※ VIDEO 必要環境 ※ 目次
06/11/15
一般的なPCにおいてゲームを遊ぼうとする際に、最も重要となるのがビデオ(グラフィックス)カードの性能である。これが必要とされる性能を満たしていなければ、当然そのゲームは動作しない。しかしビデオカードの必要環境の解説には素人では分かり難い物が多い。ここでは初心者向けにその関連の用語解説を行う。なお基礎的なビデオ関連の用語に関してはビデオ基礎の方も併せて参照してもらいたい。自分のPCの性能等を調べる為のツールの紹介は必要動作環境の項を参照。
用 語 | 解 説 |
Direct X | Windowsの機能の一部としてゲーム関連の処理を司るのがDirectXである。必要環境欄には「DirectX 9.0に準拠したビデオカード必須」といった感じで記載されている事が多い。数字はDXのバージョンであり、数字が大きくなるほど新しく、そして高度な機能を擁している。 実際問題として自分の使っているPCのビデオカード(或いはオンボード上のビデオチップ)がそのDXのバージョンに対応しているのかを知るのは初心者には難しい。自分のPCにインストールされているDXのバージョンは簡単に調べられるが、それとビデオチップが対応しているのかは別問題である。通常のデスクトップ上の作業に於いては3D機能は使わないので、ゲームが要求するDXの3D機能(Direct 3Dと呼ばれる)が正常動作するのかの確認にはならないからだ。 要求されるDXのバージョン、例えばDX9に対応している為には、そのビデオチップが能力的にそこまでに達しており、またDX9対応用のドライバが用意されていないとならない。これは”世代”という言葉で区分けされる事が多く、DX8世代以前のビデオカードではDX9を必要とするゲームは動かない事になる。使っているビデオチップの種類についてはDirectX診断プログラム等で簡単に分かるので、取りあえず使っているビデオカードの種類かオンボード上のビデオチップの種類を伝えれば、対応しているかについてのアドバイスはもらえるだろう。 それと性能的には問題なくても、そのビデオカード用にDX9に対応したドライバがリリースされていない、または存在するのに自分のPCには入れていない場合でも動かない事になる。 |
OpenGL | OpenGLとはCG業界で使われている規格であり、これに対応している事を要求する必要条件。海外版ゲームに於いては"A
100% full OpenGL compliant 3-D video card is required", "full
OpenGL support"といった表記が一般的。対応していない際に出るエラー"Could not load OpenGL Subsystem"はあまりにも有名である。 WindowsにはMicrosoft自身が作って搭載しているDirectX(3D)が存在しているのでそれを使うのが一般的なのだが、3DFPSの世界に於いてはid softwareが製作したQuake Engine(1-3)をライセンスして使用しているゲームが相当多く、このエンジンはDirect 3DではなくOpenGLを3D描画に使用するので、ビデオカード側でも対応が必要となってくる。 専用ビデオカードにおいてはその辺の事情が考慮されているのでほとんど問題とならないのだが、オンボードのビデオチップだと未対応という物も出て来る。こういったオンボードではDXへの対応を優先させるので、ゲーム業界全体からしたら特殊とも言えるOpenGLへの対応が遅れがちになるからだ。 OpenGLにもバージョンが有るのだが、通常は「最新のOpenGLに対応している事」といった条件だけで、具体的にこれ以上が必要というバージョンは記載されていない事が多い。よって記載されていない場合には必要バージョンを調べるのは難しく、デモを動作させて動くかをチェックという方法に頼るしか無いというケースも多い。 自分のビデオカードの対応度を検査する為のソフトとしてはOpenGL Extensions Viewerが有名。1.1-1.5, 2.0等のバージョン別のチェックを行い、対応しているかどうかを表示してくれる。 |
