全難聴活動報告〈平成13年度〉
 

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■第20回全難聴青年部活動者研修合宿兼第2回関東難聴青年部研修合宿(東京都)
平成13年5月4日()〜5日() 戸山サンライズ(全国身体障害者総合福祉センター)
参加者:63名 京都からは5名参加
内容は、1日目が分科会、その夜には高岡全難聴理事長による電話リレーサービスやCS放送のセミナーがあり、2日目は全体会がありました。
分科会は、青年部活動分科会、パソコン要約筆記分科会、そして差別法撤廃運動分科会の三分科会がありました。
1.青年部活動分科会
さて、自分なりに要点をまとめてみますと、昨年11月の全国指導者研修合宿(東京)において、組織強化対策として、以下の2点が重要であるとの結論が出されました。
1)いかに入会してもらうのか、2)いかに会員を継続してもらうのか
また、退会者に対してのアンケート調査では、退会理由として、誰も話し掛けてくれないとか、手話の分かる人だけで話しているなどの意見が多かったそうです。
手話は即時性を備えた情報保障手段の上、道具を使わないので、手話の通じるもの同士では、筆談を不要とする場合が多々あります。しかし、手話を知らない方の視点にたつと、同じ難聴者でありながら、情報を共有することができず、また当然一般社会での健聴者とも情報を共有できずにいるので、ますます孤立してしまいかねません。
トータルコミュニケーションの理念にたって考えてみると、筆談が必要な方に対しては、快く筆談に応じ、談話が必要な方に対しては当然読話に応じるべきことから、手話も一種のコミュニケーション手段であるとの観念に立ち、その都度使い分けることは必然的なものです。
この理念によって、あらゆる人々が情報を共有することができれば、あらゆる難聴者は孤立せずにすむはずです。
視点を変えて、難聴者のニーズとは何か?役員は難聴者のニーズを理解して、そして活動しているのか。と、考えてみると、例えば、茶話会にしても知っているもの同士で固まっていないか?役員だけで固まっていないか?
こういう問いかけをしてみると、私も思い当たる節が多々あります。
難聴者のニ一ズとは、誰しもが孤立したくないと思っている、これに尽きます。
自分が孤立したくなければ、周りの人も孤立させまいとする配慮が必要である。これが、トータルコミュニケーションの理念です。
活動者は常にこの理念を肝に免じておく必要があると思います。
ところで、活動の3本柱というものはご存知でしょうか。すなわち、
1)仲間作り、2)学習、3)要望の3点です。
先述の理念を持って、仲間ができたならば、次は切磋琢磨に社会的知識、社会的教養を身につけるべきです。そして、そのステップまで到達した時、我々の前には、社会的障壁が大きく立ちふさがっていることに気付くであろう。その多くは、個々の力では解決しがたいものであって、多くの同胞の団結によって解決、または改善できるのではないでしょうか。
ですから、難聴者運動は大きな意義があるわけです。さらに続けると、活動の3原則として、
1)わかりやすい(全員が情報を共有できる)、2)無駄がない(人の無駄、時間の無駄、金の無駄)、3)効果的な活動
を心がけねばならないと思いました。今後の活動に役立てることができるように、頑張って努力していきたいと思います。
2.パソコン要約筆記分科会
まず始めに、「パソコン要約筆記とは何か?」、手書きとパソコン要約のそれぞれのメリット/デメリットなどを講師の太田晴康氏(全国要約筆記問題研究会副会長)に説明していただいた。
文字による情報保障はどんなものがあるか?
