1868-71年のドイツと日本の出来事
1868年
・北ドイツ連邦初の統一図案切手および切手付き封筒発行。南ドイツの諸邦(バーデン、バイエルン、ヴュルテンベルク)は独自の切手を継続発行
慶応
3年

慶応
4年

明治
元年
・王政復古の大号令
・戊辰戦争
・五カ条の誓文
・江戸開城
・東京遷都
1869年
・工場法成立(労働者の団結を認可)
オーストリーで世界最初の葉書発行
明治
2年
・藩籍奉還
1870年
・ドイチェ=バンク(ドイツ銀行)設立
・初の在外局(海外での郵便局)をトルコのコンスタンチノープル(イスタンブール)に開設
・株式会社法成立
・エムス電報事件でプロイセンとフランスの間に緊張高まる
ドイツ最初の官製葉書発行
・フランス・プロイセン戦争勃発(普仏戦争)
・スダンの戦いでナポレオン三世降伏
明治
3年
・金貨・銀貨鋳造(20円〜5銭)。近代貨幣の始まり
・藩制改革
1871年
・ヴェルサイユ宮殿の鏡の間でドイツ皇帝即位式
・フランス、仮講和条約調印(アルザス・ロレーヌ割譲、50億フランの賠償金)
・ドイツ帝国憲法発布
・ドイツ統一通貨単位としてマルクを採用
・好景気到来
明治
4年
・明治通宝印刷(100円〜10銭)。近代紙幣の始まり
・廃藩置県
・官制改革
・散髪廃刀令

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1868-1871年に発行された北ドイツ連邦の切手

1868.1.1 (金曜 Freitag, Friday)

 1814〜1815年のウィーン会議で成立したドイツ連邦(オーストリーを盟主とする39のドイツ諸邦で構成された諸国家連盟)が、1866年のプロイセン・オーストリー戦争(普墺戦争)でオーストリーの大敗により解体した後、1867年7月1日(水)のプロイセン連邦憲法発布をもって、今度はプロイセン王国を盟主とした北ドイツ連邦が成立しました。
 北ドイツ連邦は、自由都市を含むマイン川以北の22の諸邦で構成されたもので、旧ドイツ連邦の「諸国家連盟」よりも中央集権的色彩の強い「連邦国家」の性格を持っています。例えば、各諸邦は独立してはいるものの、軍隊は連邦に属し、プロイセン国王がその軍隊の最高司令権を持っていましたし(攻守同盟)、最高機関である連邦参議院の主席はやはりプロイセン国王で、国王が任命した宰相を通じて執行権を行使する形を取っていました。なお、バーデン大公国、バイエルン王国、ヴュルテンベルク王国の南ドイツ諸邦は、この北ドイツ連邦には加盟しませんでした。
 北ドイツ連邦成立後の半年間は、各諸邦と自由都市においては、従来から発行されていた切手が使用されました。これは、翌1868年から北ドイツ連邦共通の図案の切手が使用されるまでの過渡的なものでした。しかし、通貨に関しては、貨幣経済に深く根を下ろしているだけに簡単には統合されず、異なる通貨体系がそのまま残されたため、切手もそれに合わせて異なる通貨単位を維持したまま発行されました。

通貨単位
北地区 1Thaler = 25Silbergroschen = 30Groschen
(1Thaler = 3Mark, 1Groschen = 10Pfennig)
2Groschen = 7Kreuzer
南地区 1Gulden = 60Kreuzer
ハンブルク 1Mark Courant = 16Schillinge
4Schilling = 3Silbergroschen

1.数字図案シリーズ ルレット目打ち 

 中央に額面を配置して、円形にNORDDEUTSCHER POSTBEZIRK(北ドイツ連邦郵政地区)の文字を並べたシンプルなデザインです。切手の刷色は、プロイセン王国の切手の刷色がそのまま転用されました。
 切手と切手の間は、穴ではなく、破線のようにところどころ切り抜かれている形になっています。

1.1 Groschen単位シリーズ

 Groschen(グロッシェン)は、北ドイツ地方を中心に通用していた通貨です。30Groschenが1Thaler(ターラー)で、1Thalerは後の統一通貨の3Mark(マルク)に相当しました。なお、Silbergroschen(ジルバーグロッシェン、銀グロッシェン)も通用していました。
 以下の料金の解説は、一部であって、実際はもっと複雑です。

1/4Groschen 1/4Groschen
特別低料金地区に定められた郵便用
ブラウンシュヴァイク、旧トゥルン・ウント・タクシス管轄地区の市内用書状、市内用印刷物、商品見本
1/3Groschen 1/3Groschen
特別低料金地区を除く2.5Loth(ロート)ごとの印刷物、商品見本の加算料金(200gまで)
1/2Groschen 1/2Groschen
リューベック、オルデンブルク、ザクセン等特定地区の市内用書状、プロイセンの市内用書状(1868.7.1〜)
1Groschen 1Groschen
1Loth(=16 2/3g)までの市外用書状、プロイセンの市内用書状(〜1868.6.30)、他
2Groschen 2Groschen
1Lothを超え15Loth(=250g)までの市外用書状、書留料、外信書状、価格表記
外信書状(デンマーク宛。1868.12.1からベルギー、スイス、オランダ追加)
5Groschen 5Groschen
小包、価格表記、外信書状、等

