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コピープロテクトの方式
 GFWLでは幾つかのコピープロテクトを用意しており、どれを使用するのかは販売側の選択に任せている。


 デフォルトの物は一般的にマルチプレイ用のCDキーと呼ばれる方式で、Liveにアクセスしてマルチプレイを遊ぶ時にのみ使用される。つまりローカルプロフィールで遊んでいる限りはその5x5文字のLiveアクセスキーの入力は要求されない。なおこれはゲーム内でのGFWLのオーバーレイ画面における登録の意味であり、そのゲームがそのキーを使った別のプロテクトを使用している際にはインストール時に要求されるケースも在る。2009/08にV3.0がリリースされて新方式のコピープロテクトが導入される以前に発売されたゲームは皆これを使用している。

 マルチプレイ用のCDキーとはFPSゲーマーには昔から有名な物で、別のPCにゲームをインストールしてマルチプレイを行う事自体に制限は無い。ただしサーバー側がそのCDキーが現在使用されているのかどうかをチェックする機能を持つので、同じCDキーで複数の人間が同時にマルチプレイに参加する事は出来ないというシステムである。(要は家族や仲間内で一本だけゲームを購入し、それを皆のPCにインストールしてマルチプレイを一緒に遊ぶという行為を防ぐ為のプロテクト)。

 なお一般的なゲームのCDキー方式とは異なる点として、現在のGFWLではアクティベーションのリミットが15回に設定されている。(これは販売側で10〜20までの間に調整可能)。以前は無制限だったのだが、海賊版対策として2010年辺りから変更されたらしい。もしリミットに達した際には、MSのサポートに事情を話して認められれば回数はリセットされる。

 このキーはLive IDとは結び付けられないので、他人への譲渡や転売も可能になっている。だがLiveにその様なシステムがあるのかは知らないが、不正行為などでbanされたCDキー(二度と認証に使えない)付きゲームが売られるケースもあるので、この方式を採用しているLive対応ゲームの中古版でマルチプレイが可能なのかは何とも言えない。


 V3.0から加わったのがZero Day Piracy Protection (ZDPP)とServer Side Authentication (SSA)。トップページの歴史欄に概要は書いてある。これも販売側が採用するのかは自由なのだが、もし採用しているとしてもそれが公式にアナウンスされない事が多いというのがちょっと困った点。どれを使用しているのかを事前に確認したいのならば、公式掲示板等で情報を集めて確認しないとならない。

 ZDPPは発売日チェックを行うので、もし早売りしていた店で正規品のゲームを入手していても、解禁日まではこのチェックを通らないのでプレイは不可能となる。これを採用しているゲームでは、オフラインでのプレイのみ(ローカルプロフィールしか使わない)という人でも、必ず一度はプレイ前にインターネットに接続して認証を行わなければならない。それが通れば二度と聞かれなくなる。もしこれを採用しているならば、必ずゲームのパッケージのどこかに「Internet connection required for game activation(アクティベーションの為にインターネット接続必須)」の記載が在る。


 SSAはLive IDとプロダクトキーを結び付けて登録する方式で、以後は他のLive IDにはそのキーを登録出来なくなるという、主に転売を防ぐ為のプロテクトである。なお認証後はDVDメディアを挿入しないでもプレイが可能とあるのだが、これは必ず守らないとならない仕様なのかがハッキリしない。それとこちらの方式だけを採用しているケースでは、「Internet connection required for game activation(アクティベーションの為にインターネット接続必須)」の記載が在るとは限らないので注意。


 その他にはPer-Title 5x5という方式もあるらしいが、採用タイトルが在るのか、そもそも販売側に対して既に提供されているのか不明。これはLive IDにではなくゲームタイトルにキーを結び付けるという物だそうだが、効果や利点が良く解らない。



 GFWLでは販売側が自社で用意したコピープロテクト(DRM)をどう組み合わせるのも自由という立場であり、例えばプレイ時にオリジナルのDVDをドライブにセットしておく事を要求し、それがコピー品では無いオリジナルディスクかを検証するSecuROM等の使用は良く見受けられる。ダウンロード販売の場合だと、やはりSecuROM等によるアクティベーション回数の制限が掛けられている物が存在する。または販売側が独自のシステムを導入している可能性もあるので、その辺を気にするならばゲームの情報をよく調べる必要がある。


 時折見掛ける勘違いとして、GFWL=コピープロテクトの一方式だと考えている人がいる。特にSteamの掲示板で良く見るのが、「Steam自体が既にプロテクトなのだから、そこでGFWLが必須のゲームを売るのはおかしい。二重DRMになるので、Steamで売る時点で代理店はGFWLを外すべきである」といった内容。しかし実際にはGFWLは制作側がゲームの動作に使用しているライブラリなので外しようがない。そのゲームがZDPPやSSAを採用している時にそれだけを外すというのは可能だがと思うが、GFWLのコアの部分は動作に必要である。5x5のキーを入力するのをDRMの認証だと間違えているとも考えられるが、通常のこれは上に書いたように単なるマルチプレイ用のCDキーであって、他の多くのマルチプレイの前にはCDキーを入力しないとならないGFWL非採用のゲームとなんら変わりは無い。

