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実績の悪影響
 セーブデータの扱いに関する注意点の前に、この問題を引き起こしている原因となっている実績(ゲーマースコア)について先に触れておこう。

 元々はXbox Liveでスタートした機能であり、“実績”とよばれる一種のチャレンジ要素が設けられており、設定された条件をクリアする事でその実績が解除されてポイントが獲得出来る。ゲーム毎に最大で50項目1000Pを制作側が設定可能。そのスコアは自身のゲーマータグに記録されて、全ゲームにおける合計点数や、個別のゲームの達成状況を他人に公開する事も出来る。ランキング機能もあり。

 これが単なるゲームの付加要素であったなら良かったのだが、実績解除とゲーマースコアの獲得は予想以上の盛り上がりを見せて、それを大きな目標とするゲーマーが増加する結果となったのである。メーカー側に取っても実績目当てでゲームを購入するプレイヤーが居るというのは売り上げ面でプラスに働くし、プレイ時間が短いゲームのリプレイ性を高めるという観点からも歓迎すべき要素である。

 現在ではゲーム自体の攻略ではなくて、どうやって実績をクリアすれば良いのかという点に絞った攻略情報サイトが幾つも存在しているし、その為の攻略ガイド動画も大量に出て来ている。その過熱振りにゲームの本道を外れた行為も目立ち、例えばマルチプレイ用の実績については“談合”という形で集まったプレイヤー同志で打ち合わせて、勝負をせずに実績のクリアに向けて敵味方皆で協力し合うといった事もある。或いは実績のポイントその物はどのゲームでも最大1000Pで一緒なので、内容は詰まらないのだが実績の獲得が簡単という理由で低評価のゲームが売れたりするという事態まで起きている。

 そうやってゲーマースコアのポイント争いが白熱した結果として、当然出てくるのがチート(違法行為)によるポイントの改竄である。内部データをハッキングして修正してしまったり、シングルプレイ時に発見されないようにチートを使って実績解除を簡単にするといった行為を指す。もしこの様な行為が広まってしまっては、実績解除に燃えるプレイヤーのやる気を殺いでしまう事になり、実績の価値が薄くなってしまうのでそれだけは何としてでも避けなければならない。そこでMS側では厳しい管理体制を敷いて、実績行為のチート防止や、チート発覚時の罰則強化に努めている状況にある。


 そしてGFWL対応ゲームのPC版にもXbox Liveと共通の実績機能(ゲーマースコアは二つのプラットフォームにて共通で計算される)が導入されているのだが、PCではゲーム内のファイルをエクスプローラで簡単に参照可能である, マルチタスクが可能なのでハックツールを別に起動しておいてチートを行えるといった問題があり、また別のレベルのチート対策が必要になってくる。

 SteamでもSteamworksの導入により自社内での実績機能を持つようになったが、こちらでもチート対策が重要視されている点は一緒である。ただチート対策の方法が両者は大きく異なっており、それが原因でお互いに別々の大きな問題点を生み出してしまっている


 先にSteamの方だが、こちらのチート対策はオンラインでの認証システムになる。つまりオンラインに接続していないと実績が解除出来ないというやり方。このシステムだと例として「最高難易度でゲームをクリアする」という実績において、クリア寸前のセーブデータを他所から持ち込まれても、サーバー側で「最初のチェックポイントから全てを順番にクリアしているかどうか」をチェックしていれば、クリアだけを達成しても実績解除にはならないのでチートを防止出来る(実際にどうやってチェックしているのかは知らないが)。「XをY回達成する」タイプも同じで、サーバー側で回数をカウントしていれば良い。

 だがこの方式はマルチプレイでは何の問題も無いが、シングルプレイでも常時接続状態にしておかないとならないという点が不味い。Ubisoftが「シングルプレイのゲームでも常時接続を維持しないとプレイ出来ない」というプロテクトを使用しており猛反発を受けている事からも解るように、この方式に対しての不満は相当に大きい。オフラインモードにすれば接続を切ってもプレイ出来るが、これでは実績が解除出来ないので、「実績は解除したいが常時接続は嫌だ」という人に取ってはSteamは駄目なシステムという事になってしまう。


 対するGFWLではXbox Liveと同じで、オフライン状態でも実績を解除可能である。LIVE に接続していない時に取得した全ての実績は、次回LIVE にサインインした際に自分のプロフィールに正式に反映されるようになっている。しかし問題はここからで、オフラインでの実績解除時にチートやデータのハッキング行為が発生しないように、セーブデータの暗号化や、セーブデータの移行(他のセーブデータを持ってくる)制限等のシステムを組み込んでおり、これが原因で幾つかの問題が発生しているという状況である。

