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台湾旅行記・3日目

船の中では割とまともに寝られました。

普段から夜中に目の覚める毎日なのですが、それとさほど変わらずに、朝の案内放送で目が覚めました。

到着 高雄着は6時で、すぐに入国管理官が乗り込んで入国手続きを行います。

人数も少ないので、それはすぐに終わったのですが、税関の係員は朝8時にならないと出勤してこないそうで、それまで船の中で待機していてくださいとのこと、何やらのんきな話で‥‥。

まあ、時間調整にはちょうどよいと思いつつ待機して、8時過ぎに税関の審査を終えました。

といっても荷物を改められたわけでもなく、あっさりしたものでしたが。

今回もターミナルから遠いところに船が着いたので、漁船みたいな小型の船に乗り換えてそちらへ向かいました。空港ではよく飛行機からターミナルまでバスということがありますが、それの港版でしょうか。

さて、ここからまず、高雄駅まで向かうわけですが、あえてタクシーに乗らずに徒歩で。

港の雰囲気はよかったのですが、予想通り中には両替など出来るところはありませんでした。台湾元を用意しておいて助かりました。

荷物を引きずりながらのろのろ歩いていると、よく車にクラクションを鳴らされます。

最初は何のことかと思っていたのですが、気が付くと鳴らしているのはタクシーで、要するに「旅行者だろ、乗ってけよ」ということのようです。申し訳ないですがそれは無視で‥‥。

途中で貨物線の踏切などに萌えながら、川(愛河というらしい)の西側にある市街地へ。ここは公園や歴史博物館などがある地域ですが、まずはのどが渇いたので補給を。やっぱり、こっちは暑く、歩いていると汗が後から後から出てきます‥‥。

ちょうど「高雄牛乳大王」というなかなか面白い名前の店を見つけたので、小休止を兼ねて立ち寄ることにしました。

店のお姉さんは日本語も出来る人で、「パパイヤミルク?」と一番のウリを教えてくれましたが、そこはあえて外して「西瓜牛乳」にしました。値段は50元なので、巷のスタンドや屋台と比べたら少々高めでしょうか。

去年の出張の時の残りから50元硬貨を出したら「それはもう使えません」と言われました。後で分かったのですが、今年の6月に50元硬貨だけ新しいものに切り替えがあったらしいです。慌てて100元札を出す私。

で、そのスイカミルクですが、意外にこれが美味しかったりしました。牛乳のしつこさがうまいこと西瓜の甘味と水分で中和されて。ただ、「牛乳は濃いのが一番!」という人にはちょっとお勧めできないかもしれませんね。

歴史博物館飲み終わった後、行動再開です。近くの歴史博物館は日本統治時代に建てられた旧高雄市役所の建物を使っているそうで、そう言われてみるとなんとなく日本の一時代前的な雰囲気を醸し出しています。実は、台湾にはこうした日本統治時代に建てられた建物がまだまだ現役で残っているので、国内で古い建物を探すよりも楽だったりします。

これは、台湾は戦争中にあまり空襲を受けなかったこと、日本のように急激な再開発をしていないことによるのでしょう。

時間があれば中も見学したかったのですが、今回はパスで。

そのまま愛河を渡り、大通りをひたすら駅に向かって歩いていきます。

台湾の道路は右側通行なので、ドイツに行ったときと同じく最初はとまどいます。特に(当たり前ですが)バスの動く方角とドアのある向きも逆なので、最初は「あれ?」の連続で‥‥。

道幅は広いのですが、外側の車線と歩道の間には車やバイクがバンバン路駐されているので歩きにくいことこの上ありません。

駅前通りには洋服やなどの他に本屋やレコード屋、ゲーセンなどがあります。勿論、コンビニもあちこちに。日本より多いのではないでしょうか。セブンイレブンと「全家便利商店」ことファミリーマートがほとんどです。

本屋には、どこかで見たような日本のマンガが置いてありましたし、ゲーセンには一番目につくところに「頭文字D」のドライブゲームが置いてありました。コンビニには、当たり前のようにパソコンソフトが置いてあるところが目立つでしょうか。勿論、台湾らしいドリンクがいろいろあって、どれを飲もうか迷うくらいです。

