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台湾旅行記・8日目

今日は実質的にはこの台湾旅行の最終日です。

明日はお昼ちょっと過ぎの飛行機で帰るので、出かける余裕はありませんし‥‥。

そして、今日は表裏両方の後半メインイベントがあります。

まず最初は表のメインイベントです。昨日、外観だけ見てきた総統府の見学です。

すっかり慣れたMRTで移動し、総統府の裏門へと向かいます。正面玄関は総統、副総統、総統の来賓しか使えないそうで、係員も全てこちらから入退場するようです。憲兵が見守っています。

で、ここでちょっとしたトラブルが‥‥。「総統府を見学にきました」というと、受付の人が「予約はしているのか?」と聞くので「いいえ」と答えると「予約していないと見学は出来ない」という冷たいお言葉。隣にはちょうど日本人の団体客がいて、パスポートチェックを受けているのがちょっと恨めしいです。「月水金の午前中に見学できるから、次にまた来なさい」と言われたのですが、当然、次(来週の月曜)までは台湾にいないので、食い下がってみることにしました。

「明日には台湾を去ることになっているんです」と説明すると、事情を察してくれたのか責任者に掛け合ってくれました。

そうしている間に、別の日本人の一団が来て、同じ問答が起こりました。ある程度人数が揃ったせいもあるのでしょうか、運良く許可が下りて、見学が出来ることになりました。

更に追加で韓国人の家族連れが来て、その3グループ(私は一人ですが)で見学ということになりました。

パスポートをチェックされて、空港並に荷物検査を受け(しかも門と建物の入り口とで2回)、ようやく中へ入ります。世界情勢のためもあってか、かなりチェックは厳しくなっているようです。見学も、少し前までは月曜から金曜までやっていたのが、週三回に改められたとか。

勿論、実際に台湾の総統が執務をしている建物ですから自由に歩き回れるというのではなく、決められた見学ルートをガイドに従って見ていくことになります。なので、国賓だけが見ることの出来るような大広間などは拝観できません。

日本語を話すガイドはボランティアの老人ということを聞いていたのですが、その通り、70歳くらいのおじいさんが登場しました。この世代の人ですと、日本語を聞いて育ったのでしょうか、とても上手に日本語を話します。ただ、所謂外国語として日本語を話す人とは異なって、おそらくは育った環境なのでしょうがかなり下世話な言葉遣いをする人です。

軍隊や警察に捕まることを「豚箱に放り込まれて臭い飯を食う」なんて言っていましたし、殺されてしまうことを「一巻の終わり」とも言っていました。

さて、内部の見学ですが、まずは中庭に入って、台湾の極めて珍しい「油松」という木を紹介してくれました。

その後は、台湾の歴史に沿って、歴代総統の話とそれに関する文物の展示を説明、歴代総統が各国から外交でもらった品物の展示などを見ていきます。また、日本統治下の台湾についても触れられていて、児玉源太郎、板垣退助、八田與一などの名前が出てきました。

そして、特集として台南地方の展示があり、農作物や漁業、お祭りなどの諸文化が紹介されていました。

最後にミュージアム(じゃないですが)ショップがあったのですが、ガイドは別にグッズを売るつもりはないようで「見るだけならタダ」とほとんど素通りになりました。

先にも書いたとおり、特徴のある日本語を話す人でしたが、最後に少々雑談をして、(台湾人でない)大陸の中国人のことを「支那人」と言っていたのが印象的でした。「支那人」という言葉を使うのは他には亡き祖父くらいしか知りませんでしたし。

台湾の人にとって、大陸人と同じにされるのは好まないらしく「中国人であっても説明するのは難しいのに、外国人に分かってもらうのは本当に難しい」と言っていました。そもそも、パスポートに「Republic of CHINA」と書いてあるじゃないかと言われる、とのこと。日本人にとっても微妙な問題ですが、やはり当事者にとっては難しいようです。

