ちなみに私が購入したのはオーストリア製のものです。見た目にはワインレッドやブルー、カラフルにメタリックの塗装が施され美しいですが、店頭にあった複数の口琴に共通して、枠の先端(指で弾く側)の処理が雑で、手に触れると痛いのでヤスリで角をとったほうがいいかもしれません。
ポップには「Makers of Jawharps since 1679. Handmade AUSTRIA」、「Unubertroffen in der Klangwiedergade-marrellous sound」と書いてあり、いかにも歴史の古いメーカーさんなのですが・・・・。弁と枠の隙間は適性に調節されていましたし、弁と枠の接合も良いかと思います。音が悪い原因は素材・塗装なのかも。まるでビニールで覆っているかのような厚さの塗装を全部剥がして音の変化を確かめたいですね。かなり改善できると思います。
ただ、誤解を防ぐために記述しておきますがオーストリア製すべてが音が悪いという意味では、もちろんありません。メーカーの問題です。
現に、私が演奏上多用していた(破損)のが実はオーストリアのもの(3,000円)で、価格のわりに本当にすばらしかったのです。買ったときはそんなに良い印象はありませんでしたが、使えば使うほど魅力が増えました。
今回店頭で実験購入したものはなにしろ価格が税別で700円と破格でしたから、金属口琴としては非常に安価で、コストパフォーマンス的に判断する場合は妥当なのかも知れません。しかし、購入者によってはこの口琴ひとつだけで「口琴は面白くない・鳴らない」と判断される恐れもあるため私は不満に感じています。
また、この原稿を書いている札幌にはムックリを販売している北海道土産・民芸品店が多くありますが、10件以上調べ、購入(300円〜400円)してみたところ、ムックリ本来の美しい音色がでたものは一部に過ぎませんでした。 あってはいけないことですが、つまり「当たりはずれ」があります。選ぶときの目安は弁の枠の隙間が小さく、丁寧に作られたようなものを選び、できれば数本購入して、その中から一番良く響くものを演奏用に使いましょう。
金属口琴にしても竹口琴にしても、本来口琴は飾り物ではなく伝統楽器なのですから、音が、スピリットが命。作り手の理解と情熱や技術が不可欠なのだということを感ぜずにはいられません。