VRAM | Video RAMの意味で、ビデオカードに搭載されているメモリ容量の意味。専用ビデオカードにおいてはその基板上に搭載されているのでそのままの意味になるが、オンボードタイプではメインメモリからその一部を拝借して使用するようになっている。 VRAM 128MB以上要と有るなら、それだけの容量がないとならない。オンボードの場合にはメインメモリから借りられるメモリの最大容量は決まっているので、その最大値と比較する事になる。もし足りない場合には残念ながら動作はしない。ビデオカード上に新しくビデオ用のメモリを増設する事は出来ないし、オンボードタイプならメインメモリを増設してもビデオチップが借りられる最大容量は増えないので。 オンボードの場合にはメインメモリとの共用となるので、「最低必要なメインメモリの容量」と「最低必要なVRAMの容量」の、2つの合計以上のメインメモリが搭載されていないとならない事になる。例えばメインメモリが512MB以上要で、VRAMが128MB以上要のゲームなら、メインメモリの合計が640MB以上ないとならない。もしこのケースでメインメモリが512MBだった場合には、別にビデオカードを使っているならVRAMはそちらに搭載されているので関係無いが、オンボードだとメモリ容量が足りないという事になってしまう。 ただし足りなかったら絶対に動かないかというとそうではなく、起動前にチェックが行われて「足りなかったら起動させない」という物はむしろ少数派であり、取りあえず起動はするというゲームもある。製作側の判断として「それ以下ではプレイ出来るようなスピードが出ない」、「ポリゴンに貼られるデータが足りずに白抜けしたりの表示異常が起きる」、「マップのサイズによって動いたり動かなかったりする」という点から必要値は決められるので、起動まではするという可能性は残っている事になる(表示異常や極端に遅い等の状態でも良いならプレイ可能かも知れないの意味)。 |
Vertex & Pixel Shaders | Pixel Shaderとだけ書かれていたり、Shader Modelと記載されるケースも見受けられる。2003年後半辺りから登場し始め、現在では一般的になってきた機能。近年Shaderと呼ばれるプログラムを使って3D表示を行うように変って来ており、それによって書かれたプログラムを実行するにはビデオカード側にもそれを処理する機能が必要となってくる。 通常動作に必要とされる最低のバージョンが記載されており、1.1, 2.0, 3.0, 4.0と進化している。何の表記も無ければ1.1の事を指していると考えて良いだろう。この機能はビデオカードによってどこまでに対応しているのかがハッキリしているので、使っているビデオカード(オンボードのビデオチップ)の種類さえ判明すればすぐに分かる。 ビデオカードでは1.1にすら未対応という物は現在では新製品としては販売されていない。2006年では2.0以上は当然になって来ている。4.0は新OSとなるVista以降のみが対応する。オンボードでもこの機能に対応している物は比較的多く、今では安価な物でも取りあえず対応はしているというのが増えている。 どのバージョンを使うかを選べるゲームも多い。通常は自分のビデオカードが対応している最高のバージョンで構わないのだが、上手く動作せずに表示が変になったり安定しない場合にはバージョンを落としてみるという手法が使える。 |
Hardware Shaders | このHardwareとはビデオカードの意味で使われており、ビデオカード側にてVertex & Pixel Shaders双方の処理が可能という条件。どういう意味かと言うと、Shader処理の内でPixel Shaderの方は原理的にビデオカード側でやるしかないのだが、Vertex
Shader処理はCPU側で行う事も可能となっている。しかしそのVertex Shader処理の方もビデオカード側で行わせる必要が有るという条件になる。既に3Dゲームでは当たり前になりつつある仕様で、これに対応していないと動かないという物は多くなって来ている。 専用ビデオカードにおいては別に厳しい条件ではなく、2004年以降に登場した物で対応していないビデオカードはまず無いという程度。よってこの条件はあまり意味が無く、動作の基準はShaderのバージョンにどこまで対応しているかに掛かってくるのが普通だ。 一方でオンボードにとっては相当厳しい条件であり(2006年現在)、実は近年のオンボード系ビデオチップであればShader機能に対応している物は多いのだが、こちらのVertex Shader処理についてはCPU側で行っている物が多数派であり、よってそういったビデオチップではこの条件が付いたゲームは動作しない。Shaderは2.0以上に対応しているのでバージョンはクリアしているが、ビデオカード処理では無いので1.1しか要求しないゲームですら動作しないというケースが多くなっている。 なおゲーム仕様で製作されているチップセットならオンボードでもこの機能を装備している物は有るし、次期WindowsとなるVistaではデスクトップが3D処理になるので、この機能を持ったオンボードが普通になってくるはずである。 実は動作環境欄の表記にはこの条件が書いてある事はあまりなく、対応しているビデオカードの名前を挙げて代用している事が多い。一般的にGefroce 3(Nvidia)及びRadeon 8500(ATI)以上と記載される事が多い(V1.1以上の場合)。 そしてオンボードは一切保証しないと記載されている物が大半を占めている。これはおそらく、対応しているレベルのオンボードを購入している人はその辺については分かっているだろうし、逆にこの辺が分からないレベルの人の場合には、そういった人が使っているクラスのPCではまず動かないだろう、という考えからの記載と思われる。 |