そして、ようやく高雄駅に到着。港から4キロほど歩いたでしょうか。

高雄駅は今、再開発中ですが、日本統治時代からの旧駅舎は取り壊されずに記念館として保存されるようになったそうです。敷地の隣に移設されていましたが、記念館としての公開はまだ始まっていないようで、外観のみの見学になりました。

日本にもよい建築の駅舎はたくさんあったので、見習ってくれればよかったのですが‥‥。

さて、駅に着いてまず、コインロッカーに荷物を預けました。暗証番号方式でキーがないので楽です。

最初に、今後の全ての行動の助けになる時刻表を買おうとしたのですが、改訂中ということでどの売店にもありませんでした‥‥。これは困ったことになりました。

でもまあ、困って立ち止まっていても始まらないので、まずは近郊の岡山までの切符を買って出かけます。

ホームは昔の日本のターミナル、例えば新幹線開業前の盛岡駅のような雰囲気でした。今で言えば、青森とか下関あたりの雰囲気が近いでしょうか。

やってきた急行列車(?光号)に乗って、20分弱かけて岡山へ向かいます。途中、急ピッチで進められている台湾新幹線の工事現場が広がっていました。駅は高雄ではなく郊外に作られるようで、新幹線用に3面6線、在来線(今、自分の乗っている線路)に2面4線のホームが建設中でした。

そして、11時48分に岡山に到着。ここも昔の日本の幹線急行停車駅(須賀川とか鯖江とかそんな雰囲気)の雰囲気です。

さて、なぜわざわざ市内から列車でこんなマイナーなところまで来たかというと、昨日の船内での情報整理中に「高雄郊外の岡山では羊肉を食べさせる店が多くある」と聞いたからです。

羊肉と聞いては、見逃すわけにはいきません。

というわけで、岡山に降り立ちました。この情報の出ていたガイドブックは大判だったので、ロッカーの荷物の中に預けてしまいました。

だいたいの方角だけ覚えてきたのですが、道がよく分からず、おおよその方向だけ当たりを付けて適当に歩くことにしました。

歩くこと15分ほどで、それらしい一角を町の中心部に発見。ガイドブックに出ていた店とは違うようですが(店の名前を覚えていなかった)、思い切り場末の(失礼!)よさげな店を見つけたので、そこに入ることにしました。お腹がもう空いていましたし。

メニューを見て、「麻油羊肉」というのと「蛋炒飯」というのを注文しました。

ほどなく出てきましたが、これがかなり美味しいので「グッジョブ!」と内心で喝采しました。

「蛋炒飯」は要するに卵チャーハンで、少し油っぽいのですがまあ、合格ライン。「麻油羊肉」はごま油で仕上げた羊肉の炒め物で、千切りの生姜と一緒に調理してあるので、羊肉の臭みが全くありません。

これで合わせて130元、日本円にして約450円(チャーハンだけなら30元、約100円)ですからかなりコストパフォーマンスのよい食事でしょう。

会計の時に、中国語会話辞典を見ながら苦労していると「日本から?」と聞かれました。あちらさんも物珍しいのかなんとなく嬉しそうだったので、こちらも「おいしかった」と答えてお互いニコニコで店を出ました。

すっかり満足したので、そのまま岡山駅に戻ります。

15分待ちくらいで高雄方面行きの普通列車(「電車」というらしい)があるので、それに乗車。

ここで補足しておくと、台湾の鉄道の運賃体系は乗る列車によって決められており、日本のように「運賃+特急/急行料金」というのではありません。なので、まず乗る列車を決めてから切符を買うことになり、買えば自動的に座席指定が(急行や特急の場合)着いてきます。満席になると立席の切符が買えますが、この場合は、空いている席に座り、主が来たら譲るというシステムになっています。

今回、帰りの「電車」は要するに通勤型の車両なので関係ありませんでしたが、行きの?光号は先のシステム通りでした。

で、韓国製というちょっとリスキーな電車に乗り込み3駅、高雄の前の左営駅で降ります。この近くに蓮池潭という公園などがあるのです。

龍虎塔駅から少し歩き、池が見えてくるとほどなく龍虎塔というのが見えてきます。文字通り、池に突き出た龍と虎の2つの塔が立っています。建築様式はよく分かりませんが、ようやく中国チックなものに出会えました。


