そろそろ旅は後半です。
ドイツ、チェコを経由しましたが今回の旅行のメインの目的地はオーストリア、更に重視したのはウィーンであり、今日はそのウィーンへ向かいます。移動しつつ投宿していましたが、今日からは宿はウィーンに落ち着け、帰国までお世話になります。中央駅前のibisという国際チェーン(?)の宿です。到着したのが10時過ぎなのでチェックイン前に荷物を預かってもらおうと思ったのですが、早く部屋に入れてもらうことが出来ました。
話は前後しますが、朝8時過ぎの列車でリンツからウィーンに移動。この列車を使うことは決まっていたのであらかじめ座席指定もしておいたのですが、ここでちょっとしたミスを犯してしまいました。
乗る予定の列車が15分ほど遅れていたのですが、ようやく入ってきた列車に乗ったところ、先に到着してしまった次の列車であることが判明しました。幸い、途中停車駅の多いタイプというだけで行き先は同じウィーンであったので事なきを得ましたが、途中のSt.Valentinという駅で乗るはずだった列車に抜かれる始末。
ともあれ、予定より30分遅れでウィーンに到着したというわけです。
部屋に荷物を置いてすぐに出発し、最初は近くの軍事史博物館へ向かいます。歩いても行ける距離なのですが、中央駅の構造を把握したり、インフォメーションで地図を手に入れたりしたかったので再び駅に出てトラムで近くまで移動することにしました。
敷地はややわかりにくかったのですが(本来より一つ手前の道を入ってしまったもよう)、無事にたどり着き、見学します。
オーストリアの軍事的変遷を総括的に扱っている博物館で、大きく4つに分かれた展示コーナーの内容はそれぞれ、三十年戦争からハプスブルク家統治の時代、オーストリアハンガリー二重帝国の時代、第一次大戦、第二次大戦となっています。もともとウィーン発の博物館だったということで、建物自体の装飾も見物で、二階へ上がったところのホールにある壁画や天井画は素晴らしいものがあります。
それでは、展示を見ていくことにします。写真は入館料の他に写真許可証2ユーロを購入することで可能です。それを知らず写真を撮っていたところ、係員に注意され慌てて入口で許可証を買うことに。シールになっていて服に張っておくと「写真OKの人」と分かる仕組みです。
三十年戦争はドイツ地域だけでなくウィーンにもゆかりのあるもので、当時の武器や鎧、ヴァレンシュタインの胸像や、後の時代に画家に描かせた戦場の絵などが展示されています。特に貴重なのは、ヴァレンシュタインが部将のパッペンハイムに宛てた自筆の命令書でしょうか。
奥の方は少し時代が下ったところでの武器や防具、オスマン帝国の装備、マリアテレジアの統治に関連する文物などがあります。絵画も充実しており、ウィーン包囲の様子なども分かります。日本の戦国時代と同じように、丘の上で平民は先頭を見物しているという構図のようです。
次の時代へ進みましょう。
1787年のトルコとの戦争から始まる各時代の軍装などが展示されています。中には偵察用に使われたと思われる気球の実物なども。フランス革命とナポレオン戦争による戦乱がウィーン会議で落ち着き、その国際秩序が1848年の革命により崩壊していく時代です。単なる防具であった兜が、この時代になると装飾の施された軍帽になってきているのが分かります。
一階に移り、次は第一次大戦の時代です。こちらは二階の二つの展示と比べると近代的になっており、定められた動線によって見学出来るようになっています。白眉はやはり第一次大戦のきっかけとなったサラエボでの皇太子の暗殺、このときに乗っていた自動車でしょう。その隣には、血まみれになった衣服もあり、さすがは本場(?)といったところです。
第一次大戦は戦争の中で初めて飛行機や毒ガスが使われたり、機関銃や塹壕戦など新しい形の戦争が展開されました。そのため被害も甚大で医療(負傷の治療)についても説明されています。
第二次大戦になると、やはり出てくるのはヒトラーのドイツ。オーストリアを併合した時代のナチス絡みのいろいろなものが展示されています。戦中のプロパガンダポスターの展示など割と幅広いです。兵器についても、対空砲や雪上車、航空機や爆弾、臼砲など空間をギリギリまで使う倒す形で展示されています。
軍事博物館には別館のような形で戦車コレクションもあるというので見に行こうと思ったのですが、これは日曜日しか公開していないということなので諦めました。日曜日は帰国日なのですが、時間的にちょっと無理かと……。
次に向かったのはウィーンの中心部(中央駅はどちらかというと南の外れにあります)やや南西部にある拷問博物館というところです。隣に大きな水族館があり、こちらの方がメジャーだと思うのですが、その脇に地下に入る入口があります。公園の地下に博物館があるというのも妙な感じです。
入館料6ユーロは展示物の内容を考えると微妙な値段ですが、まあつまらないことはありませんでした。中世頃の様々な拷問方法を人形を使いながら説明する感じです。昔、ドイツのローテンブルクで似たような博物館を見た経験があって予備知識があったため、説明はドイツ語だけでしたが何となく内容は理解できました。無理矢理水を飲ませるもの、鉄の檻に入れてその檻ごとつるしてさらし者にする刑罰用の器具、いわゆる「鉄の処女」やギロチンまで展示されています。釜ゆでのシーンなども。
その後は徒歩で移動して帝国の家具コレクションへ。今回、ホーフブルク宮殿とシェーンブルン宮殿のセットになった「sissiチケット」をオンラインで購入してあったのですが、そのチケットでこの家具コレクションも見学できるということなので行ってみることにしました。時間的に余裕があれば、くらいのつもりだったのですが、その余裕が出来ましたので。
中は家具というよりは貴族の文物を集めたものといった方が適切かもしれません。最初の部屋ではシャンデリアや胸像、時計などがひたすら並べてあり、その奥は家具を取りそろえて居間や寝室など様々な部屋を再現しています。中には中国から取り寄せたと思われる品物も。
どうやら集めたものを全て展示することは出来ないらしく、おそらく貴重と思われる家具が無造作に積んである部屋までありました。高価な家具をこのように扱っていいのかと心配になりましたが……。
だいぶ歩きましたので(博物館の見学も、結構歩くので疲れるのですね)、近くにあるRitter(騎士)というカフェで一休みすることにしました。もはやパフェに近いアイスコーヒーを頼み、念願の「ウィーンでカフェ」を果たしました。
まだ少し時間に余裕があるので、ここからは地下鉄で移動し、途中で通る公園でモーツァルトやプリンツオイゲンの像などを見つつ中心部にある国立図書館へ行きました。
ファンタジーもののアニメに出てきそうな、「それらしい図書館」がまさに現存している感じです。14世紀から続くもので、今年が650周年なのだとか。
ガイドブックに出ている写真はなかなか雰囲気のあるものでしたが、コンパクトデジカメだと光の具合がうまく調整できず、そこまでの写真が撮れなかったのが残念です。
次はトラムで市庁舎へ。夕方18時もそろそろ過ぎるので、あとは開館時間を気にしなくてよいところへ行きます。
ところが、ちょうど映画祭りなるものが行われるようで、市庁舎前の広場には出店が連なり、肝心の建物の正面には大きなスクリーンが設置されていました。
仕方がないので、ここで夕食にすることにします。
夕食後ももう少し「見るだけ」のものを見に行こうかと思いましたが、だいぶ歩き疲れましたし、一日目でそこまで欲張る必要もないかと、おとなしく宿に戻ることにしました。