2.5 イベントリスト

シーケンスソフトとは、MIDIデータを編集・保存・再生したりするシーケンサーの機能をパソコン上でソフトウェア化したものです。
イベントリストとはシーケンスソフトでデータを見るときに使うものの 1つで、MIDI のイベントを時間の流れる順番に数値でリスト表示したものです。
下があるシーケンスソフトで実際にイベントリストを表示させたものです。
イベントリストの方式には「MBT方式」と「ST・GT方式」の 2つがあります。現在では、音楽的にわかりやすい MBT方式が主流となっています。

MBT方式は、小節 (Measure)、拍 (Beat)、ティック (Tick) で時間軸を定義しています。ティックとは、時間の分解能 (タイムベース) の最小単位で音符の長さやタイミングなどで使える一番短い単位です。
普通、分解能が 480bpqn とかタイムベースが 480 とかいう呼び方をします。分解能が 480bpqn とすると 4分音符を 480 に分割するということになります。
この方式では、音符イベントを表すのに「何小節目の、何拍目の、何ティック目」というようになります。これは普段使っている何時何分何秒とちょうど同じようなものです。
また、わざわざ何拍目とかでは表記しにくいので、「 1 : 2 : 240 」というように小節、拍、ティックを表記します。

ST・GT方式では、ST (StepTime : 間隔) 値が次の音符までの間隔を表し、GT値でゲートタイムをあらわしています
下の 2つのイベントリストは、同じ MIDIデータを MBT方式で表したリストと ST・GT方式で表したものです。
譜例 2
譜例 2を聞く

MBT方式のイベントリスト (TimeBase:480)
譜例 2 のイベントリスト(MBT) 小節 [Measure] 拍 [Beat] ティック [Tick] ノートナンバー。このシーケンスソフトはC3 = 60 ゲートタイム。[Beat:Tick] ベロシティ

 説明 (IE4 only) 


  ST・GT方式のイベントリスト (TimeBase:480)
譜例 2 のイベントリスト(ST・GT)
MBT。ティックの代わりにステップ(順に数字を付けただけ)値を使うソフトもある。 ノートナンバー。このシーケンスソフトはC4 = 60 ステップタイム ゲートタイム ベロシティ

説明 (IE4 only) 


2.6 ドラム音源


ドラム音源は、ドラム、パーカッション系楽器が基本的に単音であり、全ての楽器音が減衰音(発音からあまり時間が経たないうちに消えていく音)であるため、MIDIに対応する設定も特殊な扱いとなっています。
ドラム音源は、1つのノートナンバーに 1つの楽器音がアサイン(配置)されノートナンバーによっていろいろな楽器音が鳴るようになっています。こうすることで、MIDIの 1つのチャンネルでドラムやパーカッションをセットとして扱えます。

ドラム、パーカッション系楽器のキーアサイン
Note#InstrumentNote#InstrumentNote#Instrument
35Bass Drum151Ride Cymbal167High Agogo
36Bass Drum252Chinese Cymbal68Low Agogo
37Side Stick53Ride Bell69Cabasa
38Snare154Tambourine70Maracas
39Hand Clap55Splash Cymbal71Short Whistle
40Snare256Cowbell72Long Whistle
41Low Floor Tom57Crash Cymbal273Short Guiro
42Closed Hi-Hat58Vibraslap74long Guiro
43High Floor Tom59Ride Cymbal275Claves
44Pedal Hi-Hat60Hi Bongo76Hi Wood Block
45Low Tom61Low Bongo77Low Wood Block
46Open Hi-Hat62Mute Hi Conga78Mute Cuica
47Low Mid Tom63Open Hi Conga79Open Cuica
48Hi Mid Tom64Low Conga80Mute Triangle
49Crash Cymbal165High Timbale81Open Triangle
50High Tom66Low Timbale  

ドラム音源のそれぞれの楽器音は単音(モノ)であるため、発音中に同じ楽器音が指定されると発音を重ねずに再度同じ音を発音するシングルアサインに設定できます。
また、ハイハットやトライアングルのオープン/クローズのように同じ楽器でも奏法の異なっているものは、別のノートナンバーに割り当てられていますが、クローズハイハットとオープンハイハットは同時になることがないので、ノートナンバーが違っていても同時には発音できないように設定されています。これをオルタネートアサイン(エクスクルシブアサイン)といいます。


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