最後に、総統の就任記念音楽祭の模様を収録したというDVDをお土産にもらい、危うく見学し損ねるところだった総統府を後にしました。

総統府の見学を終えた後は、MRTで忠孝敦化駅に向かいます。

今度は裏の後半メインイベントです。

旅行記を表の人に見せるときにはこの部分は検閲による削除対象になると思われますが、「台北にもメイド喫茶がある」と聞いていたので、そこへ行くことにしました。

当初の予定では、午後に行くつもりだったのですが、次の予定までの時間が少しあるので先に行くことに。

総統府を出たのが10時過ぎでしたが、11時の開店には少し早かったようで、適当に時間をつぶしてから店に入りました。

こんな感じ表通りから少し入ったところにある店で、建物の上の階は(たぶん)集合住宅、近くにはごく普通の飲食店や商店が並んでいるという微妙な場所にありました(微妙ではない場所なんて、日本の秋葉原ではないのだから存在しないでしょうが)。

ピンク色の看板に「珈琲安[女尼]苺」という文字が、さりげなくカタカナでも「カフェアニメイド」と書かれています。

で、意を決して中に入りましたが、相当に残念なことにウェイトレスのお姉さんはメイド服ではなく普通の(?)チャイナ服でした‥‥。

注文を取りに来たときに「日本から来ました」と伝えると、簡単な挨拶くらいなら日本語が通じるようで、「ようこそ」と言ってくれました。

結構、メニューは充実しているのでどれにしようか悩みましたが、柚子茶なるものをホットで注文しました。

程なく出てきたのはお茶というよりははちみつレモン(レモンじゃないですが)に近いような飲み物で、かなり甘い代物でした。こっそりポットの中を覗いてみると、ちゃんと柚子の実が入っているので、きちんとしたお茶を出すお店のようです。スパゲティなどの軽食もあるのですが、よく見るとお姉さんがカウンターの中で調理していたりします。これなら、食べ物も何か注文すればよかった‥‥。

で、先のチャイナ服のウェイトレスさん(小柄で可愛い)が店長さんに「日本人の客が来た」と報告したらしく、少しするとその店長さんが登場して話しかけてくれました。

「このお店のことをどこで知りましたか」ということから始まり、私の台湾旅行のことや、日本のメイド喫茶事情など、短い時間でしたがいろいろ話をしました。

私はゲーム畑の人間ですが、この店はどちらかというとアニメメインのようで、店内にマンガが置いてあったり、BGMがアニソン(勿論、日本語。どっかで聞いたことあるような歌が‥‥)だったりすることからも伺えます。

店長さんはかなり日本語が上手な人で、「同人」もご存じでした。日本にはもう20回くらい言ったことがあるそうで、コミケの時には秋葉にも行くという強者ぶり。話すだけでなく読み書きも出来るということなので、「こんなこともあろうかと」持ってきた私のメイド本新刊「あこがれの道」を差し上げました。お礼にお店のコースターを1セットもらいました。羊のキャラとメイド服の女の子がそれぞれ2つずつです。

次の予定は台北駅からの出発なのですが、まだ少し時間があったため、追加でコーヒーを注文。これまでの経験も含めて思ったのですが、台湾でコーヒーというと砂糖入りの甘いのが基本のようですね。尤も、普通にペットボトルのお茶を買っても「無糖」でない限りは甘かったりするのですが‥‥。

平日のお昼ということで広い店内には余裕がありましたが、そんな感じでのんびりメイド喫茶のひとときを過ごして店を辞しました。

次は、前述の通り台北駅へ向かいます。

午後は、ここから列車に乗って郊外の平渓線というローカル線に乗りに行きます。

山間の駅台北の駅で切符を買い、待ち時間の間に駅弁を食べて(中身は嘉義で食べたのとほとんど一緒)、リョ光号で侯[石同]という駅へ、東回り線は台北の市街地を出るとすぐに景色が山の中へ変わります。侯[石同]駅もそんな山の中にありました。

ここで平渓線の気動車に乗り換えます。平渓線は川沿いに走るローカル線で、台北から1時間程度なのにかなり本格的な渓谷美が見られます。沿線には滝がいくつもあってハイキングコースにもなっているようです。車窓からもいくつか滝を見ることが出来ます。