セーブデータのトラブル

1.セーブデータの破損
 ゲームのセーブデータが破損してしまう事はどんなゲームでも起こり得るが、GFWL対応ゲームでのそれは明らかに頻度が高い。GFWLではゲームのセーブ時にそのデータの検証(チートを使っていないか, ハックツールにより改竄されていないか)と、保存された後にデータをハック出来ない様に暗号化というプロセスを行っている。しかしそのプロセスが追加される関係から、何等かのエラーやタイミングでセーブデータが正常に保存されないという事故が比較的発生し易い様だ。ゲームが途中で異常終了してしまった時にも発生し易い。なおこれはゲームによっても差があり、掲示板にその手のトラブル報告が多い物と少ない物が在る。

 被害度の大きさはゲームのセーブシステムによって変わり、任意にセーブが出来るようなゲームや、チェックポイントの履歴を保持するゲームでは復旧地点が近くて済むが、1箇所だけのチェックポイントを上書きするだけのゲームではチャプターの最初に戻される事になる。もしゲームをクリアしないとチャプター選択が出てこないゲームだったら最悪だ。更に最新のセーブだけではなく、全てのセーブ地点が読み込み不能になるというケースも在るようなので、それもまた酷い事態になる。

 よって定期的なバックアップをしておくべきなのだが、その辺のやり方の解説がGFWL側からは公開されていない。一応分かっている方法は以下の項目で説明する。


2.セーブデータの移行
 Steamではオンラインで実績解除を監視するという制限がある反面、セーブデータを移す事自体に制限は無い。普通のゲームと同じで、データの保存されているフォルダを見付ければそれをバックアップしておくだけである。新マシンでのリストアもそれを元の場所に戻すだけとなる。

 しかしGFWLではオフラインでも実績が解除可能なので、セーブデータを自由に移されてしまっては困る事になる。実績解除寸前のセーブデータを他から持ってくるとか、実績の達成状況を記録しているファイル自体をハックして書き換えてしまうというチートも起こり得る。そこでGFWLでは実績を記録出来るLive ID(プロフィール)については、異なるLive ID間でのセーブデータの移行が出来ないという風にしている。オフラインプロフィール同士ならば実績が解除出来ないので問題無いが、オフラインプロフィールをLive IDへと昇格させる際にはそれまでのセーブデータは全て消えてしまう。これはオフラインプロフィールで実績を解除し易い様にしておいてからLive IDへと昇格させるというチートを防止する為の措置。


 新規PCやOS再インストール後のデータの移行方法は後に説明するが、問題はデータの移行を制限しているゲームが存在している点。具体的にはセーブデータを作成したPCを、ハードウェア情報や使用OS等のデータにより個別に特定する機能を持ったゲームがあり、「新規PCへのセーブデータ移行」, 「別のPCとのデータ共存」, 「既存OSをアップグレードにより別OSへと変更」した場合には、セーブデータを戻してもそれを使用出来なくなる事がある。最悪のケースではセーブデータを制作したPCとOSの組み合わせでないとバックアップしておいたセーブデータを戻せないので、そのPCで最後までクリアするしなく、また将来的に別PCでプレイする際にはセーブデータが無いので最初からやり直しになる(チャプタークリアの状況は残っている可能性はあるが)。

 GFWLの共通仕様以上にチート行為に厳しく対応するシステムを導入するのかどうかはメーカー側の対応に任されているらしく、ゲームによってどこまでのバックアップが可能なのかどうかは異なっている。或いは発売された当時のGFWLのバージョンによっても変わるというのも考えられる。


 以下はネット上を検索して調べてみたゲーム別のセーブデータ移行の可否情報であり、意見が異なる物も在ったので正しいのか保証は出来ない事をお断りしておく。ややこしいのは同じOS間ならOKだが、異なるOSへの移項は駄目というケースがあり、これにはXPとVista & Windows 7ではフォルダ構造が異なるというのが影響している可能性もある。情報を挙げている人も様々なOS間での移項テストを行える訳ではないので正確性には限界があるのが現状。それとGFWL側のアップデートによりチート対策が強化されたりした際には、可能だった物が不可になるというケースも有り得るので注意。