・有効期限は1871年12月31日です。

1.2 Kreuzer単位シリーズ

 Kreuzer(クロイツェル)は、中南ドイツ地方(ヘッセン、ホーエンツォレルン・ジクマリンゲン、コーブルク、ザクセン・マイニンゲン、シュヴァルツブルク・ルードルシュタット、フランクフルト等)を中心に通用していた通貨です。60Kreuzerが1Gulden(グルデン)で、GroschenやMarkとの比率は、35Kreuzer=10Groschen=1Markでした。

 中央に額面を配置しているのはGroschen単位のシリーズと同じですが、比較してみるとレイアウトがかなり異なります。まず、数字の周りが楕円形になっています。その楕円形の上半分にNORDDEUTSCHER POSTBEZIRK(北ドイツ連邦郵政地区)の文字が、下半分に額面の文字が書かれています。この点は日本の小判切手によく似たデザインです。デザインを変えたのは、両方のシリーズの混乱を避けるための配慮と思われます。(それでも色が似ているため、Groschen地区で誤って使用された例があります。)

 以下の料金の解説は、一部であって、実際はもっと複雑です。

1Kreuzer 1Kreuzer
特別低料金地区に定められた郵便用、印刷物、他
バーデン、旧トゥルン・ウント・タクシス管轄地区の市内用書状・印刷物・商品見本、
他地区の印刷物・商品見本で2.5Lothごとの加算料金で12Loth(=200g)まで
2Kreuzer 2Kreuzer
バーデン、旧トゥルン・ウント・タクシス管轄地区の市外用書状(地区内の地方用)
3Kreuzer 3Kreuzer
1Loth(=16 2/3g)までの市外用書状、等
7Kreuzer 7Kreuzer
1Lothを超え15Loth(=250g)までの市外用書状、書留料、外信書状、価格表記
18Kreuzer 18Kreuzer
小包、価格表記、外信書状、等

・換算比率として正しいのは、青色の2Groschenと青色の7Kreuzerだけです。他の額面の切手では、同じ色同士の比率を比較してみるとわかりますが、切り捨て/切り上げで微妙に比率が異なっています。
・刷色が同じなため、Kreuzer額面の切手がGroschen通貨の地区で誤って使用された例があります。もちろん、逆の誤用もあります。
・有効期限は、1871年12月31日です。

1.3 ハンブルク市内郵便専用

 ハンブルク市内の郵便用に発行されたものです。Kreuzer単位シリーズと同じデザインですが、よく見ると、切手の中央に額面の数字がありません。Kreuzer単位シリーズは楕円形の下の部分に通貨が書かれていますが、この切手は「STADTPOST BRIEF HAMBURG」(ハンブルク市内郵便の書状用)と使用目的だけ書かれています。このように額面が書かれていない切手は、ドイツでは初めてのことでした。

1/2Schilling 1/2Schilling

・有効期限は、1871年12月31日です。


1869.1.-1871.

2.数字図案シリーズ 櫛形目打ち

 ルレット目打ちでは、切手を切り離す際に切手が破れやすいため、現在でも採用されている目打ちの形式に改めたものです。公式的には、1869年2月17日の通達で発行が周知されましたが、Groschen単位の額面は、すでに1月頃から出回っていたようです。これは郵便局の誤用なのか、単に通達が遅れただけなのかは分かりません。

2.1 Groschen単位シリーズ

1/4Groschen 1/4Groschen
特別低料金地区に定められた郵便用
ブラウンシュヴァイク、旧トゥルン・ウント・タクシス管轄地区の市内用書状、市内用印刷物、商品見本
1/3Groschen 1/3Groschen
特別低料金地区を除く2.5Loth(ロート)ごとの印刷物、商品見本の加算料金(12Loth=200gまで)
1/2Groschen 1/2Groschen
リューベック、オルデンブルク、プロイセン、ザクセン等特定地区の市内用書状
1Groschen 1Groschen
1Loth(=16 2/3g)までの市外用書状、葉書(1870.7.1〜)、他
2Groschen 2Groschen
1Lothを超え15Loth(=250g)までの市外用書状、書留料、外信書状、価格表記
外信書状(デンマーク、ベルギー、スイス、オランダ宛)
5Groschen 5Groschen
小包、価格表記、外信書状、等

