。ある意味では健康的かもっしれませんが。

ここからは、ガイドブックで入手した情報に従い、山一つ越えた向こう側にある別の温泉へ行くことにしました。

ここ新北投からバスが出ているというのでそれを利用することにします。基本的に言葉が通じないので、見知らぬ路線バスを使うのは難しいのですが、バス停には系統(番号)の他に行く先の全停留所が書いてあるので、それを頼りに頑張ります。

バスは30分おきに走っているようですが、時計を見ると運良くすぐ次が来る時間で、5分と待たずに乗ることが出来ました。

そのバスに乗って山道をいくこと20分ほどで、次の目的地である紗帽谷温泉に到着しました。2冊用意したうちの片方のガイドブックがかなりマニアックで、他の本には出ていないようなこの温泉地が紹介されていました。

これぞ温泉こちらは最近開発された新しい温泉地で、山の斜面から源泉を見下ろすとなかなかの絶景だったりします。近くまで行くことも出来たので、新北投の恨みとばかり、硫黄の匂いをかぎながら源泉を見てきました。

その源泉から下流へ少し歩いたところに入浴施設が固まっているところがありますので、そこへ向かいました。紗帽谷温泉の特徴は、宿泊施設を持たずに日帰り入浴施設オンリーということです。尤も、24時間営業しているところもあるので、仮眠くらいはとれるのでしょうけど。

一方、最近の台湾では温泉といえば日本をイメージするらしく、折角の新しい温泉なのに、ここの入浴施設は和式になっているところがほとんどです。即ち、水着不要の「裸のつきあい可」というところ。

今回、私が行くことにしたのは「川湯温泉」という思い切り日本っぽい名前のところですが、温泉に併設している食事処の部屋の名前は「函館」だったり「黒石」だったりします。

各温泉施設はこのように食事処を併設しており、一定以上の金額の食事をすれば入浴は無料というシステムを取っているところが多いようです。私が来た時間帯はまだこれらのレストランは営業していない時間だったので選択の余地はなく、普通に入浴料200元を払って入りました。ちなみに、入浴が無料になる食事の値段は400元くらいが相場のようなので、これまで屋台の安い食事に慣れた感覚だと「高い!」となりそうです。

入浴料200元も、それなりにいい値段だと思うのですが、今回の川湯に限っては、その値段でも全然悪くないと思いました。

こんな感じ割としっかり清潔に保たれた更衣室と、そこからすぐに入れる露天風呂。湯の温度は43〜50度くらいとかなり熱めですが、水風呂やぬるい湯を使った打たせ湯などもあるので問題はありません。石鹸やシャンプーの完備された「洗い場」もきちんと設けられており、日本の日帰り入浴施設と比べても遜色ありません(広さは大したことないですがそんなに混まなさそうなので)。お湯は循環なんかしない掛け流しなので、日本より恵まれているかもしれません。

結局、1時間近く温泉を堪能してしまいました。

ここからはバスでMRTの駅に戻り、市内観光に入ることにします。

最初の目的地は、中正紀年堂という、蒋介石の業績を称えるための施設です。

今回の台北観光で助かるのは、去年、出張で来たときに主な観光スポットには案内してもらったのでそれらは外すことが出来るという点です。行天宮や孔子廟、龍山寺、孫文の国父紀年館、そしてあの故宮博物院をルートから外せるのは時間的にかなり大きいところだったりします。

日本と台湾の微妙な関係を考慮してくれたのか、前回の観光ルートには蒋介石ゆかりの中正紀年堂は外されていました。こちらも希望する観光地から台湾総統府は外しておきました。なので、今回の観光スポットからはこの2つは外せません。

門 正面図

少々補足しておきますと、総統府というのは、現在の台湾の行政の中心地ですが、この建物はもともと日本は台湾を新領土として(植民地という言い方をしますが、日本の「植民地政策」を調べてみるとすぎに分かるのですが、搾取だけを目的とした欧米の植民地支配とは違ったものだと個人的には認識しています)統治したときの総督府として作られたものです。また、蒋介石は日中戦争での日本軍の「敵」でした。アメリカの支援を受けて蒋介石の国民党中国軍(革命軍)は日本と戦いましたが、太平洋戦争終了後には同じ中国人の毛沢東(共産党軍)との戦いに敗れ、大陸から台湾へ逃れてきたという歴史があります。