 この辺の誤解の原因にはSteamとGFWLの経年変化による相似性が挙げられる。本来Steamはオンラインでのダウンロード販売&管理を実現するDRM機能を持ったプログラムであり、GFWLはPCでのオンライン用コンポーネントの制作を容易にする為の製作会社向けツールでしかなく、両者は全くの別物であった。しかしGFWLはその後マーケットプレイス機能によるDLC等の販売から、Games on Demandでのゲームのダウンロード販売機能を加え、V3.0ではコピープロテクト機能も加わった。Steamの進化はその逆で、このコピープロテクト機能を最初から持っており、そこにDLCの販売機能を追加し、今ではSteamworksと呼ばれるオンラインのマッチメイキングや実績機能を搭載したGFWLに似たゲーム開発者向けツールを提供している。結果的に両者の持つ機能やコンテンツは現時点ではかなり似通って来ているというのは確かで、それがGFWL=コピープロテクトという誤解を生んでいるのだろう。

採用ゲーム一覧
 SSAやZDPPを採用しているゲームの公式リストという物は現時点では存在しない。なので判る範囲でリストを掲載する。なおこれは海外版の情報なので、日本の会社が国内で出している日本語版や、国内で発売されている海外製品の国内代理店版では異なる可能性がある。


 2011/05にGames on Demandの担当者からアナウンスされたSSA採用ゲームリスト。よって信頼度は高いと言える。

Blacklight: Tango Down
Bulletstorm
CarneyVale: Showtime

Dark Void (リテール版はGFWL未対応。GoDでのダウンロード販売版のみがGFWLを採用している)
Dirt 2
Dirt 3
F1 2010
Fable 3
Game Room
Mahjong Wisdom
Section 8
Section 8: Prejudice
Tinker
Tron Evolution
Where's Waldo




 それ以外にSSAを採用しているという情報があるゲーム。

Batman: Arkham Asylum (GOTY Edition のみ)
Dead Rising 2
Lost Planet 2
Operation Flashpoint: Red River
Super Street Fighter IV Arcade Edition
Virtua Tennis 4

採用プロテクトの判別
 GFWL対応のゲームがどんなプロテクトを採用しているのかは購入前の段階では判断し難い面があって、以下にその理由を列挙してみる。


 まずはSSAというプロテクトの仕様の話から。私は最初「Live ID(プロフィール)とLiveアクセスキーを結び付けて、最初に登録されたLive ID以外にはキーが登録不可能になる」という仕様から、「プレイする為にはLive IDが必須」であり、またSteamのプロダクトキー登録と同様に「必ず一度はオンラインに接続して、Live IDとアクセスキーを結び付けて登録する必要がある」と考えていた。

 ところがGFWLのサイトでは、「Q: ゲームをプレイするには必ずLiveのアカウントを持っていないとならないのか?」に対して、「A: 必要は無い。Liveのアカウントが必要になるのはそのコンテンツにアクセスする時だけであり、シングルプレイはオフライン用のプロフィールを作ればちゃんとプレイ可能である」と書いてある。これはしばらくの間謎だったのだが、今回いろいろと調べてみてようやくその仕組みが解ってきた。


 ここからややこしくなるのだが、デフォルトでのSSAの仕組みは「プレイヤーがGFWLのコンテンツにアクセスする為に、Liveアクセスキーを入力してLive IDに結び付けた時に初めてそれが登録されて、以後は他のLive IDには登録が出来なくなる」であって、ゲームを開始する前に必ずLiveアクセスキーの登録を行わないとならないというプロテクトでは無い

 例えばオフライン派のAとオンライン派のBが居たとして、SSAを使用しているゲームをAが購入。ここでAはキーを登録せずに、オフラインプロフィールでシングルプレイのみ(実績も不可)ならば遊ぶ事が可能である。その後このゲームをBに譲り渡した場合、マルチプレイも遊ぶBがそこで初めてLiveアクセスキーを登録すれば認証されて、2人目のプレイヤーにもかかわらずGFWLのコンテンツへのアクセスが可能になる。同様にして先にBが購入して自分のLive IDにキーを登録済みのゲームであっても、それを譲り渡されたAはオフラインプロフィールでシングルプレイのみ(実績も不可)ならば遊ぶ事が出来る。