・有効期限は、1871年12月31日です。

2.2 Kreuzer単位シリーズ

 利用が少なく在庫を抱えていた18Kreuzerは、遅れて1871年に発行されています。

1Kreuzer 1Kreuzer
特別低料金地区に定められた郵便用、印刷物、他
バーデン、旧トゥルン・ウント・タクシス管轄地区の市内用書状・印刷物・商品見本、
他地区の印刷物・商品見本で2.5Lothごとの加算料金で12Loth(=200g)まで
2Kreuzer 2Kreuzer
バーデン、旧トゥルン・ウント・タクシス管轄地区の市外用書状(地区内の地方用)
3Kreuzer 3Kreuzer
1Loth(=16 2/3g)までの市外用書状、葉書(1870.7.1〜)、他
7Kreuzer 7Kreuzer
1Lothを超え15Loth(=250g)までの市外用書状、書留料、外信書状、価格表記
18Kreuzer 18Kreuzer 1871年発行
小包、価格表記、外信書状、等

・有効期限は、1871年12月31日です。

2.3 ハンブルク市内郵便専用

 ハンブルク市内の郵便用に発行された切手も目打ち入りに改められました。この切手は、ドイツ帝国成立後の最初の切手シリーズと併用され、1874年12月末まで有効でした。

1/2Schilling 1/2Schilling

・有効期限は、1874年12月31日です。


1869.3.1 (水曜 Mittwoch, Wednesday)

3.数字図案シリーズ 高額

 新たに高額面の切手が追加されました。Groschen単位でのみ発行されていますが、Kreuzer単位の地区でも(換算して)使用できました。高額面のため、窓口では販売されず、郵便局の中でのみ使用されました。すなわち、局員が差出人から代金を受け取って局内で切手を貼り、さらに左下の写真のように手書きで局名と日付を書き込んで念入りに抹消しました。単なる「×」印では偽造に使われる恐れがあったため、このように切手の全面に書き込まれた使用例が普通です。まれに、誤って通常の日付印が押されたものがあります。押してから気づいたのか、日付印が押されたその上にさらに局名と日付を書いた使用例もあります。

10Groschen 10Groschen, 30Groschen
小包、価格表記、他

・有効期限は、1874年12月31日です。


1870.1.1 (月曜 Montag, Monday)

4.公用切手

 北ドイツ連邦では、官公庁や市町村の役所が差し出す郵便物、いわゆる公用便には切手が貼られていませんでしたが、1870年から一般の郵便物と同じく、郵税支払い済みを示す必要上、切手が使われるようになりました。他の切手と区別するため、切手は横型で、しかも八角形のデザインに単調な刷色という独特の体裁になっています。もちろん、これらは窓口では発売されていません。

4.1 Groschen単位シリーズ

1/4Groschen 1/4Groschen
1/3Groschen 1/3Groschen
1/2Groschen 1/2Groschen
1Groschen 1Groschen
2Groschen 2Groschen

4.2 Kreuzer単位シリーズ

2Kreuzer7Kreuzer 1Kreuzer - 7Kreuzer

・2Kreuzerと7Kreuzerの使用例が入手困難です。
・有効期限は、1871年12月31日です。


1870.9.6 (木曜 Donnerstag, Thursday)

5.アルザス・ロレーヌ(エルザス・ロートリンゲン)地区専用切手

 1870年7月19日(木)フランスの宣戦布告で始まったフランス・プロイセン戦争(普仏戦争)で、プロイセン軍は8月上旬にアルザス・ロレーヌ地方に侵入し、スダンの要塞に立てこもるフランス軍の主力軍を包囲した後、9月2日(日)フランス軍が降伏。ちょうど来援していたナポレオン三世が捕虜になってしまったことから、9月4日パリで共和制が布告されました。しかし、フランスの新政府はプロイセンとの休戦を認めず、徹底抗戦を呼びかけ、普仏戦争はフランスの祖国防衛戦争に発展していきます。ちょうどこの戦争が新たな段階に発展していく時に、アルザス・ロレーヌ占領地区で専用の切手が発行されました。
 切手のデザインは、占領後急遽用意されたものらしく、額面と背景の網目模様という、いたってシンプルなものです。ただ、これでは印刷時に圧力をかけたときに原版がつぶれてしまうためか、切手と切手の間の部分(目打ち部分)がベタになっています。このため、切り離された切手の周囲は、あたかも縁取られているように見えます。この印刷のやり方は、次のドイツ帝国成立後最初の切手シリーズにも受け継がれました。
 なお、フランスは、自国の占領地区で発行されたこの切手を認めず、フランス宛の郵便物にこの切手が貼られていた場合は、郵税未納として扱いました。これに対抗して、アルザス・ロレーヌ地区でもフランスからの郵便物を郵税未納として扱いました。

1Centime 1Centime
加貼り用
2Centimes 2Centimes
加貼り用
4Centimes 4Centimes
40gごとの印刷物
5Centimes 5Centimes
250gまでのアルザス・ロレーヌ地区内書状
10Centimes 10Centimes
15gまでの書状
20Centimes 20Centimes
10gごとのフランス宛書状の加算料
25Centimes 25Centimes
書留料、15gを超え250gまでの書状

・どの額面にも、図案の背景を埋める網目模様に、上下の2種類があります。
・どの額面にも、刷色のバラエティがあって、評価額が分かれています。
・有効期限は、1871年12月31日です。

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