※ 必要動作環境 ※                目次

 06/11/15


 PCゲームには必要(最低)動作環境と呼ばれるものがあり、これはゲームのパッケージや公式サイトに記載されている。これはその名の通りに、当のゲームを動作させるのに最低必要なPCの性能はどれだけなのかを記載した物である。家庭用ゲーム機の大きな利点の一つは、何の知識が無くてもとにかくドライブにゲームのDVDを入れれば必ず動作するという点である。これはそのゲーム機(例えばPS2なら全ての存在するPS2)が元々全て同じ性能を持っているから、つまり何年経とうが内部の改造(性能アップ)が行われずにそのままだからである。

 しかしPCの世界は短いサイクルで常にグレードアップが行われており、様々な性能のPCが世の中には存在している事になる。ゲーム会社の方も全てのPCで動くように製作するという考えではなく、クオリティを高く保つ為には或る程度の足切りは止むを得ないという姿勢を取っている。そこで「このゲームを動かすには少なくともこれだけの性能のPCでないとなりません」というガイドラインを記載する事になり、これが必要動作環境となる。



*主なスペック(性能・仕様)の確認方法

※DirectX 診断ツール
 スタート>ファイル名を指定して実行>dxdiagと入れて実行させれば起動する。[システムタブ]にて、DirectXのバージョン・CPUの種類・メモリ容量。[ディスプレイタブ]にてビデオカードの名前・VRAM容量(メモリ合計)・ドライバのバージョン。[サウンドタブ]にてサウンドカードの名前・ドライバのバージョンといった情報が分かる。

※メーカーのサイト
 メーカー製PCならその公式サイトに有る仕様一覧を見れば確認可能である。機種型番で検索してやれば良いだろう。ただし正確に型番が分かっていないと、一文字違いで仕様が違ってしまう事もあるので注意。もしも何処に書いてあるのか分からないので掲示板で聞く場合にも、正確な型番を記載するのは最低限必要である。

※自動診断
 分からないという方にはSystem Requirement Labというサイトが存在し、このページにアクセスしてゲームを選択すると小さなプログラムがダウンロードされた後(YESでインストールされる)、PCのスペックの検査と動作可能かの比較検査が行われて、必要環境を満たしていない項目が有れば赤字でそれを示してくれる。ただしこの検査は現状では登録された一部の会社(Activision等)から公式に認められているだけなので、動くのかどうかの判断において絶対的な信頼性を持つ物ではない。しかし初心者が自分のPCのスペックを調べるのには便利なサイトだろう。

 同様のサイトとしてMicrosoftが提供するWindows Game Advisorという物もある。こちらはMy Game Advisorタブから診断が始まり、読み取ったPCの性能を表示してくれる。診断終了後はゲームを選択すると最低動作環境を満たしているかどうかを表示してくれる。こちらもその結果にどの程度の信頼性が有るのかは不明。


*項目別解説

項 目 解     説
CPU  基本的にはCPUのタイプと動作周波数で示される。IntelのPentium基準で示される事が多い。周波数が高いほど高速なのでそれ以下では問題ありという意味。ただノートPC用のCPUや他社のCPUも存在するので、そういう場合には基準を満たしているのかの比較が困難になるケースもある。

 Intelが開発したSSE(Streaming SIMD Extensions)、またはマルチメディア拡張命令セットと呼ばれる機能が有り、稀にこの機能を要求するゲームも存在している。SSEは2006年現在SSE3まで拡張され、その後はSSSE3という名前になっている。AMDではこれに対抗して3DNow! Professionalと呼ばれる機能を搭載したCPUを出している。

 CPUのスペックはコントロールパネル>システムの全般タブにて表示される。
メインメモリ  指定された値よりも多いかどうかなので分かり易い。しかしビデオ機能がオンボード(チップセットに含まれる)の場合には、VRAM(ビデオ用のメモリ)がメインメモリと兼用になるので、VRAMとして使用される分メインメモリは減るという点に注意。ノートPCやメーカー製のPCの場合にはこのタイプが多い。
 例えば最低でも512MBのメモリが必要とされているゲームで、メインメモリが512MBとギリギリのPCの場合、ここからVRAM用にメモリが取られてしまうので実際のメモリは512MBよりも少なくなってしまう。

 メモリのスペックはコントロールパネル>システムの全般タブにて表示される。
HDD  インストールするドライブにこれだけの空き容量が有るかの意味で、これは簡単に確認出来る。ただしこれには動作時に作業領域として使う分も含まれており、インストールした後に空き容量がほとんど無くなるという状態だと問題が起きる可能性もある。
ビデオカード  専用頁を参照
サウンドカード  DirectXのバージョン何々以降に対応したサウンドカードといった形で記載される事が多い。要はサウンドカードのドライバがどこまで対応した物かというのがポイントになる。よって最新のドライバがもう供給されていない場合には問題になる。
 ただサウンドについては、とにかく音さえ出ればというレベルで良いなら、相当昔の性能が低いカードでも設定次第で何とかなる事が多く、ビデオ機能に比べると動作の致命的な原因となる事は少ない。

