六日目になった。
今日も天気は晴れ。ドイツに来てから、最初の日が曇り空だった以外は、雲が結構出ているものの日が差す日がほとんどで、今のところは折りたたみの傘は無用の長物となっていた。
ゆっくりと7時半過ぎに起床してから、1階のレストランへ朝食へいく。
朝食はヨーロッパスタイルのバイキングで、紅茶かコーヒーを頼むとポットで持ってきてくれる他は、基本的に好きな物を取って食べるスタイルである。
パンも美味しいのだが、ここは種類の豊富なハムやチーズをいろいろと食べることにする。
水分補給のジュースも飲み、ハムの中ではマッシュルームを埋め込んであるものが一番美味しく、お気に入りとなった。
そして9時過ぎにチェックアウトする。今日は昼頃にフランクフルトへ移動する予定となっており、その前の午前中は、昨日回りきれなかったアイゼナハの観光スポットを回るつもりであったのだが、抑えるべき所は昨日のうちに抑えてしまっており、多少、手持ちぶさたな感が否めない。
一度駅に向かってロッカーに荷物を預けた後、再び町に戻ってくる。いろいろな造りや色の住宅を見ているだけでも楽しいのであちこちぶらぶらと歩き回り、エリザベス教会や小川を見に行った後、10時に合わせてマルクト広場のゲオルク教会へと向かった。
教会は10時から公開開始で、昨日は見ることが出来なかったのだが、今日は日常的な礼拝が行われているようで、学生たちが集まってきていた。
その中に入って中を見るのもためらわれるので、入り口から少しだけ中を覗いて出てきてしまった。
そして、三度目になるが市の中心のマルクト広場にやってきたので、印象的な色彩の市庁舎も写真に改めて写真に納めておくことにする。
昨日は広場にいくつか出店が出ていたのだが、今日は何故かその姿が見られない。何となく閑散とした雰囲気である。商店街の方は昨日と同じ賑わいを見せていたが……。
次に行こうと思っていた自動車博物館は、開館が11時からということなのでやめることにし、駅に戻った。
フランクフルト行きの列車は昨日乗ってきたものと同じであるが、発車までの少しの時間に駅構内を歩いて雰囲気をカメラに収める。
列車では首尾良く座席を確保することが出来、外の景色をぼんやり眺めながらいろいろ考え事をしているうちに、2時間ほどでフランクフルト中央駅に到着した。
まずはインフォメーションでホテルの確保ということになるのだが、フランクフルトのような大都市の駅では、機械パネルで空席のあるホテルの一覧を探し、併設の電話から直接コンタクトが取れるようになっているといい、すぐにそれが見つかったので試してみた。
タッチパネル形式でメニューを選び、探していくのだが、想定していた値段の中堅どころのホテルはあらかた埋まってしまっていた。
残るは一泊100ユーロ以上の高級ホテルか、逆に20〜30ユーロ程度の安宿になるのだが、少し迷ったあげく、値段を取ることにした。
駅から遠くない「ホテル・ライフ」というところを見つけ、話をした結果、無事に二泊を確保することが出来た。
早速、駅から歩いて10分ほどのホテルに着いたのだが、やはりそれなりの値段だけあって、いかにも「安宿」という雰囲気を醸し出していた。
ドアから薄暗い通路を通って二階に上がると暇そうなおばちゃんがフロントにいたので、先ほど電話した泊まり客だという。手続きを済ませて部屋に案内してもらうが、これがまたこれまで泊まったところとは違って至って質素な部屋であった。
部屋の電灯の電球が切れていたりと、ちょっとしたトラブルもあったのだが、そのおかげで主とも話が出来たのでよかったとしよう。
そのごたごたで少し時間を取られてしまったが、町を少し歩いてみようと思い、外に出る。
フランクフルトはドイツ一番の大都市なので、雰囲気を楽しむというところからは少し遠いところにある。しかしそれでも、マイン川の川辺の風景や、大聖堂、レーマー広場などの雰囲気は悪くない。ハウプトヴァッフェの賑やかな様子も都会らしくて悪くはない。
ここのショッピングモールに寄ったあと、隣にあるグローセ・ボッケンハイマー通りという通称食い道楽の道に行ってみた。
ここの特徴はワインを出す出店がたくさん並んでおり、いろいろな銘柄(勿論、店によって置いてあるものも違う)のワインをグラス単位の廉価で楽しむことが出来るのである。ここに来たからにはワインも飲んでみようと、私も一杯試してみた。銘柄は忘れたが、ラインエッセンのアウスレーゼ(甘口)である。
当たり前だがこれまでスーパーで買って飲んだような安物とは違って、すっきりした甘さが感動的であった。
もう一杯別のを、といきたいところだったがそれはぐっと我慢して、この通りにある店で食事をすることにした。
一往復していろいろ悩んだあげく、試してみたのは何故か中華料理であった。
中華料理といっても台湾の屋台のようなものに近く、八宝菜やうまみ煮込み、揚げ餃子などの庶民的な料理が置いてある。ドイツ人も何人か食べていた。
で、その中からオイスターソース風の五目炒め煮のようなものがあったのでそれを頼んでみた。ご飯付きということであったが、米は勿論、日本で食べるようなものではなくタイ米に近い長粒種である。それでも、久しぶりに食べる米は悪くなかった。
食事を終えた後、緑地帯の公園を歩くようにして宿に戻る。
この宿はトイレとシャワーが共同なので、空いているうちに手早く汗を流して部屋に戻る。
内側の何となく落ち着かない部屋だが、表側だと今度は通りを行き交う車がうるさいだろうから一長一短かもしれない。
夜はこの旅行記の原稿を書きながら、買ってきたワインを飲むことにした。
ウイスキーボトルに近いような独特の形をしたフランケンワインの赤白をそれぞれ小瓶(200ml)で買ってきていたのだが、これが結構、美味しいのである。日本ではドイツワインというとモーゼルかラインガウの甘口の白が多いので、あえてそこを外して飲んでみた。白は辛口、そして最近は赤も生産されるようになっているようで、もう一つの赤の方も口当たりがよく美味しかった。
この度では前半はビール中心、後半はワイン中心になっているような気がする。食べるよりも寧ろワインやビールがメインになっているかもしれない。