※ VIDEO 基礎 ※             目次

 06/11/15


 現在のPCゲームにおいて最も障害の原因となり易いのがこのビデオカードの箇所である。ここでは知っておくべき基礎事項を中心に解説する。


1.ビデオカードとオンボード(ビデオチップ)の違い
2.ドライバの更新に関して
3.初心者向けアドバイス


※ビデオカードとオンボード(ビデオチップ)の違い

 PCの最も基本的な部品としてマザーボード(M/B)と呼ばれる物が存在する。この基板上にはPCを構成する上で必要となる基本的な処理機能を持ったチップが多数搭載されており(ハードディスクやUSBのコントローラー等)、またCPU、メインメモリ、各種拡張カード等を挿して使うようになっている。
 ゲーム用に組むPCの場合には、このマザー上の専用スロットにビデオカードを装着して使用する。単体で販売しているビデオカードの基板上には、処理用のビデオチップやビデオ用高速メモリ(VRAM)が搭載されており、基本的には差し込むスロットの形状(規格)が合うならば、自由に付けるビデオカードは選ぶ事が可能である。専用のサウンドカードについても同様。

 しかし単体のビデオカードを装着するとなると、一般的に高価・大きいので挿すとスペース(高さ)を取る・出力の大きな電源が必要・高温になるので冷却の為のファンが必要となり騒音が増す、といったデメリットもある。典型的な例としてメーカーがセット販売している普及価格帯のPCにおいては、高価になる上に省スペース化出来ないと不利な要素となってしまう。またノートPCにおいては物理的に大きなビデオカードを挿す事は不可能である。

 そこでマザーボード上にビデオチップやサウンドチップを一緒に搭載してしまうという方法が出て来る。つまり専用にビデオカード(サウンドカード)をスロットに挿さなくても、そのままでビデオ(サウンド)機能が使えるマザーボードである。これを統合型チップセットと呼び、ビデオ機能はマザーボード上に最初から搭載されているという意味からオンボードという言い方もされる。ここでチップセットとはマザーボードの”規格”と考えてもらえれば良く、そのマザーの使用しているチップセットの名前を見れば、それがどこのメーカーが製造したマザーであっても、どの様なCPUやメモリを搭載する事が出来るタイプなのか、どんなビデオチップを搭載しているのか等が分かるようになっている。

 統合型チップセットの利点は安くて省スペースという事になるのだが、その代償として専用のビデオカードを使った時に比較して処理能力は大幅に低下する。中には高い処理能力を持ったビデオチップを搭載した物も存在するが、一般的には最新の3Dゲームをプレイするには力不足の物が多い。メーカー側も普及価格帯レベルのPCの場合、それがゲームをプレイする為に使われるのかどうかが分からない以上はそこにお金を掛ける訳にも行かず、どうしても程度の高くない物を価格重視で選択しがちである。その為に最近買ったばかりのPCなのに、それより前に発売されたゲームさえ動かす事が出来ないといった事態も発生する。

 なお一応現在の大半の統合型チップセットでは、拡張スロットに専用のビデオカードを挿す事で、最初からマザーボード上に搭載されているビデオチップの機能を停止させて、代わりにビデオカードの方で処理を行えるようになっている。ただしさまざまな制限が有るので、搭載可能なビデオカードへの制限は厳しい。


*ビデオカードのドライバを最新の物にアップデートする
*DirectXのバージョンを最新にする
 メーカーのサポートの最初に大概書かれている対策である。ビデオカードのドライバとは、ビデオカードをコントロールするプログラムの事で、これは当然最新の物にしておくのがセオリー。ただし実際にはこれが万能ではないのが頭の痛い所。


◎新しい物は動作検証が不十分
 ゲームの開発期間は長い。その間最新のドライバ、またはビデオカードのメーカーから提供される次のβ版ドライバにて動作確認を行う訳だが、いざ発売された時に丁度新ドライバが出たりすると、その最新の物よりも一つ前の方が安定性が高いといった事が起きてしまう可能性もある。

◎新機能と互換性の問題
 以前のゲームは当時のバージョンのドライバにて動作検証が行われているので、最新のドライバでは反って問題が起きるというケースが有る。特に古い物ほどこれは顕著。

