原稿用紙5枚以内、締め切りは毎年9月30日です。大賞受賞者には副賞としてエンターテイメントノベル講座の特待生になれます。
今回は入選ですが、大賞受賞者が該当無しのため、入選者に特待性の権利が与えられました。
注*表彰状と講評集には第6回と記載されているが、順番で言うと第7回のはず。文中に第6回が二つあるのもややこしいので、とりあえず第7回として書きました。
ぼくはこの賞に第3回から毎年応募していて、今年で5回目の挑戦でした。過去の結果を並べると以下のようになります。
第3回 「彼女の声」 落選 (テーマ「時」)
第4回 「子宝」 予選突破 (テーマ「風」)
第5回 「音虫」 落選 (テーマ「音」)*未UP 応募後に修正してます。
第6回 「長波」 落選 (テーマ「波」)
予選突破が2回あるものの、受賞にはいたりませんでした。
第7回のテーマは「夢」です。
漠然としていて難しいのですが、夢オチは禁止と心に決めてネタ作りに励む。その結果、3作品が仕上がりました。
「途切れた風景」 入賞につき、著作権が創作サポートセンターにあります。
「大気圏突入」*未UP
「ほのかに暖かい」*未UP
簡単にネタを説明するとこんな感じ。
「途切れた風景」 ビデオカメラで他人の夢を撮れる少女と血のつながりの無い母親。
「大気圏突入」 すごい夢をアピールする夢コンテスト。
「ほのかに暖かい」 夢がゴミとして捨てられる町とゴミ夢を集める清掃員。
それぞれ一長一短で、「途切れた風景」は完成度が高いものの「夢を撮ることができる」というのがありがち。「大気圏突入」は一番ショートショートらしいが、大賞を狙うにはパンチ力不足。「ほのかに暖かい」は設定が優れているが、オチが締まらない。
本当は「ほのかに暖かい」で応募しようとおもったのだが、素直に物語として読むと「途切れた風景」が抜けている。ネット仲間からの推薦もあった。しかも、自分で読み返して、自分で感動してしまう(一種の作者バカです)。
「途切れた風景」で応募してよかったと、結果を見て思います。
みなさん、ありがとうございます。
■ 授賞式の様子
会場は大阪市福島区にある大阪NPOプラザだ。地下鉄九谷町戦天満橋から徒歩五分ぐらいだが、今は亡き祖父の家から比較的近い。初めて降りたのに、懐かしいにおいがする。
会場にはいると、すでに席はほぼ埋まっていた。漫画喫茶で時間調整している場合ではなかったらしい。事務局から座席を案内されるが、一番前に二つだけ反対側を向いた席がある。しかも背もたれに「受賞者席」と書いてある。
座るだけで緊張してしまい、受付で受け取った封筒をどこに置こうか、それだけで悩む。
もうひとりの入賞者のSさんは前の席にこっそりと座っていた。ぼくが来たのを見て、おもむろに席を移動する。
ひとりでこの席に座っているのはかなりのプレッシャーなので、少しほっとする。
選考を担当された堀晃先生と高井信先生が入場される。表彰状と賞金の授与があったのだが、緊張して「ありががとうございました」の十二文字がいえない。どもりまくりで受け取る。
それにひきかえ、Sさんの落ち着いていること。
続いて受賞者からコメントをお願いしますと促される。Sさんが先にコメントされたが、慣れているのか流暢に言葉がでてくる。ボランティアで舞台の演出や台本を手がけられているそうで、話し方がさすがと思わせる。その間にコメントを考えようとするが、なかなか思いつかない。
ああ、Sさんのコメントが終わってしまった。ワンテンポ遅れて、ぼくが立ち上がる。
(超要約)
「このたびはこのような賞をいただけまして、ありがとうございます。この賞には毎年応募していまして、今年で五回目になります。来年も大賞をめざして応募しますので、名前を見つけたら“また来たな”と思ってください」
緊張していたため、細かい部分は奇麗に脳みそから流れ落ちていきました。
続いて堀先生と高井先生の講評が始まる。最初は堀先生だった。
「読後感は十五枚の作品だ。きっとひとつの文章にいろいろな意味を込めているのだと思う。完成度も高い。けど、これはショートショートじゃなくて短編だよね」
まさにその通りです。ショートショートでは最後にドンデン返しが必要なのに、軟着陸してしまってます。
「徐々に母親のことを撮影しなくなったとする方が自然じゃないの」
なるほど、と思う。実はこのあたりの設定は深く考えていませんでした。親子の断絶を際立たせるには最初から撮影しない方がいいのかなと思っただけだった。よく考えると堀先生の指摘のとおり、辻褄があっていない。
さらに高井先生から指摘される。
「なぜビデオカメラをおでこにつけなくてはいけないの?」
一瞬、思考が止まる。ビデオカメラで念写できたらどうなんだろう、という発想からスタートしているので、念写のイメージをそのまま引き写しただけだった。
設定の甘さ、つまり設定を無駄に浪費していることを、指摘されたような気がした。プロの目はすごいと、実感させていただきました。
今日は授賞式と第九期の入学式も兼ねていた。
ひとおおり終わった後で、事務局さんから飲みにさそわれる。「汚くて狭い中華料理屋です」と言われたが、奇麗で美味しいお店だった。清潔だし、間口が狭くて奥行きが広いところが下町感をだしていて、個人的にツボにはまりました。しかも安い。
近場に住んでいたら、いきつけのお店になること間違いなしです。
帰りのバスの関係で一時間ほどしか参加できませんでしたが、楽しいひと時をすごさせていただきました。高井先生はとても気さくな方で、肩を組んだ写真まで撮らせていただきました。調子にのってすみません。
創作サポートセンターの生徒たちも、ほとんど話せませんでしたが多種多様な人々で、きっとこのメンバーで勉強できたら楽しいだろうなと思いました。
Sさんは大阪在住だし特待生として入学されるのかな。ぼくも奈良在住のころなら通っていたのになあ、とうらやましく思う。
本当に、この節はありがとうございました。
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