 動作のチェックはDirectX診断を起動して、サウンド&ミュージックのタブにて問題が無いと表示されているか、また中に有るテストで正常にサウンドが再生されるかで確認出来る。
 
CD/DVD  昔はCD-ROMの読み込み速度は重要だった要素だが、現在ではほとんど問題にされていない。HDの容量が少なかった時代には、インストールしてもCDからデータを読み込むようになっていたりしたが、現在ではフルインストールしか選択出来ないゲームがほとんどである。また「16倍速以上」が必要となっていても、それ以下の速度のドライブは相当昔の物でないと存在しないというのもある。昔のPCでゲームをフルインストールしていない場合にのみ気にすれば良い項目。
OS  XP, 2000等動作が保障されているOSの記載。使っているのが昔の95, 98, ME等で記載が無ければ動作しない可能性が高い。逆に昔のゲームだと最新のOSでは動かないというケースもある。
DirectX  必要とされるバージョンで、現在のバージョンはDirectX診断で確認出来る。ただ絶対に前のバージョンでは動かないかというとそうではない物もあったりする。しかしゲームによってはチェックを掛けて必ずこのバージョン以上かを確認してからでないと動かない物もあるので、そういう場合にはバージョンをアップするしかない。これは基本的にゲームのCDに同梱されているし、MSのサイトに接続してアップデートも可能(無料提供)。

 なお診断上の表示が必要環境と一致していても、実は古いバージョンというケースも有るので注意。DirectX 9.0cではこれで問題が起きており、DirectX 9.0cがインストールされているという表示であっても、MSのサイトに行って再インストしないとならないケースもある。

*ノートPCでの注意
 ノートPCの場合には全てのPCが動作保証外になっているケースが多い。特に近年問題なのがゲームのプロテクト関連である。非常に複雑なプロテクトを掛けてCD/DVDの複製コピーを作れないようにしている訳だが、その弊害として本当にオリジナルのディスクを入れているのに複製であると跳ねられてしまうケースが出てくる。当然市場に出回っている様々なドライブで動作テストは行うが、ノートPCではそれぞれのメーカーが独自の薄型ドライブを採用している事が多く、それ故にテストの対象とならないことが多い。よってプロテクトに対応出来ずに、CDがオリジナルでは無いと判断されてゲームが動かなくなる。全てのメーカー製ノートPCを集めて来てテストを行うのというのは手間とコスト面から現実的ではないので、最初から全て動作保障無しとしてしまうという訳だ。

 同様に内部基盤の構成もオリジナルに製作した物となるのが普通なので、汎用品として販売されている自作用のパーツの組み合わせに比較して予期せぬ問題が起き易い。これもまた保証外とされる原因である。こういった点から大抵の場合、「必要環境は満たしているように思えるが動かない」といった質問に対して、原因を探るというアドバイス関連は与えにくい点を了解してもらいたい。


*ゲームが動けば必要環境は満たしていると言えるのか?
 「自分のPCが必要環境を満たしているのか分からないが一応ゲームは起動する。しかし遅い・描画が変といった問題がある。これは何か設定がおかしいだけなのではないか?」という疑問について。

 メーカー側の提示する必要動作環境には2つの意味がある。一つは「これ以下では決して動かない」の意味で、主にビデオカードが必要とされる機能を持っているかどうかに掛かってくる。起動時のチェックでエラーとなってプレイ自体が出来ないというタイプ。もう一つは「確かに起動はするが正常に動かない」という意味で使われるケース。

※これ以下では処理速度が足りないので、自分達(製作会社)の考える”動作する”というレベルの速さに達しない
 動きはするが遅過ぎてコマ送り状態では、それを「ちゃんと動く」と言って売っては詐欺になってしまう。よって全ての設定を最低にした最も軽い状態にて、そこで一定以上の速さ(これは作り手側の判断になる)を出せるPCの性能を必要環境として記載しているの意味。
※正常な描画を保障出来ない
 とりあえず動くが、ビデオカードが必要とされる機能を持っていないので描画が一部変になってしまう場合(白抜け・灰色等)。これを正常に動くと記載する訳には行かないので、必要環境から外されている。
※マップの広さや構成によって、動かない物が含まれてしまう(Loadingで落ちる等)
 ゲームが動くと保証する以上は、最初から最後までプレイ出来ないとならないのは当然の事。なので最も動作に負荷が掛かる(重い)マップやシーンにおいてちゃんと動作する必要がある。例えば最初から5個目のマップまでは必要動作環境よりも低いPCでも一応動くが、6個目のマップは本当にそれが必要となるといったケースも有り得る。「それまではプレイ出来ていたのだから自分のPCは必要動作環境を満たしているはずで、この6個目のマップもプレイ出来ない筈が無い」というのは誤りとなる訳だ。

 いずれのケースも本当に自分のPCが必要動作環境を満たしているのかのチェックが第一となる。取りあえずは動くのだから必要動作環境には問題は無い筈というのは誤りである。



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