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ポーランド・チェコ旅行記・6日目

プラハ滞在三日目のこの日は、少し足を伸ばして世界遺産のチェスキー・クロムロフという町まで行ってきました。ここは川の蛇行したちょうど「巾着」の部分に市街地が広がり対岸に城がある小さな町ですが、十六世紀頃の町並みがほぼそのまま残っているということです。三十年戦争期以降は発展から取り残されたことがかえって幸いしてこうして昔ながらの町並みが「保存」されたということのようです。

プラハからは列車を乗り継ぎ、チェスケー・ブディヨヴィツェというところを経由して行きます。会わせて4時間近くとかなり長い道中だったりします。

朝7時過ぎの急行列車でチェスケー・ブディヨヴィツェへ。この列車は客車の6両編成で車両は全てコンパートメント式です。私の乗ったコンパートメントには後から一人乗客が来ました。なかなかイケメンなお兄ちゃんでしたが、朝だというのに瓶ビールを3本も飲んでいました。鍵束と一緒に栓抜きまで持ち歩いているもよう。

車窓チェスケー・ブディヨヴィツェまでの2時間半は暇かと思ったのですが、プラハを出ると山がちな変化のある車窓が広がって退屈しませんでした。山といってもトンネルは数カ所しかなく、森の中の岩場を切り通しで抜ける感じです。途中からは単線になり、行き違いのための信号所での停車などもありました。それとこの客車、窓が開けられるのですね。ガラス越しに車窓の写真を撮ると反射が入ったりしていまいちなのですが、これで直に撮ることが出来ます。

あと、驚いたのが、駅を通過するときに例外なく駅長(たぶん)が駅舎の前に直立不動で立って列車を見送っていることです。窓のことといい、まるで一昔前の(日本の)国鉄のような感じでした。

珍しく列車は定刻にチェスケー・ブディヨヴィツェに着き、チェスキー・クロムロフに行く列車に乗り換えます。こちらは車両は新しいものの気動車の4両編成という更にローカルな路線です。

景色の方もい本当に田舎という感じになり、速度もゆっくりに進みます。

到着まったりしているうちにチェスキー・クロムロフ着。少し心配だった天気も何とか大丈夫そうです。駅は旧市街や城から少し離れたところにあるので15分ほど歩きます。高台から坂を下りていくと、早くも町の姿が綺麗に見えます。

門をくぐって旧市街に入り、ほどなく見えてくる赤い門の中がお城です。時代を経るごとにその時代の様式で増築したために様々な時代の建築が混在しているという興味深い城です。外観も茶色いところから白いところまで様々です。

町の中城の外(建物に入らない)を見るだけなら料金は必要ないのですが、内部のガイドツアーに参加するには料金が必要です。ガイドはチェコ語の他に英語とドイツ語もあり、どうせ聞き取れないのだからチェコ語でもいいかと思ったのですが(英独は少し高い)、ちょっとでも聞けるなら分かるならと英語のを申し込みました。

ガイドは綺麗なお姉さん。余人が乱入しないように鍵を掛けながら丁寧に進んでいきます。16世紀ころのものを中心に、各部屋を解説つきで回っていきます。ドイツの城でも見たような、壁に書かれた紋章のある部屋、ベッドなどの置いてある居室、豪華な作りのダイニング、肖像画のあちこちに掲げられた部屋、謁見のための待機室(暇つぶし?のためのゲームなどがおいてある)、黄金の場所の展示された部屋、少し質素な従者の部屋などを見て回り、最後は壁にユニークな絵の描かれた仮面舞踏会の間でした。吹き抜けで上の正面前後にバルコニーがあり、壁面にもバルコニーやその奥の風景の絵が書かれていて、外にいるような開放感を演出しています。