そうした歴史に対して思うところはさておき、蒋介石も一人の英雄ではありますので、中正紀年堂を詣でてその足跡をたどることにしました。

護衛兵の交代正面の蒋介石像は、台湾軍のエリートでもある兵士に常に守られ、1時間ごとにその衛兵の交代式を見ることが出来るのですが、ちょうどよいタイミングでそれに当たりました。
銃を持って規律正しい姿でその交代劇をこなすのは立派なものに見えます。軍隊というのは一種の規律の具現化であり、軍=戦争=悪という妙な考えに支配された人には到底理解できない「美しさ」というものがあると思います。

そんなエリート兵(実際、かなりかっこいいですよ)の姿を見送った後、蒋介石関連の展示を一通り見学、ミュージアムショップでは孫子兵法のアニメDVD付きの本を見つけたので思わず購入してしまいました。

こうして中正紀年堂を辞した後は、総統府へ向かいました。

台湾総督府先に説明した通り、この建物は日本統治時代の台湾総督府からのものですが、どこか東京駅にも似た洋風の立派な建築は歴史の微妙な要素を抜きにしても壮観だと思います。
見学は日時か限られているので明日に任せるとして、今日は外観だけ見てきました。


台鉄その後、隣の台湾銀行で補給(日本円から台湾元への両替)を済ませ、近くの旧台湾鉄道管理局の建物と旧台北城市ぼ北門を見た後、台北駅に戻って荷物を取り、MRTで今日明日の宿である富都大飯店へ向かいました。

途中、お腹が空いたので牛肉麺の店を見つけて昼食。そういえば今日は朝食はありませんした。

チェーン店っぽい店でしたが、たまにはそういうところもよいかと。牛肉麺に(何故か)キムチ、それと飲み物のセットで103元というのを頼みました。

今回の旅行の最後の拠点である富都大飯店は、一時代前の高級ホテルという雰囲気でした。

建物は立派で日本語も通じ安心感もあるホテルですが、さすがに古さは少々否めないとことはあります。出発前の手配でかなりの割引で泊まっているので不満はありませんけど。

チェックインして一休みし、午後の買い物タイムへ向けて出発することにしました。

まずはMRTで台北車站へ出て乗り換え、忠孝復興駅に出ました。このあたりが日本でいうと銀座のような繁華街で、そごうとの合弁で建てた立派なデパートなどもあったりします。

とりあえず、今回の買い物リストの中には、お約束のパインケーキやお茶があるのですが、これはホテルの近くで買えそうだということが分かっているので、その他のものを探すことにしました。

まずは大きな本屋に行き、ネタになりそうな本がないかを探します。歴史小説とかミリタリーなんかのコーナーを見ていると大いに興味を引かれるものがあるのですが、何冊も買うわけにいかず、買っても読めるわけではないので諦めます。ハリー・ポッターや指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)などはこちらでも人気があるようです。

外国籍の本もかなりそろっていて、日本のファッション雑誌やアニメ雑誌などがそのまま輸入されて置いてあるようです。

で、ネタ本としては、台湾人の日本語学習者向けの参考書のような雑誌にしました。特集で埼玉県が取り上げられているところがなかなか渋いです。

本屋を辞した後は、タピオカを買ってきて欲しいと頼まれていたので探しに行くことにしました。

ですが、普通の土産物屋などにはあるわけもなく、かといってどんな店に行ったらいいのかもよく分からないので困りながらさまよっていると、先ほどのそごうに出てきました。

「ひょっとして」と期待して中に入ると、地下に食品売り場がありました。デパ地下?と思いましたが、というよりは普通のスーパーマーケットに近い感じです。こちらに住んでいる日本人がよく利用しているらしく、日本の食材もいろいろありました。子供がぶつかってきたので思わず振り向くと、「いけません」と日本語で話しかけている母親の姿が‥‥。

無事にタピオカは見つかったので購入。値段は26元でした。その他、ホテルに戻ってから用に飲み物(黒豆入り豆乳)と米酒を買いました。ワインにしようかと思ったのですが、高いんですね。地元の(?)お酒ですと一瓶300cc入りで120元とお得。ちなみに、これまでコンビニで何度か買っていた180ml入りの赤ワインは95元でした。