気動車列車はかなりのんびりと進みますが、途中ではなんと線路のすぐ脇がハイキングコースか何かになっているようで、人が平気で歩いていたりするので運転にも気を遣いそうです。遠足っぽい小学生の集団なんかも歩いていましたし。

途中、十分という駅で貨物列車と交換。今は閉山になってしまいましたが、この路線はもともと、終点の青桐で産出する石炭を運び出すために敷設された路線でした。石炭輸送の役割は終えましたが、砂利などを運ぶのにまだまだ役に立っているようです。

台湾にはまだ荷物車や郵便車なども残っており、こうした貨物列車と共に懐かしさを感じさせてくれます。

懐かしいといえば、タブレットもまだ現役です。とはいっても、平渓線では交換可能駅はここだけなのですが。

一帯は観光地になっているので、駅の近くは意外に賑やかだったりします。

そんな中、約30分で終点の青桐駅へ到着。列車はすぐ折り返して行きますが、私は降りて次の列車まで1時間ほどをこの駅で過ごすことにしました。

駅舎正面ホーム側

ホームが1本だけのシンプルな駅ですが、日本統治時代に作られた木造駅舎が健在で、これまた美凪が出てきそうです。近くには野良犬がたくさんいるらしく、美凪ならぬその犬たちによく遭遇しましたが。

ちなみに、この駅舎は台湾の「建造物百選」だかに選ばれたそうです。

もともと貨物の積み出し駅だったため、構内は広かったりします。駅舎の反対側には3本ほど線路があり、石炭を積み出すためのホッパーが残っています。こちらはもう使われていないため、廃線跡チックです。廃墟の類の好きな人にはお勧め物件かもしれません。いい感じで寂寥感にあふれています。

駅構内このホッパーが2機あり、それらの写真を含めて駅構内を撮って回りました。同じ趣味の人というのはいるらしく、三脚を持った本格的な装備の人も構内を歩き回っていました。
この石炭関係の設備は資料館として保存されているようですが、斜面の上にある斜坑跡などは整備中とかで入ることは出来ませんでした。

そうして歩き回った後は駅の待合室で少し休みました。帰りの切符を買ったのですが、これまた懐かしい硬券でした。帰りの瑞芳までは30元。やがてやってきた列車に乗って帰りました。

瑞芳からの列車は混雑していて座れませんでした。この列車、台東から北回りで台北を経由して高雄まで行く長距離列車です。時刻表によると台東を出るのが朝の10時で、そこからひたすら走り続け、終点の高雄に着くのが夜中の0時過ぎ。いやはや、大変そうです。

帰りにはもうすっかり暗くなりました。意外にこの時期でも日が暮れるのは早いです。

台北駅でMRTに乗り換えるとき、途中で見つけた店に立ち寄って「宇宙戦艦ヤマト」のDVDを買ってしまいました。実は前から欲しかったのですが、高いのでやめていたんです。台湾では399元でしたので、日本円にすれば1500円ほど。オリジナルの音声(当たり前ですが日本語)も入っているようですし、字幕(中国語)の表示切り替えは可能なので、要するに日本のと同じ形でも見ることが出来ます。ところで「デスラー総統」は漢字でどう書くのでしょう。

最後に、MRTの余談を少々。

これに乗るときは自動販売機で切符を買うのですが、切符は普通にイメージする小さいアレではなく、テレカ(パスネット)のようなカードで出てきます。これを自動改札に通すわけですが、このカードにもそれこそテレカのようにいろいろデザインがあって、結局、同じのを2回見ませんでした。

で、カードをよく見ると端がかすれていたりするので、実はこのカード、使い回しているのかもしれません。

そして、去年は見なかったのでつい最近導入されたのでしょうが、スイカのような非接触型のカードも導入されていました。意外に使っている人は多かったのですが、バスにも同じ機械があって、共通利用できるようです。

それなら、私も使ってみればよかったとも思ったのですが、後で調べたところによると、最初の料金(デポジット+初回のチャージ金額)は400元なので、ちょっと高額過ぎます。有効期限があって、最後のチャージから2年までしか使えないので、「いつかまた来ることもあろう」というのは微妙なところです。