 ※この件について、バックアップや他PCへのセーブデータ移行の成功・失敗に関する情報をお持ちの方は提供して欲しい


*Gears of war - 一切の他PCへのセーブデータの移行が不可というアンチチートが組み込まれている
*Halo 2 - セーブデータをオンラインでサーバー側に保持するのでバックアップ自体は不可。PC変更後にそれを読み込めるのかは不明。
*Lost Planet Colonies - 不可(オリジナル版のデータをこのGFWL対応の拡張版へと移す事も不可)
*Juiced 2 - 不可


 以下は可能なゲームのリスト。

*Batman: Arkham Asylum
*Battlestations Pacific
*Fallout 3
*Fuel
*GTA IV
*Hour of Victory
*Kane & Lynch
*Resident Evil 5
*Street Fighter IV


 なお将来的にはSteamのクラウドの様にオンライン上にセーブデータを保持する機能をGFWL側に標準で持たせるらしいので、それを使えばかなり制限が緩和されるかもしれない。


3.Live IDとの関連
 Live IDでサインインを行うと、ローカルプロフィールでのセーブデータが消えてしまうゲームが在る。私の実験ではGears of Warが該当。また似たような障害だが、Live IDを新規に作成した時点でローカルのセーブデータが消えてしまったという報告もあり。先に「常にオフラインでプレイする場合でも、最初からLive IDを作成してそれでオフラインサインインを使うべき」と書いたのはこの件も関連している。


4.設定ファイルの暗号化
 ゲームの難易度に影響するようなパラメータを変更させる訳にはいかないので、その様な設定が書き込まれたファイルは暗号化されてアクセス出来ない様にされている。しかしどこまでをチート行為と見なすかは人によって異なり、例えば「FOVの値を広げると広範囲が見える様になるのでこれはチートである」とされて、それを変える設定を含んだファイルが暗号化されてしまい、設定ファイルをいじってFOVの値を変えられなくなる事も考えられる。

 同様に設定関連を収めたファイルはcfgやiniファイルとして大抵まとめられているので、その設定ファイルが暗号化された結果、ゲームの難易度には影響しない様な設定も同時にいじれなくなってしまうという弊害もある。


5.チートが不可
 ここで言うチートとはシングルプレイにおけるチートの意味である。コンソールからのチートコマンドや、有志が制作するTrainer(メモリハックによるチートツール)の類は使用出来ない。それが用意されているゲームも在るようだが、使った場合にチートが検知されてゲーマースコアがリセットされる等のペナルティを受ける危険があるので、やるならそれを考えた上で使って貰いたい。Steamでは「チートは使えるが、使うと実績解除には反映されない」というのに比較すると制限が厳しくなっている。

 これのどこが問題なのかというと、「セーブデータが破損してやり直しになったゲームで、早く元の地点に到達する為にチートが使えない」, 「バグで先に進めない際にNoclip等のチートで先に進めてしまう事が出来ない」, 「チートで内部のパラメータをいじって遊びたいという時にそれが出来ない」, 「単純にチートを使いたいケース」等。

セーブデータのバックアップ
 GFWL対応ゲームのセーブデータのバックアップ及び、別のPCへの移行方法について述べる。

 先にエクスプローラのフォルダオプションから隠しフォルダを全て表示させるようにしておく。次にゲーム自体のセーブ用フォルダを探してそれをバックアップする。なおセーブデータが小さいゲームでは、そういったフォルダ内にはオプション関連のユーザー設定ファイルしか入っていないという事もあるようだ。

 これはいろいろな場所に存在しており、以下はその可能性のある代表的な場所。ゲーム名でCドライブを検索してみるという手もある。非常に解り難いケースだと公式掲示板で質問と答えが出ていたり、ゲームのサポート頁にてアナウンスされている事もある。

1.インストールしたゲーム自身のフォルダ内(これはXP以降のゲームでは稀なのでGFWL対応ゲームでは無さそう)
2.マイドキュメント内(その中のMy Gamesフォルダ内も確認。ゲーム名ではなく、会社名の下にフォルダが存在するゲームも在る)
3.以下のユーザーフォルダ内

 (Vista, Windows 7) C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\
 (XP) C:\Documents and Settings\<ユーザー名>\Local Settings\Application Data\

 C:\Documents and Settings\All Users\Application Data\ のAll Usersの方に入っているケースもある


 何より重要なのが“XLive”フォルダのバックアップで、これをやらずに既に消してしまっている場合にはセーブデータだけが残っていても復旧出来ない。これは以下のフォルダに在る。


