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熊野詣で(つづき) 8月17日 第三話
<熊野古道 徒歩旅の怪しい親子>

今にも雨が降りそうな空模様の中バスは滝尻に到着。
予想していた以上に何にも無いところで・・・ちょっとうれしくなった。

古道に突入する前に熊野古道館に入り展示の見学とあっくんのトイレを済ます。
滝尻王子の入り口にお店があり、そこでお茶を買う。

さあ、いよいよ突入である。
滝尻王子にお参りし、古道に入ろうとするとスタンプ台を発見。
早速あっくんがMAPにスタンプを押す。
すると、滝尻王子の隅にある管理事務所みたいなところからお爺さんが出てきて話しかけてきた。

爺:「ほら、これやる。」
  みるとスタンプ帳である。さっそくあっくんはスタンプを押す。
爺:「あんた、これからどこに行く?」
私:「これから古道を通って途中で泊まりながら本宮に行きます。」
爺:「今日はどこに泊まる?」
私:「近露まで行くつもりなんだけれど、この天気なのでわからない。適当なところで判断します。」
爺:「適当って・・・あんた、子供にそんなでっかい荷物背負わせていく人なんかはじめてだ。
  とても行けないだろうから次に山を出たとこで国道に出てバスにのりな。
  その次って言ったら3〜4時間かかるから夜になってしまう。
  次に泊まるところが決まっているのなら荷物を運んでおいてやるのにな・・・」
私:「わかりました。ご忠告有難うございます。」
爺:「ここは入ったらすぐに急だぞ・・・」・・・・と非常に我々親子を怪しんでいた。
(この時は、うるせえ爺だな〜ぐらいにしか思って居なかったが、今思えば親切なお爺さんであり、適切なアドバイスをして頂けてたことがわかる。いっそ、こ こで宿を紹介してもらって宿に荷物を届けてもらっておけばこの後の苦労は無かったと思われる・・・)

確かに、滝尻王子から山に入ると非常に急峻な上りが続くのである。
雨も降ってきて、ひどい湿気と暑さで体中の汗が噴出してくる。
兎に角、あっという間に体中が湿気の塊となりビタビタ状態である。
今回、新素材のTシャツを着ているのだが見ていると非常に面白い。
メッシュの間から汗が噴出してくるのである。まるで皮膚を見ている様である・・・なんて余裕は全く無いのである。
雨で足場も相当悪くなっており非常に歩きにくい。
滝尻王子(たきじりおうじ)から不寝王子(ねずおうじ)まで500m無いのだがいきなり30分以上かかってしまった。
「このペースだと本当に爺さんの言ったとおり次で国道に出なきゃ・・・・」
それにしても、あっくんも成長したものである。文句も言わず黙々と歩くのである。

途中昼飯を食べようと思うのだが荷物を降ろす場所が見つからない。
ずっとグショグショの地べたかずぶぬれの草地なのだ。
不寝王子を過ぎたあとは誰にも出会わないし抜かれもしない。
道標2までの最初の1kmの上りは兎に角つらい。(荷物が無ければ問題ないだろうが・・・)

途中、草ぼうぼうで道が無くなったり・・・それにしても最初の不寝王子までの上りは理解できるのだが、
道標2までの上りや、その後の針地蔵の急な上りは理解できない。
古道が山の稜線を伝うのはわかるが、あくまでも基本が稜線であって山のピーク近い急峻な稜線は普通は迂回するはずである。
「まるでこの道は登山道だね・・・」と言いながら「腹減った〜・・・」と歩くのである。

道標2を過ぎた後の歌声ポイントやヤッホーポイントなんぞを気にする余裕なんぞ全く無くひたすら腹が減っているのである。
その後はところどころ上りはあったが比較的楽な道が続いた。
道標4を過ぎて石畳のすべる下り坂を下りるとアスファルトの林道に出た。
私:「やっと荷物降ろせるね。」
あ:「腹減った。」
私:「めし作ってる余裕無いからソーセージでいいかな?」
あ:「腹減った。」
・・・ということで、5本200円で買ってきた魚肉ソーセージをあっくんと立ったまま食べ昼飯とする。
少しだけ生き返った二人は林道を横切って不自然に稜線を上る道をまた登るのであった。

道標5からNHKのテレビ塔道標6の上りも結構きつい。
しかしテレビ塔を過ぎると視界も開けなだらかな下りに入る。
このくらいの道だと結構ピッチも上がる。道標7を過ぎるとすぐに高原熊野神社である。
この高原熊野神社の建ち方を見ると今歩いてきた古道よりも林道に向って建てられている。
「やっぱり・・・不自然だな〜・・・」・・・としつこい不信感・・・
次回歩く時には、道標4・5の間の林道に出たら林道を歩いて高原熊野神社まで歩いてみよう・・・と思う。

高原熊野神社にお参りし、手・顔を洗いスッキリする。
そのまま、目の前の高原霧の里休憩所へ向う。

休憩所で冷たいものを買って、それからお腹に溜まるものを少し食べようかね・・・・なんて思いながら行ったのだが・・・
誰も売店の人が居ないのである。

休憩所の向かいの家から視線がバシバシ、笑い声がひしひしと来るのだが人は来てくれないのである。
自販機で飲み物を買いしばらく休憩を取る。

もう午後3:00である。とても次に行けないね・・・
ここで泊まるか・・・と言っても良くわからない。
外の公衆電話の前に栗栖川の”きけうや”という宿の電話番号が掲示されていた。
近いのか遠いのか良くわからんが電話をしてみる・・・・携帯がつながらない。
公衆電話に10円入れて電話するとおじさんの声。
私:「今日泊まれますか?大人と子供の2人ですが・・・」
き:「う・・・、何とかしますわ。来てください。」
私:「今、高原熊野神社のとこにいるんだけれど、どうやって行けばいい?近いですか?」
き:「駐車場の手前にね栗栖川近道って看板あるよね。そこ下ってきて。
   川渡ったらすぐ左。国道じゃなくて旧道を来て下さい。すぐだから。」

・・・
今日の熊野古道はわずか4km弱・・・まぁいいか・・・と、これまでにして、宿へ向う事にした。

栗栖川へ下る道は結構急な坂道で、
あ:「お父さん、明日この道を登ってさっきのところに戻るのいやだ。」
私:「おれも・・・」

約40分後無事に”きけうや”さんに入る。
2階の部屋に入り冷たいお茶をもらい一息つくと「お客さんお風呂準備できたよ・・・」
さっそくお風呂に入りさっぱりする。そして今日着ていた物を洗濯した後オリンピックを見ながら美味しい晩飯を食べる。
鮎の塩焼きが大変美味であった。ここは冨田川沿いの宿で川魚も美味いのだ。

明日は天気どうだろう???今日はよく雨が降ったな・・・・
あっくんが予想以上に疲れているので明日の出発はゆっくりにしよう・・・

テレビで福原愛ちゃんががんばっているのを見ながら深い眠りに落ちていくのであった・・・

下 図の数字の書いてある棒は道標なのである。


写真下:栗栖川の宿 ”旅館 きけうや”(ききょうや)  電話0739−64− 0005
私が泊まった時の料金は非常に良心的な価格であった。
場所は、中辺路町役場の裏側あたりになる。


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