 常に以上の様なシステムであるなら一度理解してしまえばそれまでなのだが、実は話が混乱してくるのはこれからである。MSではSSAによるプロテクトの範囲を販売側が設定出来るとしており、デフォルトの上記方式を拡張してゲーム全体にSSAのプロテクトを掛ける事も可能にしている。言ってみれば、アクセスキーを登録しない限りは、オフラインプロフィールでのプレイを含めた全てのコンテンツにアクセス不能になるというSSAによるプロテクトも存在する。今のところ(2011/08)このタイプのSSAプロテクトの採用が確認されているのはBulletstromのみの様だ。つまりBulletstormではLive IDを作成してインターネットに接続しアクセスキーを登録する事が必須となり、オフラインプロフィールでのプレイは不可能である。

 注意点として、MSでは「販売店は多彩にSSAのプロテクト範囲を構成出来る」としているので、もしかしたら上記の例で言えば「Bが先にアクセスキーを登録したゲームは、Aに譲ってもローカルアカウントを含めて一切プレイが出来ない」という方式が出て来るかも知れない。この事から「決してオフラインプロフィールでしかプレイしない」, 「クリア後には転売予定」という人は、今後のGFWL採用ゲームに関してはSSA対応という事だけではなく、それがどの範囲までをプロテクトするのかまで調べないとならなくなる。


 第二にパッケージの記載事項等からの判断が困難である。ZDPP採用ならば必ずインターネット接続が必要であり、それはパッケージに記載される。一方でMSではSSA採用ならばインターネット接続が必要であると記しているが、上記の解説の様にGFWLにアクセスするのならば必須であって、ゲームを開始するのに必要という訳ではない。結果としてSSAのみを採用しているゲームでは、「インターネット接続が必須」と記載するのかはまちまちの様だ。(Bulletstormの方式ならば必須と書かれる)。

 すると「インターネット接続が必須」と記載されているゲームでは、「1.ZDPPのみ使用」, 「2.SSAのみ使用」, 「3.両者を併用」, 「4.両方使用していないが、会社独自のDRMを使用しているので接続が必要」のどれなのかの判断が付けられない。一方の「インターネット接続が必須」と記載されていないゲームでは、 「2.SSAのみ使用」か何も使われていないのどちらかとなる。

 その他だとSSAの解説には「登録した時点でDVDの認証は不要となり、ゲームがインストールされたどのPCからでも認証済みのアカウントを使ってプレイが可能」とあるのだが、これが必ず守らないとならないSSA仕様なのかがハッキリしない。仮に仕様だとしても、販売側が別のオリジナルディスク認証のプロテクトを組み込み事も可能だと思われる。なのでこれも判断基準としては確実ではない。


 第三にGFWLのインターフェイスの不備。実例としてBioshock 2を採り上げる。このゲームでは早くからどんなプロテクトを使うのかが公表されており、GFWLの部分についてはZDPPのみでSSAを使わず、旧来のCDキー方式だとアナウンスされていた。しかしキー登録の画面にアクセスすると、「このプロダクトキーの登録後は、他のプロフィールでは使用出来なくなる」というメッセージが出て来る事から、実際にはSSAを使っているのではないかとして掲示板での論議が始まった。

 2K Games側のサポートも出て来て「そんなはずはない」となったのだが、結果としてサポートや他のユーザーが別のLive IDへの登録テストを行ったところ、問題無く複数のLive IDにて使用可能なのを確認。つまりSSAは使われていなかった。サポート側の返答としては、「GFWLプログラム側のSSA対応なのかの判断が間違っていて、誤ったメッセージが表示されているのではないか」という話だった。

 しかしパッケージには「Limit one account per key」との記載が在り、そちらも間違っている事になる。よってGFWLがミスをしてSSAと判断したとは限らず、Bioshock 2側のゲーム内での登録情報が誤っていたので、そこからSSAだと判断してしまったとも考えられる。いずれにしろSSAなのかを判断するプロセスがちゃんとしていればこんな事は起きない訳で、この件により必ずしも画面に表示される内容やパッケージの記載は信じられないという困った状況を生んでしまっている。



 続いてはアクセスキー入力の箇所も良く解らない点の一つである。インストールの課程でキー入力を要求されるゲームも在るのだが、GFWLへの登録についてはゲーム起動後のオーバーレイ画面で行われるので、ここでGFWLのキーを入れる事の意味がハッキリしない。実際にゲームが起動してGFWLのオーバーレイ画面が表示されてからキーの登録が行われるが常であり、既に起動した時点で先ほど入れたキーのGFWLへの登録が終わっているという事は起こらない。(稀に初回起動前に入力したキーが既にボックス内に書き込まれているというケースはある)。考えられるとすれば、このキーを利用した独自の認証をインストール時に行っているという可能性だろうか。


 なおSSAを採用しているのかを調べる場合には、もう購入したゲームで手元に有って、既にLive IDにキーを登録済みであれば、他のLive IDを作成してそこに同じキーを登録出来るかを試すのが一番確実だと考えられる。

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