| Home | Back |

熊野詣で(つづき) 8月21日
<速玉大社から那智大社へ>

朝、早起きをして荷造りをする。
このまま行くと、持ってきた釣竿(渓流用の延べ竿)は使わず仕舞いか・・・
AM8:56の新宮行きのバスに乗るため7:30に朝食にしてもらう。
支払いを済ませて宿”民宿すみや”(0753−42−0097)を出る。
ここの宿は料金の割りに料理が良くって非常にいい宿であった。
お風呂も良いし、公衆浴場も歩いて3分。川の浴場は出て直ぐだし・・・
「今度は、家族で来るね・・・」といって親切にしてもらった女将さんにお別れである。

川湯温泉のかめ屋前から乗った新宮行きのバスは満席である。重い荷物を背負って天井のポールにしがみ付くしかない。
脂汗を流しながらジ〜っと耐えるのである。あっくんは辛そうで見ていてかわいそうであった。
途中で少し人が降りて足元にスペースが出来たのであっくんの荷物を足元に下ろす。

約1時間の辛抱で熊野速玉大社近くの権現前バス停に着く。
今日は速玉、那智を回って(バスを使って・・・)明日はあっくんのためにくじら博物館に行って帰ろう・・・・
そうしないと、また天気が崩れて来そうなのである。明日22日は既に危なそうなのだ。

バスを降りて振り返ると熊野速玉大社の赤い鳥居が見えた。
歩きながら親子の会話をする。
私:「あっくん、近くってよかったな〜」
あ:「・・・」相変わらず無口である。
私:「今日はね、余んまり歩かないから・・・熊野詣でも今日で終わりだからがんばろうね・・・
   それから、今日は昼に何食うか?あっくん”うまいもんマップ"毎日みていたじゃん。」
あ:「寿司にしよう。」

速玉は結構良い雰囲気の大社である。
巫女さん等も感じが良く、庶民的な感じがしたな・・・
お参りをし、牛王印を求める。
駐車場の脇で屋台のもうで餅屋さんがあった。
今日は、本店に行ってもうで餅を買おうかと思っていたがここで済ませる事にした。

参拝後、鳥居を出て2本目ぐらいの路地を左に行き熊野川を見る。
確かに速玉大社は熊野川河口にある。堤防がなければ川との一体感が実感できるのだろうが・・・(今の時代、無理だよね)

私:「あっくんが行きたいって言っていた徐福公園に行ってみようか?」
あ:「歩く?」
私:「当然!」
あ:「どのくらい?」
私:「そんなに遠くないと思うよ・・・」
あ:「でもさ、お父さんシュラフ買う時にさ、お店の人にどのくらいの山に行かれます?って聞かれて
   低い山だからそのシュラフで大丈夫だ・・・っていってたじゃ。
   僕は、ちょこっとした小っちゃい山だと思っていたからさ。
   でも、最初っから山はでっかかったよ・・・毎日。」
私:「山はさ、高い山って3千メートルとかある山の事だよ。
   熊野の山はそういう高さじゃあないから・・・嘘言ったつもりは無いけど・・・」
  (実は、その時のお店での会話は、あっくんを意識して発した言葉でもあるが・・・許せ!)

市街地を黙々と歩くこと約30分強、徐福公園に到着。
看板でいわれを読んだりお参りしたり、不老の池を渡ったり・・・
すると、観光ボランティアの腕章をしたおばさんが話しかけてきた。
そして、新宮市のマップや徐福のパンフを持ってきて徐福について説明をしてくれた。
私は徐福についての予備知識は殆ど無かった(学生時代に名古屋の熱田に住んでいて、そこで少し・・・)ので非常にためになったのである。
そして冷たい徐福茶を頂き、徐福寿司に向った。

徐福寿司は、公園を出て右に行きバスターミナルを過ぎ、新宮駅前ロータリーに出たところにある。
さんまの姿寿司をあっくんにいきなり食べさせても辛いだろうから"盛り合わせ(大)”。
私は”さんまの姿寿司”と”ばってら”である。
しばらくしてあっくんが、「ねえ、わさび入ってない?」
私:「わさび抜いてもらったら・・・」
あ:「うん」
  「すみません、わさび抜いて下さい。」
徐:「はいよ、盛り合わせのわさび抜いとくよ〜」
・・・ここが、今回あっくんが成長した部分である。
お店の人や宿の人に自分の要求を伝えられるようになったり、質問したり出来るようになったのである。エライエライ・・・

うまいうまいと、2大プチ馴寿司を食いお腹いっぱい・・・さて次に行くか・・・と、目の前の駅に向う。
いかんいかん、もうじき那智に向う列車が出てしまう。
慌てて券売機で切符を買おうとするのだが、千円札を蹴られてしまう。
何度やってもダメだし、列車が出ようとしているので改札に行くと「切符を買ってくれ・・・」と言う。
悪戦苦闘して、何とか切符が買えて改札に行くと「今出たばっかりだよ、次は2時・・・」
ちょとキレかかったが・・・どうせ行き当たりばったりで来てんだからバスにしよう・・・と、苦労して買った切符を払い戻す。

そのまま、バスターミナルに行き那智大社に行くのにどうすれば良いかと聞く。
おじさん曰く、「そこに止まってるバスはあと3分ぐらいで出る。」
そのバスに乗り、運転士さんに那智大社に行きたい旨をつたえると、「このバスだけだとダメだから調べるから待ってて・・・。」
携帯電話でなんだかピコピコやっている。スゲー・・・。
「お客さんね、このバスで那智駅まで乗って言ってくれるかな。う〜ん上手くいくとスグ那智大社に行くバスが来て乗れるんだけれど
このバスの付く時間と同じだから無理かな?ダメだと那智駅で30分ぐらい待ってもらわなきゃいけない。」
最近のバス会社はハイテクモバイルツールを使っているのであった・・・