 (Vista, Windows 7) C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Microsoft\XLive
 (XP) C:\Documents and Settings\<ユーザー名>\Local Settings\Application Data\Microsoft\XLive


 これらをバックアップしておいて双方を同じ場所に戻す。なお新規PCにてゲームのセーブフォルダの方を戻す際に、ゲーム起動後に何等かの形でセーブを行い、それによってセーブ用のフォルダをゲーム自身に作らせてから戻さないとならないゲームもある模様。ここで“XLive”フォルダの方は新規PCにGFWL対応ゲームを全てインストールしてから、元のPCの物を書き戻す形を推奨。先にフォルダの方を戻してから、後にゲームをインストールした場合はどうなるのか情報が無いので。



 バックアップ時の注意点を幾つか。“XLive”フォルダのバックアップ方法には二つの説があって、一つは丸ごとバックアップして戻さないとならない説。もう一つは特定のファイルだけをバックアップすればOKという説。その下のContentフォルダ内にはアカウント毎に英数字を羅列したフォルダが作成され、更に下層に降りていくと8桁の英数字によるgpdファイルが出て来る。これが各ゲーム用の暗号化データを保存したgpdファイルとなり、名前からでは判断出来ないがアクセス日時を見ればどのゲームの物なのかは判別可能である。だからこれだけを保存しておけば良いという話になる。この手法が有効なのかはゲームによっても異なる可能性があり、ハッキリした事は解らない。

 しかし各ゲームのセーブ仕様の詳細が解らない以上は“XLive”フォルダ全てを保存する方が安全である。けれどもそうすると一つ問題が生じる。仮にAとBという二つのゲームを平行してプレイしていたとして、両者が25%の進行状況にてバックアップしたとしよう。その後Aが50%進み、Bも50%進んだ所でBのセーブデータが壊れてアクセス出来なくなったとする。この場合バックアップを戻してBが治ったとしても、全てを上書きしているのでAの方も25%の時に戻ってしまう事になる。バックアップ内から上記の様にしてBに関連するファイルだけを探して戻してみるという方法はあるが、それが上手く行くのかどうかや、フォルダ内全体での整合性の問題でチート扱いされてしまう危険性は否定出来ない。

 よってLIVE対応ゲームのシングルプレイを行う場合には、平行して複数の物をプレイしないで、一つを完全に終わらせたら次に移るという方が安全である。同様に複数のPCにてセーブデータを移行しながらプレイするのも避けた方が無難。

 また新規PCへの移行後にデータがちゃんと戻せないというケースも考えられるので、移行時には旧PCのHDをフォーマットして流用したりせずに、少なくともCドライブのデータは残しておく(或いはバックアップを採っておく)べきだろう。同一PCにおけるOSの再インストールやOSグレードアップの際には、その前にCドライブのデータのバックアップを採っておく。新PCにセーブデータが移せないという最悪のケースでも、旧PCを残しておけばそちらでクリアする事が出来る。


Xliveフォルダのバックアップを戻す際には、上書きではなく削除後に戻すようにする。過去のファイルが残ってしまう事で思わぬ障害が
 発生する可能性も在るので。

*最後のセーブが壊れている可能性も在るので、ゲームを抜ける前にロードしてみてちゃんと読み出せるかを確認。壊れていた場合には
 どうなるものでもないが、少なくとも壊れているデータを上書きでバックアップしてしまうという悲劇は防げる。

*良くあるアドバイスとして、ゲーム終了時に直接デスクトップに戻るのではなく、メインメニューに戻るを選択してそこを介してから終了させた方が
 セーブデータ破損の危険は減らせるとある。

*シングルプレイ終了後にそのままマルチプレイに移行したり(或いはその逆)すると、セーブや実績が更新されないという障害が発生する恐れ在り。
 シングルプレイとマルチプレイの記録用フォルダを別にしているゲームが在って、その場合にシングルプレイのデータがマルチプレイ用のフォルダに
 書き込まれてしまったりするので、次回アクセスしても読み込めない。よってシングルプレイとマルチプレイを切り替える場合には、
 
一度ゲームを終了させてから行う方が安全である。


*バックアップをその都度上書きで置き換えるのではなく、最低でも2セットのバックアップ履歴を保持して置いた方が安全である。
 Xliveとセーブデータのフォルダをセットにして、001, 002といった感じで保存しておく。

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