Hardware T&L | 3D表示を行う際のTransform & Lightningと呼ばれる処理をビデオカード(Hardware)側にて行う事が可能という条件である。この処理自体はCPU側でも行う事は出来るのだが、CPUは他の処理も行っているので複雑な処理を行うと遅くなるし、また高度なグラフィック処理はCPUだけでは無理というのもある。そこでビデオカード側にこの処理を任せてしまって、高度なグラフィックを処理してもPC全体のパフォーマンスは遅くならないようにするという機能である。 2000年辺りから対応ゲームが出始め、最初は機能を持っているなら高速で動くというものだったが、2002年頃からは動作には必須というゲームが増えて来ている。しかし既に描画方法がShaderによる処理に変わりつつあるので、既に過去の物となった機能でもある。 ビデオカードに於いては当たり前の機能となっており、既に2001年辺りでは大半の製品に搭載されており、2002年以降に発売された物で未対応というのはまず無いと思われる。現在ではこれを処理する為のユニットすら搭載されておらず、必要とされる場合にはShaderの処理ユニットがエミュレーションの形で処理を行っている物が多い。 一方でオンボード系では現在出ている物でも未対応という物が多くなっており、ちょっとこの辺には複雑な事情が存在している。元々このHardware T&Lというのは「PCの性能的に無理」という意味合いから設けられた条件である事が多く、つまり製作チームが市場の様々なPCでテストをしてみて「Hardware T&Lを搭載しておらずCPUに高負荷が掛かる構成では遅くなり過ぎて無理」という判断から条件設定されていた。 しかし時代が経つに連れてCPUは高速になるし、同時にビデオチップも高度・高速化している。そこでHardware T&Lには対応していないが、「実質CPUとビデオチップを組み合わせた処理能力によってそれを処理出来るだけのスピードは出せる」という構成でも問題ないとなり、そういった考えから搭載はしていないのだが、この機能を必要とするゲームでも動くというチップセットも有る。ただし昔のゲームならともかくとして、最高画質でプレイ出来るとかそういうレベルを目標にはしていないのに注意。あくまでも仕様としては未対応だが、対応を要求しているゲームでも動くというレベルである。 だが中には起動時にこの機能を持ってるかを厳密にチェックするゲームが存在しており、こういったゲームでは能力的には可能であっても、「無いから不可」と決め付けられて起動しないというケースもある(Painkiller, Joint Operations等)。 |
3Dアクセラレーション | "3D Hardware Accelerator required", "Direct3D graphics
accelerator required"といった表記が一般的。3D処理機能に対応したビデオカードが必要という意味。昔は3D機能自体を持っていないビデオカードやオンボードも存在しており、ゲームの方も3D機能無しでも動かせるというのが普通だった(当然画質やパフォーマンスは数段落ちる)。1999年頃から必須のゲームが増えだし、2000年以降の物だと大半は必須となっている。 すでに現在では未対応の物はオンボードを含めて発売されていない。それに伴いこの表記を行うゲームも少なくなっている。昔のPCで昔のゲームを遊んだりする際に関係する位だろう。 |
PCI / AGP | これはビデオカードを挿すスロット(バス)の規格の名前で、古くて転送速度が遅い順にISA, PCI, AGP, PCI-E(PCI Express)となっている。ビデオカードは以上のいずれかに対応して作られており、その規格が異なるスロットには挿せない。オンボードの場合にはスロットには挿さっていないが、転送に用いるバスの規格はやはり上記いずれかに該当していて変更も出来ない。 既に2006年現在ではPCI-Eが主流となっており、新製品のビデオカードのほとんどはこのバスに対応した物になっている。AGPやPCIのバス用のカードも存在はしているが、こういったスロットしか持っていない昔のPCをアップグレードする為に存在しているのみで、性能的にもそれなりの能力のカードしか発売されていない。 ゲームの中には一定以上のバスの転送速度が無いとパフォーマンスに問題が出るという理由から、これ以上の規格のバスを使っていないと不可としている物が存在する。例えばAGP以上のバス規格に対応したビデオカードが必要といった具合。 |