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熊野詣で(つづき) 8月19日
<川湯温泉で沈没>

朝、早起きしてラジオで今日の天気をチェック。

私:「・・・台風の影響で今日の午後は大荒れだって・・・
  あっくん、疲れているし、熊野は暑くってこの2人用のテントでくっついて寝ても暑いばっかりだから撤収!」
あ:「撤収って何?帰るの?」
私:「うんにゃ帰らん。片付けるって事さ、片付けてどっかこの近くの宿に入ろう。
   今日はオフ!温泉の日にしよう・・・・
   ぁ、片付ける前に飯だけ作って食わなきゃな。」

コッヘルで飯を炊いて今度は”コンビーフ”と”のりたま”のご飯である。
あ:「今朝のは美味しいね。」
私:「これなら気持ち悪くならないと思うよ・・・」

荷物をパッキングして、最後に雨の止んだ隙を狙ってテントを撤収する。
荷物を背負って歩き始める。キャンプ場の出口に高校生ぐらいのお兄ちゃんが座っていた。
私:「昨日来たんだけど、料金いくらかな?」
キ:「歩き?1200円です。レシート持って行ってね。
   僕、歩きは大変だな・・・がんばれよ」
あ:「・・・」

橋を渡り、川湯温泉の温泉街に向う。
雨の中、川の中で遊んでいる子供や川原を掘ってお湯に浸かっている人などが見えてきた。

私:「荷物重いし、クソ暑いからテントも使いたくないし・・・宅急便で送り返そう。」
あ:「あそこにヤマトの旗があるよ・・・」

そこは、公衆浴場であった。
おじさんに、荷物を送りたい旨を告げると非常に困りだしたのである。
お:「実はな、看板出てるけど殆ど送ったこと無くてな・・・」
私:「・・・宅急便屋さんってこの近くにありますか?」
お:「そんな近くにはないから・・・俺が何とかするから待ってろ・」
おじさんはヤマト運輸に電話してくれた。
お:「車な、今山の奥に居ちゃってるから電話で捕まらんと・・・
   一時間ぐらいでここに寄るようなっとるから、待てるかな?」
私:「ありがとうございます。じゃお風呂に入って待ってますよ。」
大人200円 子供100円・・・なんか20年ぐらい前の銭湯の料金だな〜
さっそく朝湯である。

風呂から上がって着替えているとおじさんが呼びに来た・・・
お:「もう来たぞ。」
  テント一張り、シュラフx2、エアマットx2、お米8合・・・
ヤマト運輸のお兄さんも親切な方で、パッキング等全てをやってくれた。
ヤマトのお兄さんに荷物をお願いし、公衆浴場のおじさんにお礼を言い、
荷物を背負ってアイスクリームを買って食べながら泊まる宿を探しに出た。

川原のお風呂にも入りたいので、そっち方面に向かい、最初に出会った宿に決めた。
「民宿 すみや」外観も小ぎれいな宿である。

一階の売店にお兄さんがいたので聞いてみることにした。
私:「今日と明日、二日間泊まりたいのですが空いてますか?
   大人と子供の2人ですが・・・」
兄:「今日は泊まれると思うけれど、明日はわからない・・・
   お客がどうかな?」
私:「どうなんですか?」
兄:むっとして
  「だから・・・判らないって・・・」あれってここで気がついてくれた。
  「電話して女将に聞いてみるから・・・」
  ・・・
  「泊まれるって言うから・・・でも未だ部屋には入れないよ。案内するから・・・」

階段を上がり宿の玄関に向うと女将さんが待っていた。
女将「二晩泊まってくれるのね・・・まぁすごい荷物だね・・・ここに降ろして・・・」
荷物を預けて、草履を履いて雨の降る外に出る。

隣の喫茶店の前で、「あっくん飯食おうか?」と入って、「何頼む?」
あ:「カキ氷」
私:「・・・・そうか、じゃあお父さんもそれにするかな・・・」
二人でカキ氷を黙々と食べたのである。
食べ終わる頃には体が冷え切っており、さむいさむい・・・

二人は温泉を求めて(亀屋旅館前の)川原へ降りていくのであった。
ここんところの荒天で大分水量が増えており川原が相当狭くなっている。
川原に隙間を見つけて穴を掘る。
あ:「結構熱いね・・・」
私:ケツ半分ぐらい分のお風呂だが穴を掘りながら
  「うん、ここは良い。」・・・と穴を掘りながら極楽の境地へ入っていくのであった。

2人で黙々ニコニコと穴を掘ってそこそこの湯壷になったところで・・・
あ:「お父さん、川で泳いで来ていい?」
私:「増水してるから気をつけてね・・・本流に行くのなら一緒に行くから言えよ・・・」
・・・しばらくして、根性無しのあっくんは「水冷たいよ〜」
私:「なんだ?体ぬれて無いじゃん・・・じゃ俺も行くか・・・」と2人でザバザバ泳ぎ始めた。

対岸の崖に飛び込みポイントがあり、あっくんはそこに行き天然の飛び込み台(岩)から川へ飛び込んで遊んだ。
僕が子供の頃、家の近くを流れる狩野川の支流で良く泳いだものである。
この川は小さい川で飛び込むほどの深さも水量もなかったが魚が豊富で良い川だった。
しかし、上流での家庭排水と養豚業、浄化槽タイプの水洗便所の普及で小学校4年生になる頃にはとても泳げるような川ではなくなった。
川でこうやって遊べるというのは本当に気持ちがいいのである。

午後2時過ぎあたりから土砂降りの雨になってきた。
二人で雨の中川原の温泉に浸かり・・・極楽極楽・・・・

・・・
しばらくして少し小降りになった。
あ:「また川入っていいかな?」
私:「ダメ!さっき土砂降りの雨が降ったじゃないか、これからどんどん川の水量が増えていく。
   もうちょっとしたらお父さんが入っても危ないぐらいの川になっているじゃないか。」
あ:不満いっぱいの顔で・・・
  「だって他の子供は川で遊んでいるじゃん。」
私:「みんな親が助けられる自信があるんじゃない?
   お父さんは泳ぎは得意なほうだけれど、この状態であっくんが流されて溺れたら助ける自身は無いな。
   あと30分もしたらお父さんも泳げないくらい危ない川になるよ・・・」
あ:「だってもう雨止んだじゃん・・・」
  ・・・川の増水の仕組みについてあっくんに説明していると・・・

おばさん:「あ!おぼれてるうちの子がおぼれてる!助けて!助けて!」
・・・と2m程上流の湯壷に居たおばさんが大騒ぎして駆け出した。

私は外していためがねを探してかけてみると、30mぐらい下流に子供が流されているようであった。
幸い、岸側に流れ着いたようで怪我も無かった様であった。
それをみて、あっくんは納得してくれた様であった・・・

しばらく湯に浸かり、宿に戻ることにする。
朝、着てきたままの格好で川湯に入ってしまったので、全身ずぶぬれである。
宿のガレージで絞れるだけ絞って宿に向う。

女将さんが荷物を部屋に入れてくれてあり、お風呂の準備も終っていた。
我々はそのまま風呂に直行したのである。
その後、宿の洗濯機で洗濯をしスッキリと蒸し暑い熊野の宿でエアコンを効かせてお昼寝をするのであった。

晩飯は、品数が多く大変満足な食事が出来た。
特に、鮎のなれ寿司が上手かったな・・・
他に、焼き魚・牛肉蒸し焼き・てんぷら・煮物・紀州の梅・・・・ああ、やっぱり極楽であった。

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