そして、もう一つ気が付いたのは、台湾の道路は右側通行なのは前に書いたとおりですが、鉄道に関しては何故か日本と同じ左側通行です。歴史的事情というやつでしょうか。

ところが、このMRTになるとまた右側通行で、これはごく一部でしか見ていないので全般的にそうかは分からないのですが、地上に出ると左右入れ替わってまた左側通行になります。

慣れないと乗り間違いをしそうですね。

今回の台北では、かなりMRTを頻繁に利用して経験値が上がりました。

滞在が平日だったためか、ホテルへの帰りはたいがいラッシュに巻き込まれて苦労しました。

さて、台湾最後の夜になったわけですが、その最後の食事は豪勢に‥‥、とはいかないのがひねくれ者の私のやるところです。

最後のお土産、パインケーキを買いましたが、途中にコンビニに寄ってカップ麺を買ってみました。少し豪勢に45元のもので、最初の日に岡山で食べた羊の麺らしいです。これと、パインケーキを買った店でついでに仕入れてきた月餅が夕食です。

カップ麺は、羊肉がレトルトで入っていてさりげなく豪勢でしたが、味の方はやはり本物には敵わないですね。ま、ネタなので仕方ないでしょう。

部屋でそんな食事を済ませ、あとは荷物整理です

今回の旅行の課題はいかに荷物を減らすか、にありましたが、努力の甲斐があって、行きに持っていったキャリア付きバッグ+デイバッグの他に紙袋1つ分だけの追加で済むようになりました。9日間の旅行の荷物としてはかなりコンパクトにまとめることが出来たのではないでしょうか。実際にはお土産満載ですし‥‥。

飛行機に乗るのであまり荷物がたくさんというわけにはいかないのです。

実は、一番かさばる荷物は「黒松沙士」の2リットルペットボトルだったりします。

中身は謎ドリンカーの間では珍しくも何ともないのですが、この「2リットルペット」というのは日本では手に入りませんからね。


そして、最終日となりました。

中正飛行場からの飛行機は、14時55分発と微妙な時間で、天気が良ければ午前中はもう一頑張りしようかと思ったのですが、雨がちですしホテルもチェックアウトしてしまうので、おとなしく空港に向かうことにしました。

ホテルから空港までの直行もあるにはあるのですが、時間が合わないので、昨日のうちに偵察しておいた台北駅前から向かうことにしました。

空港まではバスで約1時間、120元なのですが、客はあまりおらず、6人くらいのまったりぶりです。

途中で何度かすれ違った「総統座椅」のバスを見て、「あ、これに乗らなかった」とちょっとだけ後悔。

緑色のバスで、正面に「総統座椅」と大書きしてあり、座席は全てソファ(1列で両側2席だけ)という豪華バスです。1台の定員は19人とか。今回の移動はほとんどが鉄道だったので、結局、乗らずに終えてしまいました。

空港では相当時間に余裕があったので、最後の食事をしたあと、チェックインが始まるまで英語の勉強をして時間をつぶしました。

今回、チケットを持っている飛行機の40分ほど前にもう1便あるので、それに振り替えてもらい、早めに帰ることにしました。

エバー航空と全日空の共同運行便なのですが、こちらの機材は全日空でした。

なので、帰りの飛行機はほとんど国内線の普段の飛行機と変わらない雰囲気です。それでも、機内食が出て、飲み物(ワイン)がタダで飲めたので大変結構なことでしたが。

3時間ほどで成田に着き、さほど混んでいなかった入国審査を終えて、晴れて無事に日本に戻ってきました。

そこから横浜まで一気に「快速エアポート成田」で戻ってきました。グリーン回数券を持っているので、それの威力を遺憾なく発揮して。

成田から横浜までは約2時間、そこから家まで帰る時間も合わせると、台北から成田まで飛んでいる時間とそう変わらなかったりします‥‥。

ともあれ、無事に帰りましたので、旅行記執筆の筆も、ここで置くことに致します。

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