<メロディの魔術師=ルーク篁>
メロディーなんて、ただの音の高低や長短の羅列だと思うんですが、どうしてその組み合わせ次第で、こうも人の心をうつのでしょう。
私はよく夜中に、近所の某焼肉チェーン店にいくんですが(笑)、
そこでは必ずヒット曲がインストにアレンジされた有線が流れています。
インストゥルメンタルでは、メロディーが裸にされます。
意外な曲が、実はすごく良いメロディーだったり、案外つまらなかったり、驚くほどはっきり感じることがあるのです。
そんな風にメロディーが裸になったとき、篁さんのメロディーは心に響く。
鼻歌でも、口笛でもよい。きっとオルゴールでもステキだ。
それが「ルーク篁=メロディーの魔術師」だと思った所以でした。
篁さんのメロディーについて、いつものように、感覚オンリーの渦音古的分析を行ってみました。
(1)AメロBメロCメロそれぞれに、ドラマを持ってる。
どこを切ってもよいメロというか…・。
それぞれに着地点があるというか…
だから、サビからはいっても、他のメロディが見劣り(聴き劣り)しない。
「エガオノママデ」(※1)のように、Bメロからサビにいかず、ソロへ展開する曲があります。。
BからAに戻ってソロにいく「火の鳥」(※2)なんていうのも発見・・・。
AメロやBメロがただサビへの経過音的な要素しかもっていなければ、こうはいかないんではないか…、物足りなさを感じてしまうんではないかと思うのです。
AメロにもBメロにも完結したドラマがある。だから組み合わせ自由自在なのかな?と思ったのです。
そのあたりは、コードやコーダや、組み立てられた展開のおもしろさでドラマを作る清水さんの手法と好対照なのかもしれません。
(2)よい意味で音がつまっている。
ギタリストにありがちな、リフ先行でその隙間をメロディで埋めてるという感じがない。だから、単独のメロでもかっこいい。
(3)直球タイプ。キャッチーでわかりやすい。
「TEENAGE DREEM」(※3)や「真昼の月」(※4)のように、イントロ等に歌メロがモチーフとして使われている曲もあり、
キャッチーでインパクトのあるメロディであることを物語っているのでは。
等々・・・
ルーク篁さんが加入後すぐのアルバムに「ROCK'N'ROLL PRISONER」という曲を書いてきたとき、エース清水さんは「よしっこれでこのバンドはいける!」と思われたそうです。
それから12年、まさしく公約の1999年末までバンドは存続し、篁さんは聖飢魔IIのトップメロディーメーカーとして、その座を不動のものとしていかれたのです。
いつの間にか、聖飢魔IIから(正確には音楽を聴くことから)フェイド・アウトしてしまった私が、篁さんを「メロディーの魔術師」だと思ったのは、解散の数ヵ月前のことですが、
14年も前に名曲<エルドラド>に傾倒していたことは、「エルドラド考〜4つのEL・DO・RA・DOと作者」の記述のとおりです。
実は彼の存在も知らない頃から、そのマジックにかかっていたのかもしれません。
現在篁さんは次なる活動に向けて、アプローチを始められています。
個人サイトの開設、ヴォーカリストの公募。等々。
以前、篁さんが「俺は聖飢魔II用に曲を書いている。」旨のコメントをされていた記憶があります。
さて、篁さんらしさとは?、そのマジシャンのシルクハットから現れるものは・・・
ハトなのか、花なのか、それとも???、
わくわくします。
(2000年11月18日)
※1 アルバム「MOVE」の一曲目。デーモンさんの切ないボーカルと篁さんのなきのスライドギターがよいです。詳細は作品紹介へ
※2 アルバム「NEWS」に収録。アコースティックギターとディストーションの効いたギターサウンドのコントラストに魅せられます。詳細は作品紹介へ
※3 アルバム「PONK!」に収録。聖飢魔IIのイメージを覆すメロディアスな名曲。
※4 アルバム「NEWS」に収録。コーラスが見事!詳細は作品紹介へ
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