写真撮影禁止なのでどんなものだったのかを紹介出来ないのが残念ですが。

町を俯瞰あと、途中で眼下の旧市街を望めるところがあり、ここだけは撮影OKでした。

ガイドツアーの見学が終わった後、城の奥の方とその更に先にある庭園を見てきました。

ここからの町の眺めもよく、中央の白い教会をはじめ、濃淡茶色の屋根が美しい町並みがよく見えます。天気は曇りと晴れの間を行ったり来たりするような感じで、何とかなっている風。

庭園もよく手入れされており、中央の噴水の彫刻も見事でした。

その後は城を出ていよいよ町の中へ。両側の建物はほとんどが店で、観光客向けの土産物屋ばかりでなく、日用品や本、服などを売る普通の店もありました。チーズを売っている店もありましたが、外の看板によると値段がキロ単位……。

車の進入が禁止にはなっていないようで、おそらく地元の人の車が時々通り、店もこのように「現代」のものになっていますが、建物は昔のままで、雰囲気はたぶん中世からそんなに変わっていないのだと思います。

お城

もひとつお城橋から背後を見ると先ほどいた城がよく見えます。その他にも、町中の公園から城の全景を見られる場所があります。さすが世界遺産の観光地で、観光客の中には日本人もちらほら……。日本人かと思ったら中国人ということもありましたが。

先ほど見た白い教会は、中も立派でした。クラクフのマリア教会ほど大規模なものではありませんでしたが、正面の祭壇には立派なキリスト像が。両側のマリア像なども美しいです。

町はそれほど大きくないので一通りの道を歩いても20分ほどしかかかりません。

ほどよい時間になったので駅の方へ戻ります。

早い案とゆっくり案で乗る列車を決めていた(二時間に一般しかないので実質的に選択肢はこの二つ、いざというときにはチェスケー・ブディヨヴィツェまでバスという手もあるのですが)のでその早い方で。結局、食事する時間もなく観光してしまいましたが、食事は少し遅めにチェスケー・ブディヨヴィツェでということに。

再び牧歌的風景の中を走り、チェスケー・ブディヨヴィツェに戻ってきました。行きの列車の折り返しらしく、同じ車両でした。チェスキー・クロムロフでは列車交換があり、向かいはディーゼル機関車牽引の客車列車でした。しかしこの駅、満足なホームもなくほぼ直接線路から乗り降りするのにはびっくりしました。

珍しいトロリーバスさて、チェスケー・ブディヨヴィツェではプラハにそのまま戻るなら15分ほどの接続で列車があるのですが、こちらは1時間ごとに走っているので一つ見送って捻出した時間で食事に行きました。

駅から旧市街までは徒歩10分ほどで、いったん中央広場まで歩き、その後店に入りました。地元の人もよく利用するという郷土料理屋です。あと、広場では果物を売っている店があったのでいちごをひとパック買ってみました。日本でよく見るパックより一回り大きくて44コルネと安いです。

食事郷土料理屋ではビールとローストチキンを頼みました。チキンは一本とボリュームあり、チェコ風のブラウンソースがかかっていて美味でした。付け合わせのライスにも適度に混じって口当たりもよいです(米自体はそんなに……ですが)。今回の旅行では今ひとつ素敵な食事に出会えなかったので、ここにきてようやくという感じです。ビールと合わせて121コルネと地元価格なのも嬉しいところ。

ですが、チキンが出てくるまでに少し時間がかかってしまったこともあり、次の列車まであまり時間がありません。急いで駅に戻り、なんとか間に合って乗車。

プラハまでの道中は、コンパートメントに他に二人いたこともあったのでおとなしくしていました。だんだん暗くなってきましたし。

プラハに着いた後は軽く部屋で食べるものを買って(さっきのいちごも食べたいですし)、宿に戻りました。いちごは日本のとは品種が違うようで、ちょっと酸味のある大味な感じのものでした。朝食に出てくるいちごヨーグルトも、いちごというよりはベリーのような味でしたし。

ともあれ、日帰り小旅行(プラハからチェスキー・クロムロフまでは200キロほどなので、東京から静岡辺りまで出掛ける感じでしょうか)は無事に終わりました。

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