結構な距離をバスに乗り那智駅に着く。
降りる時運転士さんにお礼を言うと、「あのね、バス3分早く付いたから。バスはその柵の所を抜けたところにあるバス停に来るから。」
・・・ありがたいものである。

バスが来たのだが、那智駅に来た時にはすでに8割方の乗車率。
ズラリと並んだ那智駅の乗客が乗れそうにない・・・
私とあっくんは最後尾であった・・・やっぱり我々の前でもう人がいっぱいである。
私の前の人がステップに立っているぐらいである・・・
私:「あきらめるか・・・このバス・・・」
すると、乗客の女性の方一人が、「せっかくなんだからギュウギュウ詰めでいきましょうよ無理してでも乗りなさいな。」と言ってくれた。
強引に乗り込む・・・しかしどうにもならないものは、どうにもならないのである・・・・
しばらくがんばっていると、運転士さんが「前から乗ってくれるかな?」
あっくんを連れて前から乗り、つかまるところが無いので料金箱につかまって身体を保持する。
満員のバスに前から乗るとどうなるかと言うと、乗客全員が私の方を向いているのである。
みんなニコニコ微笑んでいるので、私は不敵にも微笑返しをするのであった・・・
バスは途中何度か乗客を降ろしたり乗せたりしながら大門坂下に到着。ここで乗客の7割ほどが降りた。
「おーここが、かの有名な大門坂か・・・」
熊野古道というと苔むした大門坂の絵が思い浮かべられるくらい有名である。
私:「あっくん、ここね、有名な坂だよ。この前さ、久米さんがやってた番組で古館さんが今やってるニュースの番組で太鼓叩いてたのはここ・・・」
あ:「ふ〜ん・・・長い?」
私:「観光客があーゆー靴で歩けるくらい・・・多分大変だろうけど・・・」
・・・
しばらくして、あっくんは「疲れた」だの、「暑いだ」の文句を言い出した。
聞いてあげればいいものを心が狭い私は「別にここ歩かなくたって誰も困りゃしないんだし、降りて下のバス停でまってろ。帰りに拾ってくから。」
あ:「やだ!」

大門坂を上りきると、ドライブイン?か何んかの、掃除が出来ていない裏側(車で来る客相手の商売だと駐車場の裏側なんてのはこんなもんです・・・)を歩き 那智大社に向かう。
大社の鳥居へ向う階段を上りはじめると滝が見えてきた・・・この滝を見てやっとあっくんは元気になった。
階段を上りきるとそこには本殿があり、お参りをし、牛王印を求める。
あ:「おみくじやっていい?」
日本一大きいおみくじというのがあって、あっくんは占った。(中吉だったそうです。)
その後、あの有名な三重塔へ登り、飛瀧神社に向かう。

滝前のバス停の辺りにおみやげ物屋さんが並ぶ。
ここで、あっくんとカキ氷を食べた。
元々お行儀が余んまり良くないので食べながら通りからお店を覗く。
・・・???変なのである。飲み物の自販機を置いているくせに缶類のゴミ箱が無いのである。
唯一、下の方のお店が一件ゴミ箱を置いてあるだけなのである。
我々はここに来るまで、空のペットボトルを捨てさせてもらいそこの自販機で新しいお茶を買い・・・を繰り返してきたのだが、
ここでは、買えるのは一番下のお店だけなのである。(別にそれでいいけど・・・)
それにしても看板に偽りは無いと思うけど・・・人に厳しいみやげ物屋さんではないか・・・

帰りのバスの時間を確認し、駐車場を横切って飛瀧神社に向うとバスガイドさんに呼び止め られた。
ガ:「すみません。お話しして良いですか?今日、ずっと歩いておられますよね・・・何度か見たんですよ。
   うちの運転士が羨ましがってしょうがないんですよ。お子さんと一緒に歩けるなんて良いですよね。
   ・・・・」と、色々話しかけられ、しばらく会話をしあっくんと2人の写真を撮ってもらい滝へ向う。

私:「あっくん、そんなに羨ましいもんじゃあないよな。オヤジに騙されて引きずりまわされているみたいなもんだからな・・・」
滝に向って左側の通路から、お金を払って滝の近くまで行く。(お守りをくれる。)
このでっかい滝を目の当たりにしてあっくんはハイになって写真を撮りまくっている。


  「あっくん、これで熊野詣ではおしまいだ。」

  熊野へ参らむち 思へども
  徒歩(かち)より参れば 道遠し
  すぐれて山峻(きび)し
  馬にて参れば 苦行ならず     「梁塵秘抄」

馬をいっぱい使っちゃったから、神仏の加護は余んまり無いだろうな。また来るか・・・

あっくん、来週のバドミントンの試合で勝てれば良いよね。
あっくんにとっては苦行だったからな・・・

その後、バスに乗り紀伊勝浦駅へ行く。
駅の一階に旅館組合と民宿組合の案内所があった。
迷わず民宿組合に駆け込み、「今日泊まれるとこ紹介してくれー、それに・・・ここから歩いていけるところね。」
と言うことで、”こさかや”さんという所を紹介してもらった。
・・・実は、この案内所はPM5:00までみたいでギリギリセーフだった模様。
宿泊は新館で、お風呂も露天風呂。食事は・・・おいといて、良く休めたのである。

<<もどる [Page11] つづき>>