初めて、その人が人形で商売というか、お小遣い稼ぎをしているのを知ったのは、1通のmailからだった。その人をここでは仮に○○さんと呼ぶことにする。○○さんとは以前、短い期間だったがmailのやり取りをしたこともあり、またちょっとお世話になったこともあったので、私の中ではずっと好印象の人物だった。 その○○さんがそんなことを…? にわかには信じがたい話だったが、mailをくれた人物のことはよく知っていて、とても嘘を言うとは思えない。早速、mailに書かれていたURLを覗いてみると、そこはどうやら海外のオークションサイトのようで、出品者の情報が書かれているところに、○○さんのメールアドレスが連絡先として記載されていたのだ。出品していたのはジェニーやリカなど、日本の人形が主で、結構な金額で落札されていたように思う。 私はショックを受けた。これを読んでいる人の中には、コレクターなんだから、オークションでの売買は当たり前なのでは?と思う人もいるかも知れない。自分の足で稼ぎ、努力して手に入れた物をトレードする、あるいはトレードにトレードを重ね、より好ましいものを手に入れるのは、コレクターの方々にとってみれば、当然の行為と写るかも知れない。 だが、それが人の好意を利用するものだとしたらどうだろう。当時、○○さんは、BBSなどで××が欲しいのだけど…という書き込みをよく行っており、私の知り合いの中にも、情報などを教えていた人がいたし、中には人形をそのものを譲っていた人もいたと思う。その思いは、同じ人形が好きな者同士、手助けが出来ればという親切心からであることは間違いないと思う。もし、○○さんが売買を頻繁に行うコレクターさんだと分かっていたら、手を貸そうと思わなかった人も少なからずいるだろう。 ○○さんが売買用のアイテムとして探していたのだとしたら… 人に教えてもらって買ってきた人形、人から譲ってもらった人形、本当に○○さん自身が欲しくて探していたのだろうか。私の中で疑心暗鬼という感情が芽生えた。もし、私の疑惑が本当のことだったとしたら、表と裏の顔を使い分け、人の好意を金儲けに使っているのだとしたら、それは私には許し難い行為に思えた。だが、決定的な証拠があるわけではい、あくまで怪しいというだけだ。証拠もないのに他人に言い出せるわけもなく、私は今後の成り行きを見守ろうと思ったのだ。 それから1年くらいの時が流れただろうか。あるトレードが盛んなBBSの投稿に、○○という名前の人がオンラインショップを開いているというものがあった。○○さんがオンラインショップを開いていたことは、実は私も知っていた。海外のオークションサイトの出品者情報のところに、自身のサイトとしてリンクされていたからだ。タカラの人形、特にキャッスルの人形をかなり高めに売っていたのをよく覚えている。ショップの品揃えやオークションでの出品内容をみるにつけ、この頃、私の○○さんに対する疑念はますます大きな物になっていたのだ。 いったい誰がこんなことを… 誰が書いたのか知らないが、こんなことしたら、○○さんが証拠隠滅を謀るのではないだろうか、またMLなどでいい人を演じている○○さんが、裏でこんなことしているなんてを信じてくれる人がいるのだろうか?と、私は少しいらだち、少し不安に思った。でも同時に、私の他にも知っている人は知っているんだなと、心強くも思った。 案の定、対応は素早かった。ショップを見ようとするとnot found、BBSの方では○○さん本人が出てきて、『私とは関係ない』と明言、オマケにショップ側の店主なる人物まで登場してきた。早い早い。少なくとも『関係ない』はずがないのだ。このままでは次々と証拠が隠滅されてしまうのではないか… 私はどうしようかと考えてしまった。 証拠が消されてしまう前に、公平な第三者に見てもらうのはどうだろう? 私は面識がないが信用できそうだと思っていたある人物に匿名のmailを書いた。匿名とはいってもフリーのメールアドレスでは信用してもらえないだろうし、後々、正体は明かすつもりだったので、サブで使用しているmailを使った。メールのヘッダを見れば、正体がばれるだろうことは分かっていたが、正直、私は相手のことを勝手に信用していたのだ。でも返事は帰ってこなかった。 返事を待っている間に、自分がやり取りしたことのある人で、信用できそうな人には、ことの経緯を説明し、どう思うか聞かせてもらった。極力、私の私見が入らないよう、Internetで直接ログなどが見られるものを相手に提示した。こうしておけば、ログが消されても、そういうログが存在していたことは、何人も知っていることになると思ったからだ。 私が知っていることのうち、公に出来そうなのは、下記のような内容だった。
