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熊野詣で(つづき) 8月20日 第二話
<大斎原(おおゆのはら)への道@>

赤城越え分岐のところであっくんがトイレ。
キャンプ場を思わせる広場があるのだがキャンプ禁止の看板があった。
川もあり、トイレもあり、草地の広場もある・・・のに・・・な〜
<ここから脱線>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊野古道は、今風に言うとトレッキングのコースである。
日本最古のトレッキングコースとして日本のトレッカーの聖地(まさに聖地なのだが・・・)を目指したらどうだろう?
トレッキングコースとしては魅力的な要素を充分に持っていると思う。
ただ、熊野古道の問題は宿泊施設・・・なのである。
途中何箇所か有ってくれるだけで助かるのだ。
別に、ホテルや民宿等で無くてかまわない。
こういった広場をもっと増やし、テントを張って眠れるだけでも充分である。
山小屋の様に雑魚寝部屋でもいいしね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<脱線終わり>
おまけに”マムシに注意!”とも書いてある。
ここが、静岡県の藤枝市だったら”ちかんに注意!”になったであろう・・・
(静岡県藤枝市では”ちかん"看板を良く見た。はじめて見た時は吹きだしてしまったがきっと痴漢が多いのだろう。
静岡県警察学校の近くなのにな・・・・。)

分岐からは、広い未舗装の林道である。
船玉神社方面に歩くと直ぐに道標59がある。船玉神社にお参りして猪鼻王子へ向う。
もうすぐ猪鼻王子への分岐・・・という所で前(本宮方面)から若いカップルが歩いてくる。

トレッキングの格好をしてキスしながら歩くのはちょっと・・・良いかも・・・なんて思っていると
私たちに気がついたようで二人の間隔があいた。
こっちはただ歩いていただけなのに、何だか他人の秘密を盗み見した様な気がして卑屈になる所がちょっと嫌な気分である。
「ごちそうさま」ぐらいが言える性格であれば、今頃は大井川町長になって志太二市二町合併協議会が再開されて
大井川町民も未来の事で多少は安心していられただろうになぁ・・・

猪鼻王子であっくんは久々のスタンプ帳への捺印。
あ:「・・・・」
私:「なに固まってるだ?」
スタンプのインクが薄くって全く紙に印が転写しないのである。(今見ると丸い水のシミが付いているだけ。)
私:「何か写ってるように様に見えるから良いにしよう・・・」

歩き始めるとすぐ、先ほどのカップルが戻ってきた。
女:「すみません。船玉神社ってどうやって行くんですか?」
私:「さっき、ここへ降りてきた林道をそのまま向こうに行けばすぐだよ。」
思わず、この2人の顔をしげしげと見てしまったのだ。

・・・しばらく歩いて先ほどの林道との合流点で納得。
このルートも逆ルートで猪鼻王子に行こうとすると分岐点に親切な道しるべが無いため判らないのであった。

しばらく行くと”たっくん坂”入り口があり、このきつい坂を上り切ると発心門王子である。
昼前にここに着きたかったのだが30分ほど過ぎている。
お参りをし、さっそく手水場のところの広場でめしの準備をする。
今日のお昼はスパゲッティである。
1.コッヘルに水を入れ沸かす。
2.沸騰したらスパを半分に折って(コッヘルが小さいから・・・)塩を入れる。
3.スパが湯に浸かったところで蓋をして待つこと一分。
4.火を止める。(省エネ調理法である。TVでやったらしく我が家で流行っている。)
5.待つこと8分。(ゆで時間9分のスパなので・・・)
6.コッヘルの蓋を押さえたままで隙間から湯を捨てる。
7.永谷園のパスタソース(2人前)をコッヘル内で混ぜで出来上がり。(この間12分)
疲れた体に、出来立ての飯は非常に美味なのである。
(これにて、水口さんちのトレッキングの定番メニューに決定した。)

この発心門王子に観光バスが来た。
HONGU ILLUST MAPという、カラスがすずめのように描かれたパンフを持ったオジサンオバサンたちが降りてきてガイドさんの案内のもと発心門 王子にお参りをした。
その後、我々のほうを汚いものでも見るように一瞥を加えるオバサン数名、目尻を下げて近寄ってくるオジサン数名。
オジサンたちと話をしていると、あるオバサンがたっくん坂から上りきったところにある鳥居の方に行き、
「なにこれ、熊野古道って何・・・古い道の事?こんな急坂登る馬鹿なんてきょうび居ないわよね・・・あはは・・・」
ってでっかい声で笑っている。

私:「あの人、総理大臣はまだ田中角栄がやってると思っているんだろうな・・・」と、ポソッと言うと、
私と話をしていたオジサンは急に恥ずかしそうな顔をしてオバサンの方に行ってくれた。

ここから、舗装された照り返しの厳しい道を左手の美林を見ながら歩く。
しばらく行くとささゆりの看板がある。
この看板を見て、はじめてささゆりが沢山花をつけているのに気が付く。

ささゆりを見ながら歩く草地の広場である。
「・・・キャンプ場?」・・・とりあえずトイレもあり、東屋風の休憩所もある。
キャンプ禁止とは書いてないがきっとダメなんだろうな・・・
トイレを借りて用を足し、スッキリしたところで自販機を発見。さっそく水分補給をする。
熊野古道沿いは、お店はもちろん自販機も少ない。
この暑い夏に古道を歩くと水の消費量が非常に多いため、自販機での水分補給は欠かせない。

自販機をを過ぎ民家の間の生活道路へ入っていくと、おばあさんが追いかけてきた。
なんだろう?何か失礼な事したのかな?・・・歩いていただけなのに・・・・
婆:「ボク、暑いね、いくつ?どこから来たの?何年生?・・・」
  ・・・と一生懸命あっくんに話しかけてくる。
歩きながら話をすると、どうやら子供さんは教職の方で孫ともども町に住んでいるらしい。
一人暮らしをしていて寂しい思いをしていて話し相手が欲しかった様である。
おばあさんは別れ際に、ゆりの花を取ってくれて「これ持ってけ・・・」って、ちょっと困ったが有難くもらって道を先に進む。

少し歩くと、道端に老夫婦が・・・良く見ると人形であった。
このひょうきんな人形は水の力(OIL缶に溜める水の重量を利用した・・・)で動くのであった。
あっくんはこの人形が非常に気に入っていた。

水呑王子に近づくと、
私:「あれ?プールだ・・・学校かな?? でも、水に藻が浮いている・・・違うのか・・・」
水呑王子にお参りし、少し歩くと朽ちかけた校舎らしきものが・・・
私:「あっくん、やっぱりここは学校の跡だよ。廃校になっちゃったのかな・・・」
あ:「ふ〜ん」
水呑王子の並びにゆりが咲き廃校の校舎がある・・・なんとも風情のある絵であった・・・
そして舗装路は終わり、その先は良く整備された歩きやすい古道に入るのである。




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