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ポーランド・チェコ旅行記・8日目

今日はプラハを後にして西へ移動します。

最終日はミュンヘンからフランクフルト経由で羽田に帰るわけですが、プラハからミュンヘンに移動する途中で、ヘプという小さな町を観光して一泊します。

観光自体にはそれほど時間がかからないと思うので、この移動がなければチェスキー・クロムロフと同様にプラハから日帰りで来ていたと思いますが。

プラハからドイツに行くにはドレスデンに出るのが便利なのですが、ドレスデン経由でミュンヘンに行くのはちょっと遠回りですので。

4泊お世話になったホテルをチェックアウトし、本駅から列車に乗り込みます。チェスキー・クロムロフに行くときと同じ急行的な列車でした。

車窓天気は曇りがちで時々晴れ間が見えるような感じです。プラハを出るとだんだん牧歌的風景になり、後半の車窓は河岸段丘や山がちな地形となります。川の対岸に小さな町が見えたりしてなかなかよい景色です。

途中、ピルスナービールの発祥の地といわれるプルセニュ(ドイツ語読みするとそのままピルスナー)を過ぎ、3時間ちょっとの旅でヘプに到着します。

町の中心からは少し離れたところにあるなかなか大きな規模の駅ですが、これまで見た拠点駅と比べると若干、古めかしい感じです。

まず、明日のドイツ国境駅までの切符を買います。このヘプという町はほぼドイツ国境に近いところに位置しており、ローカル線の3駅でドイツに入ります。ポーランドとチェコで使える鉄道パスは既に全ての日を使い切っているのですが、わずか3駅なので普通に切符を買います。

駅にはコインロッカーはなかったのですが、手荷物預かり所があり、ロッカーより安い値段で預かってもらえました。こうして大きな荷物を預けてから市内観光へ。

市街地市街地は少し離れているといっても十分徒歩で行ける距離です。駅前の通りを道なりに歩いて行くと途中から遊歩道になり、広場にたどり着きます。両側には中世っぽい雰囲気のカラフルな建物が並んでおり、その中で黄色の壁で時計塔のひときわ立派な建物が市庁舎です。

この広場は噴水や花壇があったりして綺麗に整っています。

その先に進むと聖ミクラーシュ教会があります。これまで見てきたプラハの大聖堂やクラクフのマリア教会などと比べると規模は小さいのですが、観光地化していない分、素朴な感じの祭壇やステンドグラスを見ることが出来ます。ミクラーシュというのはマイケル、ミヒャエルと同じなのでしょうか。

ここから少し歩き、ヘプ城へやってきます。

ヘプ城もともと12世紀くらいの城なのですがかなり荒れ果ててしまい、半ば廃墟のような状態になっています。それでも城壁や礼拝堂、メインといえる黒塔などは残っており、一帯を見学することが出来ます。黒塔は中に何も残っていませんが上まで登ることが出来、ここから町を一望できます。その他には城の変遷や武器などの展示があります。

後ほど詳しく書きますが、三十年戦争の重要人物であるヴァレンシュタインが暗殺されたのがここヘプの地ですが、それがこの城での出来事だったのかはよく分かりません。

城のたたずまい寂れた雰囲気であることは否めませんが、個人的にはこういう「城跡」的な遺構も悪くはないと思います。

広場の方に戻り、次にもう一つの観光スポットであるヘプ博物館を見学します。ここではヘプの歴史を一通り見ることが出来ますが、やはりメインはあの有名な傭兵隊長、ヴァレンシュタインでしょうか。私もそれを期待してやってきました。

ヴァレンシュタイン館内は撮影禁止なので写真をお見せすることが出来ませんが、展示はまずこの地域の自然から始まります。多くの鳥が生息するらしく、たくさんの剥製が展示されています。ユニークだったのはそうした鳥のp写真を撮る方法についての説明もあったことです。草木で偽装したテントのようなものを張り、そこから銃眼のようにカメラを外に向けるという結構な苦労があるようです。

それ以降は時代を下るようにヘプとこの地域の説明がされていきます。最初は10世紀頃で、14世紀頃のルクセンブルク家の支配から、16世紀のハプスブルク家(ヴァレンシュタインもこの時代の人ですね)、19世紀の近代化から二度の世界大戦と、地味ながらいろいろな出来事があったことが分かります。

地理的にドイツに近いこともあり、第二次世界大戦(の少し前)にはミュンヘン会議の結果によってこの地方が併合され、ナチスの進駐している写真などもありました。

ヘプの歴史を一通りたどったところで、展示はヴァレンシュタインに戻ります。三十年戦争でカトリック側の傭兵隊長となり、最盛期には大貴族、選帝侯の位まで得たヴァレンシュタインは、もともと小貴族のでだったために他の貴族の反感を買い、プロテスタント勢力をドイツから駆逐した後に一度「クビ」になりますが、その後スウェーデン王のグスタフ・アドルフが参戦してプロテスタントが勢力を取り戻すと再び登用されます。リュッツェンの戦いでスウェーデン軍に敗れるもののグスタフ・アドルフを戦死させます。しかし、このことで再び用済みになり、この地で暗殺されるという最期を迎えるわけです。

ヴァレンシュタイン暗殺のシーンはいくつかの絵になっていますが、この資料館にはその絵の様子を再現した部屋が作ってありました。

上のフロアにはヴァレンシュタイン家の諸氏、およびその他貴族の肖像画が飾られている広間がありました。ミュージアムショップでもヴァレンシュタイン関係の本や絵はがきが置いてあり、三十年戦争に興味のある人は訪れて損はないと思います。

レストランそうこうしているうちに時間もたち、お腹が減ってきたので食事にします。、広場に面しているレストランの中に、わかりやすいセットメニューを出している店があったのでそこで食べることにしました。

食事の後は市街地を少しうろつき、駅に戻って荷物を取ってから今日の宿に向かいます。

ネットで探した宿なのですが、ヘプは小さな町なので探すのがなかなか大変でした。そんなにいくつもサイトを探したわけではないのですが、その中で見つけてきたのがペンションという民宿のようなところです。これまでの宿と比べて三分の一くらいの値段できわめて安いのですがそれはそれでかえって心配になってしまいます。

場所も少しわかりにくかったのですが何とかたどり着きました。管理人のおばちゃんが出てきましたが、英語はダメでチェコ語かドイツ語しか話せないというので意思疎通(3カ所ある鍵の使い方など)に苦労しました。ほとんど使い物にならないドイツ語をなんとかひねり出してようやくチェックインを済ませました。

昼が遅めだったので、夕食は部屋で軽く済ませてしまおうと思い、少し部屋で休んだ後に近くのスーパーに買い出しに行きました。夕食のついでに、会社へのお土産のチョコやスロバキアのワインなどを買いました。ミネラルウォーターよりビールの方が安いのには驚きましたが。

そんな感じで、ヘプの夜は更けていきます……。この日の気温は最高が19度で最低が9度。気をつけないと風邪を引きそうですね。

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