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6日目・グラーツ観光

ウィーン滞在といいつつ、その中の一日を使ってグラーツまで日帰りで観光に行きました。3日間のうちのどの日にするかは天気の様子を見て決めようと思っていましたが、どうやら心配することもなさそうなので1日目にしました。そうすれば残り2日のウィーン滞在では48時間券が仕えますので。

乗る列車さて、8時少し前に出発のECでグラーツに向かいます。編成はオーストリアの車両で6両編成ながら食堂車も付いています。行き先はスロベニアのリュブリャナというところで、全く知らない町です。列車によっては逆に北のプラハへ向かうものもありますが、ウィーン・グラーツ間はメインルートで、1時間おきに列車が走っています。

車窓の風景マイドリンク駅を出たところで朝食のため食堂車に行ってみましたがなかなかの盛況で相席になりました。パンとハム、チーズにコーヒーというホテルの朝食のようなセットを頼みました。だが、食堂車の混雑はここがピークだったようで、食べ終わることには半分くらいが空席に戻っていました。ノイシュタット駅を出ると景色はだんだん牧歌的に鳴り、更に山間に入っていきます。天気がよいので眺めもよく、線路は曲がりながら高度を稼いでいく感じで、眼下に町や村が広がっているのがよく見えます。

グラーツ近郊までこのような景色が続き、定刻の10時半過ぎに到着。


町の眺めグラーツの観光スポットはほとんど中心部にあるので、まずは一日券を買ってトラムで移動し、あとは気ままに回ります。マルクと広場に向かって建つ市庁舎を見た後、岩山の上にある時計塔へ。リフトで登ることも出来るのですがせっかくだからと階段を歩いて登ることにしました。

途中からのものも含めて長めがよく、時計塔の近くからは市街地が一望できます。

息抜きがてら写真を撮ったりしていると、何かのインタビューのようなものに声を掛けられました。カボチャのクリームをかけたバニラアイスというのをもらい、「味はどう?」「どこから来た?」などの簡単な質問に答えるものです。アイスは美味しかったのですが、甘すぎて後味に少し難があります。

通りの光景下に戻り、ムール川の眺めを見た後はマルクト広場の方へ戻ります。結局帰りも歩いて戻ってきたこともあり、かなり汗をかいてきていたので、途中で見つけたスーパーで水分補給のためと称して缶ビールを買って飲みながら歩きます。トラムの行き交うメイン通りの風景も悪くありません。トラムの通る道は自動車はあまり入ってこないのかもしれません。

教会の中大聖堂の方へ向かいますが、こちらは中には入れないようで外見だけの見学、代わりと言っては難ですが隣にある、フェルディナント2世を偲んで建てられたというMausoleumという廟に入りました。中は厳かな感じで、加えて塔に登ることも出来ます。らせん階段でいつ終わるのかがなかなか分かりませんが、一段一段登っていけば必ず上にたどり着きます。ちょうど十二時になり、大聖堂の鐘が鳴り響きました。

この後はメインストリートに面したところにある武器庫へ向かいます。入口が観光案内所を兼ねており、少しわかりにくくなっていますが、チケットを買って1階(日本でいう2階)から4階までを見学していきます。

武器や鎧の類いは、昨日の軍事史博物館でいくつも見たので目新しさはないかもしれないと思っていたのですが、ここは少しそちらとは様相が違いました。

武器庫まさに「武器庫」で室内にとにかく武器防具が並べてあるのです。特に凝ったデザインのものばかり集めているわけでなく、歩兵の付けていたような無骨な鎧(天井には兜)が並べられています。

1階は主に火器で、石の砲弾を撃つ砲や銃、その手入れのための道具などが並んでいます。銃に至っては壁に垂直にとにかく並べ、通路からは台座しか見えないくらいです。

2階はフルプレートの鎧をメインに再び兜やピストルなど、3階もフルプレートがたくさん並びます。その中でも目立つのは馬に着せた鎧です。

4階はその他の武器ということでハルバードや両手剣、モーニングスター(ただし、槍の穂先が棘になっているもの)などが並んでいます。

薄暗い照明の効果もあって、ここはまさに武器庫らしさたっぷりの空間でした。


ここからは再びトラムで移動し、中央駅を挟んで反対側に位置するエッゲンベルク城へ向かいます。

庭と城トラムに「シュロス・エッゲンベルク」という停留所があるのですが、城のある質の庭園に入るための門を経由して、少し距離があります。天気にも恵まれ、城までたどり着く庭歩きも気持ちいいですね。

ガイドツアーは1時間ごとに出るということなので、14時の回に合わせて行きました。ドイツ語と英語の2グループに分かれ、ドイツ語は聞いても全く分からないので英語の方に参加します。

城の姿城の敷地内(通路)は自由に歩けるのですが、中の部屋を見ることが出来るのはガイドツアーのみです。2階(日本でいう3階)へ登り、一つの部屋から一周する形でスタートです。ここからは写真撮影禁止なので記憶だけが頼りになりますが、様々な部屋の内装は基本的に絵画と文様です。天井も例外なく絵画で、こちらはどうしてそのようなシーンを選んだのか分からないものも含む様々なシーンのものです。壁の絵はそれに加えて肖像画が多いですね。

また、王太子がロンドンへ留学する時に作らせたという(正しく説明を聞き取れていない可能性があります)ブランケットを掛けてある部屋もありました。特に印象に残ったのは2つ。一つは大広間で、天井の絵が曜日に通じる神々の絵(マルス→火星→火曜日)が印象的です。もう一つは狭いながらも「日本の間」とでもいえるであろう部屋で、豊臣秀吉の時代の大阪の町を描いた屏風絵が使われています。画風が中国かなとも思えるのですが、運河や円弧を描いた橋、船のデザインや鳥居、城などは確かに日本のものです。

それを縁に、ここエッゲンベルク城と大阪城は姉妹提携を結んだのだとか。日本といえば、壁にひたすら陶器を飾ってある部屋があり、特に目立つ正面の7枚セットは伊万里焼ということでした。

スープエッゲンベルク城の見学を終えた後は再びトラムで中心部へ、その南側にあるオペラハウスの写真を撮り、近くのカフェで休憩して時間調整して、駅に戻ることにしました。ようやく軽くですが食事も。フリターテンズッペという郷土料理のスープで、あっさりしたコンソメ風のスープにそれのしみた細切りのクレープ、刻んだにんじんパプリカという具が入っています。ほどよい塩味が歩いて汗をかいた体にぴったりでした。

景色やや慌ただしかったものの、グラーツの観光を一通り終えて、少し余裕をみた16時半頃の列車で帰りました。行きの記憶を頼りに、景色の良さそうなところでまた車窓の風景の写真を撮りました。山上に小さな城があったり、途中の山間部では大きくカーブを描きながら(要するに遠回り)高度を稼ぐ区間があって、そういうところは景色も上々です。

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