・音声認識システム…NHKニュース、FNNニュース、NNNニュース→1分間360文字
・速記機器使用…はやとくん(裁判所のボランティア)→1分間300文字
・特殊キーボード使用…スピードワープロ(10個のキーボード)
・汎用キーボード使用…みんなが使っているキーボード→1分間100〜200文字
・手書き方法…OHP、OHC、ノートテイク
パソコン要約の特徴(○:メリット、×:デメリット)
○手書きより、情報が多く読みやすい
○文字がきれいに写し出される
○次世代要約筆記のイメージがある
×パソコン要約に必要な機器が多く、その準備が大変
×パソコンやプロジェクターなどの専門知識が必要  など
他に、リアルタイム字幕配信、聴覚障害者の結婚式バリアフリーなどの紹介、東京、京都などのパソコン要約筆記活動の紹介 など
その後、パソコン要約筆記の活動やその問題点などについて、いろいろ意見交換が行われました。主なものを取り上げると、
・Q.厚生労働省の要約筆記養成講座カリキュラムに、今年からパソコン要約筆記が組み込まれたことにより、難聴者もその講習会の講師や助手に関わることがある。どんなことを教えるのか?
→A.1)パソコン、周辺機器、LAN接続などの専門知識、2)難聴者が読みやすい要約の仕方など
・Q.パソコン要約筆記の謝礼金額と基準についてはどうなっているのか?
→A.手書きによる要約筆記の場合は各地域によって定められているが、パソコン要約筆記の場合、未だ定められていない(参考として、派遣社員の平均時給:2082円(通訳、翻訳))。ボランティアとして活動している場合もある。
・Q.パソコン要約筆記と手書き要約筆記の違い
→A.1)パソコン要約筆記では、図形、数式(例えば、x=(a2-b2)/(c+d))の表示ができない。2)情報量の差(パソコン要約筆記の場合、手書き要約筆記より情報量が多い。ロール起こしをする必要がないので、直ぐに議事録が作れるなど)
など、でした。
パソコン要約筆記は、これからの新しい情報保障として取り組みが始まったばかりで、正確な情報をどのように素早く伝えていくか?、パソコン要約筆記の謝礼金額はどうするか?など、問題が山積みしていますが、試行錯誤しながら良い方向に向かうよう活動を進めていこうということで締めくくりました。
3.差別法撤廃運動分科会
さて、「…サベツホウってなに?」差別法ねえ。なんか固いイメージ…」と思われる方、多いでしょう。うんうん。各言う私もほとんど知識がないもので、偉そうな事は言えないんですが、この分科会の報告を聞いて「う〜、こりゃだまってられへん!」と思った方は、私だけではないと思います。
「差別法」、世界のどの国にもあるものだそうですが、日本の法律の中に、障害者に対する差別だと思われる法は300以上あるといわれています。
「あなたは障害者なんだから、この仕事をやっちゃあダメ!!」=「欠格条項」(って言います)
つまり、医者や薬剤師などの資格をとって、さあ!やるぞ!と思っている人に、「目の見えない者、耳の聞こえない者が手術をして、間違って患者さんをブスッとやってしまったら君!どうすんだ!!だから免許を却下する」という、まあこんな法律が300以上もあるんです。日本ほど欠格条項が多い国はありません。
ではアメリカ。聴覚障害者が、医者になって堂々と手術してるんですよね。聴覚障害のお医者さんが口の動きを読み取れるようにするために、なんと透明のマスクまで作られている。でもここまで来るのにアメリカもADA法ができるまでは、大変な苦労があったようです。ADA法ができて10年。今でも必要な支援が受けられないこともはっきりと差別だとして訴えているそうです。
さて、日本の差別法撤廃運動はまだ始まったばかり。300以上の内、見直しの対象として日本の行政は63の法を取り上げました。が、ちょっとやそっとで、行政はうんとは言わない。「前例がないから」というのがおおまかな答えですが、こんなにたくさんある差別法のために、夢をあきらめることを余儀無くされた人たちはいったい何人いるんだろう?
