地質時代
海底や湖底に土砂が溜まって堆積岩が作られる時、その間に生物の死体が挟まれば「化石」となって保存されます。 いったん固まった堆積層は、やがて次の時代の堆積層に覆われる.. こうして異なる種類の地層は、順々に積み上がっていきます。
人類が文字を使い始めてからの「歴史時代」に対して、 地層や化石に基づいて設定された時代区分を「地質時代」と呼びます。 地質時代は、古い方から古生代,中生代,新生代と呼ばれ、「代」を細分化した時代を「紀」と呼びます。 こうした区分の境界では、生物の大量絶滅が繰り返し起こっています。このうち、最も大規模な大量絶滅は、古生代と中生代の境にもなっているペルム紀末に起こりました。この絶滅では実に生物の90%が消滅しました。古生代に繁栄した三葉虫や四放サンゴ,フズリナなどもこの時期に地球上から姿を消しています。
中生代と新生代の境にもなっている白亜紀末にも生物の大量絶滅が再び起き、恐竜やアンモナイトが壊滅し、海洋表層に繁栄していた浮遊性有孔虫などの石灰質プランクトンと浅海に棲む動物の大半の種が絶滅しました。
ここでは、日本列島の生い立ちと共に、鍾乳洞の形成という観点で地質時代を見ていきます。

 先カンブリア時代
46億年前 地球誕生。
40億年前 [始生代]熱湯の豪雨が降り続き原始海洋が誕生。
38億年前 [始生代]海中で最初の生命の兆候が現れる。
25億年前 [原生代]原始的な藻類が現れる。
古生代 5.4億年前
 
カンブリア紀 カンブリア爆発と呼ばれる生物進化の大発展により多様な生物が出現し、三葉虫などの骨格をもつ無脊椎動物が海に大発生した。
4.9億年前
 
オルドビス紀 引き続き浅海の時代で、筆石とよばれる浮遊性の原索動物が繁栄した。この時期に、層孔虫や四放サンゴが初めて出現した。 岐阜県上宝村(現:高山市)の飛騨外縁帯と呼ばれる地質体のこの時代の地層から日本最古のコノドント化石が見つかっている。
4.4億年前
 
シルル紀 珊瑚礁が陸を縁取り、礁辺には腕足類やウミユリが生息していた。シルル系の石灰岩は、日本の北上山地、飛騨外縁帯、紀伊半島から四国、九州にかけて細長く断片的にのびる黒瀬川帯をはじめ世界中に分布している。
4.2億年前
 
デボン紀 魚が急激に進化した時代でシーラカンスや肺魚等の硬骨魚類が発展した。安定したオゾン層が形成され両生類が出現し上陸した。 アンモナイトは今から約4億年前のデボン紀から繁栄を始めました。そのデボン紀のアンモナイトを産出するのは、わが国では北上山地のみです。産地は一関市東山町の粘土山(セメント製造の際混合させる粘土を採掘した跡地)で、鳶ヶ森層の最上部の泥岩中に腕足類、コケムシ、三葉虫などとともに含まれています。 デボン紀の化石が日本で最初に見つかったのはこの粘土山の鳶ヶ森層です。地球上で初めて森林ができたデボン紀後期の巨木(リン木)の化石も、鳶ヶ森層から産出しています。
3.6億年前
 
石炭紀 巨大トンボ,ゴキブリ等の昆虫や両生類が主役の時代となった。 植物ではシダ類の巨木が各地で大森林を造り、世界の主要な石炭層の起源となった。 この頃、大陸は1箇所に集まり、パンゲアと呼ばれる超大陸が形成され、海では海綿,コケ虫,藻類等が礁を作り、中国南部に見られるような大規模な石灰岩層が堆積した。
3.0億年前
 
ペルム紀
(二畳紀)
爬虫類が発展し、裸子植物が繁栄した。この時期パンゲアの赤道付近に広がっていたテーチス海の珊瑚堆積物は、日本の石灰岩の多くを占めている。一方で、世界規模で起ったバリスカン造山運動により、日本列島の骨格をなす秩父古生層が形作られた。
中生代 2.5億年前
 
三畳紀 生物の大量絶滅後、新しい型の生物が進化し始め、陸上に爬虫類が,海にはサンゴ礁やアンモナイトが繁栄した。また、超大陸パンゲアが大陸移動により分裂を始め、南はゴンドワナ大陸に、日本列島の土台を育てて来た北半分はローラシア大陸となった。
2.0億年前
 
ジュラ紀 陸上は恐竜全盛の時代となり、空には翼竜が飛び、鳥類の祖先始祖鳥も出現した。海では魚竜,首長竜などの爬虫類が栄えた。古太平洋では、秋吉台になる秋吉海山列や飛騨外縁,北上,阿武隈,黒瀬川地塊群が生れ、珊瑚礁を育みながら北上を始めた。
1.45億年前
 
白亜紀 植物界に変化が現れ被子植物が出現した。影響で大型恐竜(竜脚類)が絶滅し、鳥盤目の恐竜が台頭した。ローラシアは細かく分裂し、大海進により陸地の奥まで石灰質プランクトンの殻が堆積した。アジア大陸では日本列島が切り離され北へ移動した。
新生代 6600万年前
 
古第三紀 中生代に繁栄した生物の多くは新生代の始まり迄に絶滅した。古第三紀には哺乳類や鳥類,被子植物が多様化し、現在生息する哺乳類の多くの祖先が次々に出現した。
海進の時代であり、地殻変動も激しかった。東北地方の土台は、まだ1000mを超す海底に沈んでいたが、西部・中部・東部がバラバラに散らばり海面下に沈んでいた北海道は、第三紀はじめに中部と西部が合体し、その後東部が衝突して隆起した。
2303万年前
 
新第三紀 海洋ではイルカやクジラの仲間が多くの種に分化し、花をつける顕花植物もあらわれた。海が最も広かった時期で、日本列島の背骨にあたる中央部が隆起して海から顔を出していた他は海となっていた。東北日本のグリーンタフにあたる地域では、海底火山の噴出物と陸地からの土砂が混じり込み一続きの地向斜堆積物として堆積した。西南日本では最も外側に四万十帯が付加された。
258万年前
 
第四紀 更新世 氷河時代とも呼ばれ顕著な気温低下のあった時代。人類が出現し旧石器時代を過ごす。現在明瞭な火山地形を残している山々は、どれもこの時期に主活動を行っており、関東ローム層がこの時代に含まれる。丹沢山地,伊豆半島が順に箱根に付加された。
1万年前
 
 〃  完新世 気候が次第に温暖化し、氷河が衰退を続けている。温暖化に従い縄文海進が始まり、縄文人は段丘面周辺の洞窟や半洞窟を天然の住居として利用した。6000年以降海面は緩やかに低下を続けている。人類は農耕・牧畜等の生産技術を習得し新石器時代から現在の繁栄に至る。

国際年代層序表 v2019/05 準拠 小木木工房 謹製

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