私がここまでこの問題に固執したのは、知らない人が騙されているのだとしたら、騙された人が傷つくようなことがあったとしたら、それが許せないからだった。知り合いで、昔のジェニーブームの頃、好意で譲った人形を売られてしまった人がいる。もちろん深く傷つき、半ば人間不信のような状態になったらしい。せめて近な人たちの中から、こういう人を出したくなかったのだ。 そうこうしているうち、オークションサイトの出品者の名前が変えられてしまった。恐らく、私が信用できると思ってmailした知り合いか、勝手に信用してしまった第三者が、○○さんのお仲間だったのだろう。後に聞いた話では、mailした知り合ううち1人と、勝手に信用してしまった第三者は、○○さんの友達らしいとのことだ。出品者名が変更されたのは、どちらかからの情報が伝わったからだと思う。私はホント、ナイーブでおめでたいやつであることを思い知った。 反面、mailした知り合いから、色々な情報が寄せられた。情報ソースが明らかになり迷惑が掛かってはいけないし、○○さんの個人情報を明らかにすることにもなりかねないので、ここには詳しいことは書けないのだが、手元に集まった情報を見れば、どう考えても、○○さんがオンラインショップと『関係ない』とは思えないものであった。その後、身近な人物に『私は英語を手伝っただけ』と言っているようだが、『私とは関係ない』のではなかったのだろうか? 矛盾も甚だしい。オークションで使っていたIDについては、人に譲ったものだからと話していたようだ。IDの情報に疑惑のオンラインショップがリンクされていたのに、譲った人が勝手にやっているのだから『私とは関係ない』とでもいうのだろうか。 私が集めた情報全てを出せば、きっと多くの人がことの次第を信用してくれるとは思う。ただ、上にも書いたように、情報を下さった方に迷惑が掛かってはいけないし、相手のプライバシーを尊重するのなら、それは出来ないことだった。結局、身近な人たちが騙されなければそれで良いと割り切ることにした。 それからかなり時間が経過し、一通のmailが届いた。『Subject: ご忠告』とされたそのmailは、使い捨てのためであろうWebメールで、内容は、"間接的に聞いた話を人に言いふらすのや良くないでしょう、ちゃんと、事実関係を確認したほうがいい、あなたのためを思って言うことです"というものだった。何のことについてなのか、具体的なことが書かれていなかったので、当たり障りのないよう、返信したが、返事は帰ってこなかった。ちなみに記されていたIPは、△△さんが使っていたプロバイダのものであった。 『あなたのしていることは、いずれ漏れ伝わってきます』との言葉があった。悪いがこの言葉、そっくり返してあげたいものだ。私の知り合いの間でも、元々、○○さんが怪しいということを知っている人は何人かいたのだ。私の知り合いなんてたかが知れている。ことを人に言い出せずにいる人は、決して、1人や2人ではないはずだ。私は良く知りもしないで人のことを悪く言ったりはしない。ちゃんと調べた上で、事実を相手に見てもらい、判断してもらったのだ。 人形転がしでお金を稼ぐのは個人の自由だ。そのことについては私は何も言うつもりはない。感情的に言うのなら、正直、近寄りたくもないのだが、誰にも止める権利はない。ただ、表では親切で人形大好きと言いながら、裏で人形転がしをするのは止めて欲しい。騙された人が傷つくから。業者なら業者として、お小遣い稼ぎをするのなら、ちゃんとそれを示した上で行動して欲しい。 『ご忠告』をもらってから、随分、時間が経過している。正直、この人物とは関わり合いになりたくもないし、思い出すのも不愉快な出来事だ。今更、こんなことを公開しても仕方ないとも思うのだが、コレクターや愛好家の間では、非常にありがちな話だとも思うので、これを見た人が、もし人に人形を譲ることがある時など、少しだけ注意してくれればと考え書くことにした。 きっと私のことは、私の知らないところで、○○さんによりけちょんけちょんに言われているはずである。以前、やり取りしていた優しい人たちにも、色々、吹き込んでいることだろう。地方に住み、イベントにも参加しない私には伺い知れないことではあるのだが。 最近、MLに投稿する気になれないのは、MLで○○さんの投稿を見るのが嫌だからだ。多分、これからも投稿することはないだろう。○○さんは今も人形転がしをしているのだろうか。無邪気に人を信じられた頃が懐かしい。 #なお、この件に関しては、お問い合わせいただいても、文面以上のことはお答えできません。 ※公開に伴っての追記: このテキスト、すっごく昔に書いたんですけど、一旦は公開を見送り、HomePageを10年続けたら、その時に公開しようと考えておりました。そしてその10年経ちましたので、ここに公開することに致します。当時、やり取りしていた方とは、お付き合いもほとんどなくなってしまいましたので、大きな影響はないと思いますし。既に多くの方々の記憶からは消え去ったことだと思う。でも私は忘れない。 ちなみに本文中にある"私が知っていることのうち、公に出来そうなのは、下記のような内容だった。"という行については、公に出来なさそうなことも出てきてしまったということでもあります(結構、ずさんというかWebで情報を漁るだけでも、色々と分かってしまったのです)。だから私は確信するに至った分けなのですね。 2000/11/08:作成 2007/11/19:公開 |