名門袁家の戦いぶり塔に渡る橋は何故か激しくギザギザになっており、その側面にはどこかで見たような絵が描かれていました。「曹操が潼関で馬超に遭う」とか「趙雲が主の子を救う」とか「孔明が群儒を言いくるめる」とかそんなようなものが、微妙に「袁紹盤河戦公孫」なんていうのもありました。
塔は6層までありましたが、上まで上ると風が気持ちよいです。

関羽さましばらくそこで休んだ後、降りて次の啓明堂へ向かいました。向かいの池にある武将像からも分かるように、要するにここは関帝廟らしいです。張飛どころか劉備まで脇に従えている関羽さまの存在感が圧倒的です。

顔が赤黒いので(ごめんなさい)、写真を取るときの露光がうまくいかないのですが。

そしてその先、孔子廟へ向かいます。この一体では一番広いところで、天下の孔子様の面目躍如といったところでしょうか。1665年建立という、台湾最古の廟らしく、日本統治時代までは台湾での儒学の最高学府であったそうです。

300年以上前の建物の存在感はさすがで、門から入ってじっくり堪能しようと思ったのですが‥‥、なんと休館中でした。

盗み撮り実は明後日が教師節(孔子の誕生日)なのですが、その祭典の準備期間ということらしいです。やむを得ず、門の脇から大成殿の姿を盗み撮りして終わりになってしまいました。

次の目的地は海岸沿いにある旧英国領事館ですが、ここは交通が不便で駅からも遠いため、タクシーで一気に向かうことにしました。

台湾のタクシーは比較的安いのですが、バスや列車と比べたらやはり高めであることは確かです。

ですが、今日はもう充分に歩いているし、とにかく暑くて汗がつらいので、ここは一気に。

250元とそれなりの値段を支払って、英国領事館に到着。途中、高雄の城門や城壁が見えたので降りて見に行きたかったのですが、さすがにそこまでの勇気はありませんでした。

ここはその名の通り、清国時代の1866年に開かれた領事館で、当然、洋風の造りになっています。小高い丘の上にあるので眺めも素晴らしく、かなりの人で賑わっていました。ガイドブックには「穴場ですが是非行ってみよう」といったことが書かれていましたが、どこが穴場なんだか‥‥。

中の展示には高雄港の歴史的説明がされており、当然、日本統治時代のことにも触れられていました。日本の港湾整備で引き込んだ線路のことを「濱線」というようです。領事館の隣には砲台の跡もあったりしますが、あまり目立たないようです。

メイドさんいないかな‥‥洋風の(こちらでは)珍しい建物は、アーチ型にデザインされたテラスが心地よく、テラスと庭は喫茶コーナーになっていました。建物の説明もそのすぐ脇にあるので、お茶を飲んでいる人の脇に入り込みながら説明を読むというなかなか微妙な状況です‥‥。
また、庭からは高雄港を一望でき、対面にあるランドマーク(東帝士大楼展望台)も霞みつつも見えます。

今朝到着したフェリーの港の隣はすぐ軍港になっており、台湾海軍の船も停泊していました。

領事館からは観光船乗り場まで1キロほど歩き、そこからバスで戻ろうとしたのですが、ガイドブックにある系統のバス乗り場が見つからなかったので、また贅沢にタクシーで戻ることにしました。

そのため、貨物駅が撮影出来なくなってしまいましたが、まあそれは我慢することにしましょう。

駅に戻り、ロッカーから荷物を出すと、ちょうどお姉さんがロッカー満員御礼で困っているところでしたので喜ばれました。

時刻表はどうしようと考えていると、ちょうど駅弁売り場を見つけました。どんな弁当かと覗いてみると、脇に「火車時刻表25元」の文字が。すかさず、それを指差して買い求めました。これで一安心です。