◎昔のゲーム
 或る程度昔の物になってしまうと、動作自体がおかしくなる(起動しない等)といった深刻な事態が起きてしまう事も。つまりあるバージョンよりも前のドライバで無いと正常動作しないというケース。残念ながら新しい機能を入れながらありとあらゆるゲームとの互換性を保つというのは不可能に近いので、こういったゲームが出てしまうのは止む負えない面がある。

◎DirectX(Direct 3D)との絡み
 通常はDirectXとドライバは双方が最新の組み合わせが理想となる。DirectXだけが新しいとそれに古いドライバが対応出来ない可能性が有るし、ドライバだけが新しくても同様。しかしゲームによっては、DirectXのバージョンが或る物よりも新しくなると動作に問題が出る場合が有るし、ビデオカード側のドライバが新しくなり過ぎた場合も同様である。


 以上の点から、万能の組み合わせというのはなくて、古い物から最新のゲームまでを全て完璧にカバーするドライバは存在しない。複数のドライバをインストールしておいてそれを切り替えるというのも不可能なので、どうしても何かを諦めないとならない事になる。


 安定性重視ならば
*ドライバの最新版が出てもすぐには飛びつかず、現在の環境にて問題が無いならばしばらくはそのままにしておく
*結構昔の性能が低いビデオカードを使用しているならば、無理してドライバやDirectXのバージョンを上げない。
*新しいドライバにしたら不具合が多くなった場合には、安定していた元のバージョンに戻す。ただしDirectXは元に戻せないので注意。

 最新機能(ゲーム)へのアクセスを考えるならば
※パフォーマンスのアップ等の性能向上が見込めるので、新規のドライバを入れて試す
※ビデオ機能の性能が低かろうが、動くかどうかを試すには新しいドライバを入れてみるしかない
※起動時のチェックでDirectXのバージョンが古いとなった場合には、プレイの為には最新版を入れるしかない


 この様に安定性・安全性と最新機能の使用は相反する立場になってしまっているのは事実。


 初心者向けにアドバイス

メーカー製のPCでは専用のドライバを用意しているケースが多いので、基本的にはメーカーのサイトから型番等で検索して自分のPCのビデオチップ用ドライバを入れる。更新のやり方は必ず解説があるはずである。なおオンボードの場合にはシステムの更新といった名前で、他のオンボード機能のグレードアップと一緒にドライバが提供されているケースもあるので注意。

*メーカー製PCでも単体のビデオカードが入っている場合には、ビデオカードの製造元がリリースしている公式ドライバを入れても通常は問題無い。ただし保証は無いので自己責任で。

*メーカー製のPCには、XPのインストールCDは付属せずに、購入した時の状態に復元する為のリカバリCDといった物が代わりに付いてくる事が多い。しかし実際にPCを販売する際には、その時点での最新ドライバをその上から更新してから出荷するケースも考えられるので、リカバリCDから再インストした際に完全に買った時の状態に戻るという保証は無い(ドライバが更新される度に新しいリカバリCDをプレスし直して入れ替えるというのはコストが掛かるから)。
 よって再インスト後にはドライバの更新が無いかを確認すべき。或いは更新前にドライバのバージョンをチェックしておいて、リカバリ後に同じ物になっているかを確認するのも良いだろう。

*DirectXはバージョンを上げてしまうと元に戻せない。安全を考えるならば、システムの復元機能(XP)を使って現在の状態を保存してから行う方が良いだろう。これならばおかしくなった場合に元の状態に戻せる。

*どうしても動かしたいゲームが有るならば、まずはデモが有るならばそれで確認。それが動かない場合で、どうしても動くかどうかを知りたいならば、自分のPCのスペックを書いて質問するという手もある。

*PCゲーム(3DFPS)の世界では2年前のビデオカードはもう古い。動かないゲームが有っても仕方の無いレベルと考えるべき。

*メーカー製のPCでは、最新機種であっても搭載しているビデオ機能はコストダウンの為に犠牲にされている事が多い。つまり「最新機種でも買った時点で既にビデオ機能は古い」と考えておく。こういったメーカー製PCやノートPCならば、ハイエンドクラスの物でないと性能が高い物は搭載していないので、3DFPSをプレイする事が大きな比率を占めているならば、自作かカスタマイズされたPC(BTO:注文通りに組み上げてくれるタイプ)を選んでおくのを強くお勧めする。



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