ところがどっこい、この「差別法」、健常者は実はこれを差別とは思っちゃあいない。差別意識を感じていないんですよね。つまり「障害者なんだから、事故があったらどうするのよ」という考え。先ほど言った、聞こえない人が誤って患者さんをブスッ…ということの無いようにする為にあるものと思っているわけです。でもでも、私たちはこれでいいのか?やりたい仕事、なりたかったものがいっぱいあるのに、もっと違う人生を歩んでいたかもしれないのに、夢は夢で終わっちゃっていいのだろうか?障害者は自分のしたい仕事を選べないのだろうか?選ぶ権利もないのだろうか?
ううううう〜、ちがうっ!ちがう!ちがう!ちがう!(ぶるんぶるん!)
私たち聴覚障害者がはっきりとこれを差別と感じているならば、はっきりと声にして訴えていかないといけない。目の見えない人だって耳の聞こえない人だって、仕事を選ぶ権利がある。社会との関係を良くしていく為にも、これから自分たちの夢を実現させようとしている後輩たちの為にも、私たちが難聴者としての自覚を持って動いていくことが大切なんだ!
…という、ズシンと重みのかかった内容の濃い、でも非常にわかりやすい分科会でした。
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第26回全国聴障青年の集い 仙台大会(宮城県仙台市)
平成13年7月20日()〜21日() 仙台市福祉プラザ
参加者:81名 京都からは4名参加
去る7月20日(金・祝)〜21日(土)に「杜(もり)の都」仙台で「第26回全国聴障青年の集い」が開催され、北は青森、南は福岡から82名集まりました。京都からは、岡山に行かれたJ君も含めて4名が参加しました。
 今回は、恒例の分科会はなく“ワークショップ”という討論方法を行いました。1日目のワークショップは、司会者が参加者にある質問(例えば、「補聴器を装置するのが恥ずかしいと思うか?」、「全難聴の将来は明るいか?」「全難聴青年部は親しみがあるか?」というような難聴青年部に関わる問題)をして、その問いに対し「はい」「いいえ」の答えの位置に自分が当てはまるところへ移動する。そして、インタビュアーがそれぞれの答えに移動した人に「何故この答えにしたのか?」その理由をインタビューして、それに対してアドバイザーがアドバイスしていく仕組みでした。ある質問に対し、「はい」「いいえ」を選んだ理由を聞いて、なるほどと唸らせるような意見がたくさんありました。
 その夜の交流会では、「聴障青年の主張」が催されました。参加者の中から次々と指名し、恥ずかしいような話(例えば、新婚さんが新婚旅行であることをした話、要約筆記養成講座指導者研修合宿で名古屋に行かれたときに浮浪者に同情された話、岡山に行かれたJ君の一人暮らしの話など)を発表され、会場内では大笑いの渦でした。この後、自由交流があり、夜遅くまで居酒屋で飲んだりして交流を深めました。 
 2日目も、ワークショップでしたが、1日目とは違って“くじ”により、8つのグループに分けられ、そのグループの代表者がまた“くじ”により出されたテーマ(例えば、「高岡総理大臣誕生」、「わかりやすいコミュニケーション方法」、「全難聴の資金調達方法」、「スーパー難聴者協会青年部」、「全難聴青年部CM」、など)を、喜劇なり、パントマイムなり、常識から外れるなり、どのように表現していくかを、与えられた時間(5分間)で発表する。そして、アドバイザーが評価/アドバイスしていくという仕組みでした。グループのメンバー全員が参加するという条件付きで、与えられた時間でどのように発表するのか?を、与えられた1時間でアイデアを出し合ってまとめていくことは非常に困難でした。でも、全く初めて会う人達とアイデアを出し合いまとめていく上で交流でき、また聴覚障害とは…?、またその問題とは…?を見つめ直す良い機会だったと思います。これらの発表は、面白おかしい喜劇でしたが、これからの全難聴青年部活動においてのヒントになったと確信しています。
≪参加者の感想≫
