比較的朝は早くない今回の旅行プランでしたが、この日は早起きすることにします。
宿の朝食が6時からということもあったので、軽く食べて駅へ向かい、6時半に出発の列車に乗ります。
今日の目的地は岩塩の採掘で栄えたハルシュタットという町です。湖の畔にある町ですが、古代から続く岩塩の生産で栄え、中世らしい町並みが今でも残っています。世界遺産に指定されたこともあってかなり観光地化してしまいましたが。
途中、Attenang-Puchheimという駅でローカル線に乗り換えます。牧草地が車窓に広がるのんびりした景色の中を進み、やがてトラウン湖(Traunsee)という湖が見えてきます。その後は日本で言うと高山本線や伯備線のような山間を走り、ハルシュタット湖(Hallstatter see)が広がるようになると、目的地のハルシュタットに到着します。平日の朝ということもあって、列車はガラガラでした。
ここからは船に乗って対岸のハルシュタットの町へ。着いてみるとたくさんの観光客が歩いており、一気に様相が変わりました。
天気もよく、青空に映える建物を見ながら南の方へ歩きます。世界遺産にも指定された観光地ということもあり、いちだんと中国人の姿を多く見かけます。
当初は1時間ほど町歩きをして10:45の船で戻るつもりでしたが、ケーブルカーで登って絶景を楽しめるスポットや、その奥の岩塩採掘の鉱山があるというので行ってみることにしました。ケーブルカー往復と鉱山で30ユーロと結構な値段ですが。
景色は確かに素晴らしく、眼下には先ほど歩いたハルシュタットの町、視点を遠くにすると湖の全景や南部のオーバートラウンの町を見ることが出来ます。
鉱山の方は、ガイドツアーで巡る形式で、ガイドのお姉さんがドイツ語と英語で説明してくれます。また、オーディオガイド代わりのスマホアプリが提供されていて、こちらは日本語にも対応しています。
途中、滑り台などもあるため、作業服のようなものを貸してくれます。構内は気温が8度ということなので、羽織る上着代わりでもあるようです。
鉱山は古代から続くもので、最新の採取までのいくつかの方法を説明しています。最初は単純に岩塩をハンマーで削り取り、人夫が運んで行くもの。後に、構内に水を通し塩水にして地上へ運び、乾燥させて塩にするという方法になったそうです。
14世紀頃に落盤事故でなくなった人夫が、幸か不幸か塩漬けになり、後に発掘されたという事例もあるそうです。最近は発掘物をウィーン自然史博物館で解析したりするそうで、ここの見学料の一部はそのための資金に充当されるそうです。
鉱山の見学を終えて、ケーブルカーで下に戻ろうとしたところ、眼下をヘリコプターが飛んでいるのを見かけました。下りてから様子を見ると、山の中腹から煙が立ち上っており、どうやら山火事が発生したようです。ヘリは湖から水を汲んで火事の上空まで飛び、水を投下しています。なかなか簡単には鎮火しないようで、結局、列車に乗ってハルシュタットを後にするまで煙が立ち上っていました。
ハルシュタットの駅からは来た経路を戻り、途中のバートイシュルという駅で降ります。ここからはショートカットする形でバスでザルツブルクに移動することが出来ます。
トーマスクックの時刻表にも出ているルートなので、鉄道パスで利用できるかと期待したのですが、どうやら無効のようで、普通にバス代10.8ユーロを払いました。
途中は、ウォルフガング湖などこちらも景色のよいところを通り、一時間半弱でザルツブルクに到着しました。バスは中央駅まで行きますが、市内観光に便利な市街地南部を通るのでそこで下りることにします。
この時点で15時近く。さすがにザルツブルクの見所を全て見て回ることは出来ないので、ピンポイントで観光をします。
最初に行ったのはモーツァルトの住んでいたという家です。今は博物館になっており、本人や家族などの足跡をたどることが出来ます。日本語もあるオーディオガイドでは、クラシックをBGMにしながらモーツァルトの使った楽器などの解説を聞くことが出来ます。
その後は橋を渡ってザルツァハ川の対岸へ。大聖堂やモーツァルト広場の像などを見ることにします。ホーエンザルツブルク城の姿も見えますが、そこまで登るのはちょっと厳しそう。季節柄、ディアンドルを女性をたくさん見かけました。
その後は、サウンドオブミュージックで有名なミラベル庭園を歩きつつ、駅の方へ向かいます。中央駅からは特急列車的存在のレイルジェット(RJ)に乗り、食堂車で夕食を済ませつつリンツに戻りました。