駅から今日のホテルまでもそれなりの距離があるのですが、そこは気合いで歩いて到着。

最初の日ということで、予め日本で予約しておいたホテルです。格もそれなりに高めで、今日の拠点とするにはよいでしょう(これから夜市に食事に出かける予定)。

とにかく厳しい汗から逃れるため、早速シャワーを浴びて、一休み。

ホテルの庭では何かのパーティが開かれているらしく、ずいぶん賑やかです。カラオケで日本の演歌も聞こえてきましたよ。

さて、一休みを終えた後、六合夜市へ出かけることにしました。

今回の旅行は、この手の屋台などで食事をすませば、食費がそんなに掛からないことが見込めるので助かります。

デジカメの限界「観光夜市」を標榜しているだけあって、結構幅の広い道を自動車通行止めにして、道の両側にいろいろな屋台が並んでいます。食べ物や飲み物(フルーツジュースやフルーツ牛乳)がメインですが、おもちゃや雑貨などもあったりします。真ん中がバイクに占拠されていて、中央分離帯のようになっているのが面白いところですが‥‥。

何を食べようか、見ながら適当に考えて進んでいきます。私の腹の容量は無限ではないので厳選せざるをえません。とはいいながら、一周回ってそれから、などと面倒なことは考えず、感覚の赴くままに、まず1軒目がヒット。牡蠣入りのお粥の店にしました。

高雄はこの通り港町なので、海産物を多く産します。日本式のお寿司の屋台とかもありましたが、生ものはリスキーなのでやめて、ここでお粥を頂くことに。何かの魚のミンチや小エビ、エノキが牡蠣の他に入っていて、生姜とニンニクで臭みを抜いてあります。これで60元。

美味しく頂いたあと、散策再開。次に見つけたのは水餃子の店。「1つ3.5元」という微妙な看板に引かれたのですが、実際は10個単位のようです。次を見据えて半端に注文しようとしたら(一応、偶数でですよ)、おばちゃんにそう諭されました。

餃子は、目の前でお兄さんお姉さんが一所懸命作っています。その脇で出来たてを頂き、これも素朴な味ながら満足。まあ、旅先なのでよほどアレなものが出てこない限り満足なのですが。

もう一つくらい、今度は麺類でも行こうと思いましたが、気を変えてフルーツジュースに挑戦してみることにしました。

ざっと見たところ、ポピュラーなのはマンゴー、パイン、イチゴあたりですが、意外にスイカなども当たり前のようにあります。

普通にジュースとして売っているのと、「○○牛乳」という乳飲料化して売っているものもあります。そんな中、わざわざ主流を外して選んだのが「楊桃」すなわちスターフルーツです。

その名の通り、断面が星形になる変わったフルーツなのですが、謎ドリンカーの間ではこれのネクターがこってりしすぎてハイレベルの強敵だったりします。それにあえて挑戦しました。

大小2つのコップを差し出すお姉さんに、小を指差す私。値段は確か20元でした。味の方はというと‥‥、いや、本物(?)はそんなに不味くありません。あの独特のちょっと塩味っぽいものが健在ですが、それをどうしても厭うのでなければ、喉越しはそんなに悪くありません。

それでそれなりに腹がふくれてきたので、3つめの食事への挑戦は止めて、フルーツを買うことにしました。南国にきたのだから、滅多に(たらふくは)食べられないものを、ということでマンゴーにしました。カットフルーツをパック詰めで売っているところを見つけたのでそこで購入。値段は50元とちょっと高めですが、量が本当にたらふく‥‥。ホテルに戻るまで歩きながら半分くらい食べましたが、まだ充分残っています。

そうそう、台湾の信号なのですが一つ面白いところがあります。歩行者用の信号が青になったとき、上部に残り時間が表示されるのですが、それと同時に青信号の歩行者のシンボルがテクテク歩いています。

ところが残り時間が少なくなってくるとこのシンボルが走り出し、なんか煽られているようで笑えます。確かに急ぎたい気分になりますね。

帰りにお茶を買いに寄ったファミリーマートは、店の子供がはしゃいでいたり、おじいさんが新聞を読んでいたりとかなり家庭的なお店でしたが、女の子の着ていたTシャツはセーラームーンだったなあ‥‥。

帰還後、この旅行記を書き、明日の予定を考えながらテレビを付けていました。適当にチャンネルを回していたらディズニーのアニメをやっていたのですが、中国語を話すディズニーキャラというのには相当の違和感がありますね。

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