同じく参加したN氏より、感想文の依頼があったので渋々涙ながら(笑)ペンを走らせていただきます。さて、何から書こうかと思いつつ仙台は、涼しかったとの一言しか過言ございません。
暑い京都を出て、「みちのく一人旅」でヒットしたとある演歌歌手Y氏の歌詞を口すざみながら、新幹線にゆられるごと約5時間。仙台に到着。仙台は、京都に比べ気温が約6〜7度低くとても快適な気温でしたし、「もうこんな暑い京都に戻りたくないなあ。」と思いながら、会場に到着。参加者を見渡してみると、りんごの産地青森さんからとんこつラーメンの地福岡さんまで23県約80名の参加者であった。しかし、京都のメンバーは、出費が高いのか、仙台が遠かった理由なのか?でたった3名でしたな。
内容をおおざっぱに、取り上げると1日目は、全難・中途失聴者連合会理事長の高岡氏の挨拶に始まり、その後は、恒例である分科会がなく、その代わり難聴者のメンタルを取り上げた質問&回答を○×に分け、理由を発表するゲーム、懇親会、自由交流をこなしていった。
参加している方々は、皆どういうことを学びたいのか、情報を掴みたいのかは人様々ですが、私は、自由交流で他府県の方と酒を飲みながら、仕事の悩み、青年部活動の動きを聞いていましたが、青年部という組織を維持する難しさ、人との繋がりを円滑にやっていく悩みを抱えていることを知りました。難聴者にも聞こえの幅が広く、コミュニケーションでも綺麗な声で発する人、手話だけの人等、自分が所有している聞こえのレベルによる価値観の違いから、活動においてはどこか消極的になる傾向が高いのかなと思いましたな。自分の幸せを多くの人のためにという気持ちが大切なのでは?まあ、これは私なりのビジョンですし、大げさなことは言えません。(笑)
2日目は、約9グループに分かれ、発表する代表者を決め、テーマが入っているくじを引き、グループワークをした後、発表するものでしたな。そのテーマが奇想天外で、頭を抱えインチキだと吼えるAグループ、余裕のある顔つきでせっせと紙に書き、皆で発表するためにリハーサルをするBグループ等々。これは、与えられたテーマをユニークな形で発表するもので、頭を柔らかくする柔軟性を試すグループワークそのものでした。
その後は、帰路の途につく方、温泉に入りゆっくりと英気を養う方、観光をする方等々とバラバラでしたが、伊達政宗の地仙台ですし、牛タンがうまく有名なので1日目の昼めしと2日目の昼めしは牛たん定食を召し上がりになり、青葉城跡、博物館を観光し、おみやげも冷凍パックしてある牛タンを買い、家で焼いてレモンをしぼって食べるととても軟らかく牛タンも市販してあるものより厚みがあり美味しかったよー。仙台には、牛タンに食べ始まり去る時も牛タンで食べ終えるとてもグルメ的な旅であり、大変充実した参加だったよ。

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■全難聴青年部スキー合宿(長野県) 関東B・近畿B合同冬期スキー合宿
第17回近畿ブロック冬期スポーツ合宿
平成14年1月25日(金)夜出発〜27日()  白馬岩岳スキー場
参加者:85名 京都からは5名参加

テーマ:『全国の難聴青年よ!白馬岩岳に集まろう〜!』
今回のスキー合宿は、関東ブロックと近畿ブロックの合同で全難聴青年部主催 として約10年ぶりに開催しました。北は青森県、南は山口県まで全国から 85人の参加者が集まり、大変盛り上がりました。近畿ブロックでは毎年恒例となっているスキー教室を今回も取り入れ、SAJ準指導員の資格を持つ呉竹先生、永野先生をお招きして、初級・中級・上級に分かれてわかりやすくスキーを教えて頂きました。穏やかな天気に恵まれ、思う存分滑れました。夜の交流会では、部屋が狭かったものの、熱気ムンムンになるほど盛り上がりました。今回のスキー合宿は、大変好評でしたので、来年度も是非実施したいです。
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