果物も売っていたので、南国らしくマンゴスチンでも買おうかと思っていたのですが、季節ではないのか見つけられませんでした。今回の他にも通りがかりにさりげなくチェックしていたのですが、結局、一度も見ませんでした。間違えてパッションフルーツを買いそうになってしまったことはありましたが。

これで、お茶とパインケーキ以外の買い物は終わったのですが、ホテルに戻る前に一休みしようと思い、地図を見ると近くにお菓子とお茶をたしなめる店があるのが分かりました。折角だからとそこまで行ってみることに。

お店の名前は「京兆尹」というのですが、北京風宮廷料理がもとのメインの店とかで、中の造りはかなり立派でした。今回の旅行ではこんな店は初めてです。一人で入るのはなかなか寂しいものがありましたがやむを得ません。

さて、ここのメニューに「草苺鮮[女乃]烙」というのがあるのですが、これがなかなか見た目も派手なのでまず注文、それとお茶を頼んだのですが、日本語の出来るウェイトレスさんに「お菓子もどうですか?」と聞かれたので、芋羊羹を追加で頼みました。今日はまともな食事をしていないし、まあ多少値段が張ってもいいかなと。

お茶は「紫陽茶」という高級な烏龍茶らしいのですが、ティータイムのこの店ではこのお茶しか出していないということなので自慢の一品なのでしょう。

で、まず最初に出てきたお茶と羊羹をいただきます。羊羹は甘さも控えめでプリンとの合いの子のような感じです。確かにお茶とよく合いますね。お茶はポットで出てきて、意外に量があります。店内は冷房が効いて涼しいのでホットでもちょうどよい感じです。

先に羊羹を味わっていると、ほどなく「草苺鮮[女乃]烙」がやってきました。「鮮[女乃]烙」とは何かというと、英語名「Royal Yogurt」というとおり、端的に言えば杏仁豆腐のようなものです。これにイチゴがのっているのですが、器がワイングラスのような足長のようなものになっていて、煙がもうもう立ち上っています。何故かというと、器の下にドライアイスが仕込んであってそれで冷やしているのです。実際のドライアイスの効果は大したことないような気がしますが、出てきたときのインパクトはなかなかのものです。味の方も上々でしたよ。

食べ終える(飲み終える)と、結構お腹がふくれました。値段は合計で303元なので、下手をすると一日の食事代合計くらいになってしまいますが、日本円にすれば1000円程度、このくらいはよいでしょう。

MRTでホテルに戻ります。最寄り駅は民権西路という駅なのですが、その一つ前の双蓮という駅で降りて、お茶の店に立ち寄ることにしました。

去年来たときにお茶を買った店の支店があるというので、そこに行って何種類かを購入。日本語が通じると助かります。「予算はどのくらいですか?」と聞かれてもあまり考えていなかったのですが‥‥。

そして、ホテルに戻る途中にお菓子屋さんがあることを確認して(パインケーキは明日買う予定)、帰りました。

もう夜になったので今日の行動は終わりと思いつつ、余力を駆ってもうひと行動することにしました。

夜の総統府がライトアップされているそうなので、その写真を取りに再びMRTで出陣。デジカメでは威力不足なので、一眼レフの方で撮ってみましたが出来は果たしてどうでしょうか。

帰りに夜市にでも寄ろうかと思いましたが、そんなにお腹が減っているわけでもなく、総統府の近くの夜市には行ったことあるので素直に引き返し、双蓮で降りました。

ホテルに戻る途中に、店に立ち寄って食事。今回は乾麺(汁のない麺)と麻ラー臭豆腐というのにしました。乾麺は汁なしの坦々麺のような感じの味噌がのっているもので、臭豆腐というのはその名の通り道まで臭う豆腐です。厚揚げっぽい感じの味で、決して不味くはないのですが、臭いは本当にきついので苦手な人は絶対ダメでしょうね‥‥。麻ラーというのは、要するにごま油(麻)で辛み(らー)に仕上げてあるということで、スープを一口飲んでみたら、辛いのなんのって。6〜7センチ角の厚さ2センチほどの臭豆腐が2枚入っているのですが、口直しということか香菜がのっています。

量的には大したことないのですが、微妙な時間にお菓子を食べた後なので充分。辛さを口に残しながらホテルに戻り、買ってきた米酒を飲んで寝ました。半分ずつ飲んで2日間持たせるつもりが、全部飲んでしまいました‥‥。

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