7日目、実質的な最終日です。
この日はシャルロッテン宮殿を見に行くことだけ決まっていてその後の行動は適当に決めることにしています。
宮殿はホテルからそれほど遠くないので、また一日乗車券を買い、地下鉄と徒歩で30分ほどで到着。
正面の見た目もなかなかすばらしいのですが、すぐに開館時間になったので中に入ります。
シャルロッテン宮殿はプロイセンの王妃シャルロッテの意向で建てられた離宮ということで、文化に造詣の深い王妃のこだわりがあちこちに取り入れられているということです。
もちろん、ベルリンの建物なので戦争の被害を受けて、建物は当時になるべく忠実に再現されたものということなのですが。中の展示物の一部はプロイセン王家んび関連することは確かなものの他所から移されたものもあるそうです。
4日目のシュヴェーリン宮殿と同じように、各部屋に分けられた内部を順に見学していく形になります。日本語のオーディオガイドを借りたのでその説明を聞きながらです。ちなみに、3ユーロ払うと写真を撮ることが出来るというので当然、申し込みました。
赤の間、緑の間など壁の色をそのまま部屋の名称にしたものもあるのですが、白眉は2つといえるのではないかと思います。
一つ目は中央二階の楕円形のホール。庭園から見ると正面中央に丸く張り出している部分がここです。庭園側は大きな窓が設けられていますが、内側も同じ構成で鏡張りになっており、庭園側の景色が反射するので広々と感じます。ガイドのいうようにまさに「庭園の中心にあるよう」な感じです。
内装も白壁に金と嫌みなくかつ高貴な感じです。
もう一つは陶磁器の間です。当時、中国から持ってきた陶磁器がこちらでは貴重品だったそうで、とにかく部屋中一面、この陶磁器か飾られています。日本のものがないのが少々残念ですが。あと、このようなことが出来るのは日本と違って地震のない土地だからなのかなという気がしています。
その他は礼拝堂が印象に残りました。
またいろいろな部屋の肖像画は、フリードリヒ大王とシャルロッテ王妃のものが多いのですが、その他たくさんあって素人にはもう価値がわからなくなってきます。
割と簡潔に書いてしまいましたが、ここで既に一時間半ほどが経過。もう一つの「新翼」も見に行きます。
こちらは緑基調の内装が印象的な大広間から始まり、肖像画や宗教画、風景画、近世軍隊の様子など様々な絵の展示が中心となります。あのナポレオンの絵もありましたね。
さすがにメインである「旧翼」よりは圧巻度が下がりますが、見る価値はあったと思います・
シャルロッテン宮殿を見た後は、次の目的地へ向かいますが、その前にちょっとまたゲーム屋を覗いてみることに。中心部から少し外れたところにあるのですが、宮殿の近くのSバーンの駅から環状線で乗り換えなしで行けるようなのでちょっと行ってみます。環状線でベルリン市内を北回りで半周する感じでlansberger Alleというところへ。ここから歩いて10分くらいで店に着く……はずだったのですが、住所の場所にやってきても店は発見できず。旅行の前にサイトで見たときに要領を得なかったのですが、どうもどこか別の場所に移転してしまったようです。
仕方ないのであきらめてトラムで移動。ようやくベルリンの市内交通にも慣れてきたようで、地図があればかなり自由に動けるようになってきました。
トラムからSバーンに乗り換えてAnhalter Bahnhofという駅で降ります。なぜこの駅だけ駅名に「Bahnhof」が含まれているのか不思議だったのですが、どうもここは昔の中心駅があったところのようです。ロンドンみたいに方面別にいくつかの中心駅があったということなのでしょう。駅構内の地下道には当時の写真パネルなどがありました。
ここから歩いて10分ほどで次の見学場所、「テロのトポロジー」へ来ました。
ここはナチス時代のSS(親衛隊)とゲシュタポ(秘密警察)の本拠地があったところで、跡地に資料館が建てられています。
「壁」もこのあたりには残っており、その内側のブロックが跡地になるわけなのですが、まずは壁沿いに建物の基礎と思われる煉瓦造りの遺構にそって野外展示が設けられています。ワイマール共和国時代から終戦まで時代を追って、ナチスの台頭とその終焉までが豊富な写真とともに説明されています。さすがにドイツ語だとさっぱりですが、英語の解説も付いているのでそれなりに読めます。時系列的には逆になってしまいましたが、一通り見ていきます。
戦後の東西分割時代の、西ベルリンへの物資の空輸様子、戦時中の灯火管制を呼びかけるポスター、ベルリンオリンピックの様子、ズデーデン併合時のプロパガンダ写真、ユダヤ人の迫害、道路の建設や失業率改善などの社会政策、それが経済危機下にあったドイツでナチの支持率を挙げていくことになった経緯などが説明されていました。見学者は年代を問わずずいぶんいました。
それから、最近になって作られたという資料館の屋内展示です。こちらではより詳しく、やはり写真入りでナチスドイツの歴史が語られています。占領下になった各地の写真、捕虜や抵抗勢力、ユダヤ人などの処刑シーンなどもあり、少し刺激が強いかもしれません。最後には、終戦後も逃げ続けて最終的に裁判にかけられたアドルフ・アイヒマンの生涯が紹介されていました。裁判の時にアイヒマンの座った椅子というのも展示されています。
一角はこのように資料館になっているため当時の遺構はほとんど残っていませんが、敷地が遊歩道になっていてぐるりと巡ることができ、SS本部の防空壕やゲシュタポ本部ビルの基礎などがわずかに残っています。
見学を終えた後、繁華街であるポツダマー広場まで歩き、ここで早めの夕食にします。レストランで頼んだのはビールと肉料理。肉料理はベルリンの郷土料理となっているもので牛肉のボイルにホワイトソースににたソースをかけてあるもの。西洋わさびが入っているようで味が特徴的でなかなか美味でした。これににんじんを赤ワインビネガーに漬けたサラダ付いていましたがこれはなかなか毒々しい色でした。
食事を終えた後はアレキサンダープラッツへ行き、駅前のデパートでちょっとした土産物を購入。たまには趣向を変えてと、バスでホテルに近いツォー駅まで戻ります。
しかしこのバスがやや選択ミスだったようで、かなりの混雑の上に道路が混んでいて思ったより時間がかかってしまいました。
夜にもうひと出掛けする前にホテルで少し休むつもりだったのですが、時間がなくなってそのまま行くことになってしまいました。
この「もうひと出掛け」というのは、シャルロッテン宮殿の傍らでやっているクラシックのコンサートです。運良くこの日は開演日だというので、行ってみることにしました。ベルリンフィルのようなハイクラスのものではないのですが、どうやらシャルロッテンブルクにちなんだプロイセン宮廷を模した形式のものらしいです。
ツォー駅からはバスで行けると分かったので今度はバスで直行。
ライトアップされていい雰囲気のホールで少し待った後、会場に入ります。よくあるコンサートホールのようなものとは少し違っていましたが。司会者や演奏者はプロイセン風の衣装やかつらを身につけたそれっぽいもので、演題は私の知らない曲ばかりではありましたが、オペラ風の歌などもありそれほど悪くはなかったです。モーツアルトはさすがという感じでしたね。それと、演目の曲のいくつかに、作曲者が「フリードリヒ・デア・グロッセ(プロイセン王国3代フリードリヒ2世)」となっていたので「えっ?」と思ったのですが、調べて見るとこの人は学問や芸術にも造詣があり、晩年に作曲もしているそうです。
8時半に始まったコンサートは意外にあっさりと10時半くらいには終わり、バスでホテルに戻り、この日は終了となりました。