2010 フランス公演日記
本文へジャンプ 4月28日 

2010年 フランス公演日記

2010年3月23日(火)〜4月1日(木)
3月29日(月) カンヌ公演

朝、ホテルでメールチェックしていると携帯が鳴った。
ABCのディレクターから。
そうやった!。
8年半レギュラー出演してたABCラジオの「元気イチバン」が最終回で、
カンヌから電話で生出演するねやった。
30分後に本番に入ると言うので、その間にシャワーをそそくさと浴びて準備。
フランス公演の報告をしてリスナーに8年半のお礼を述べて国際電話での出演が終わった。
朝食を取る時間が無くなったのでそのまま支度。
ホテルのロビーに集まって、歩いて10分ほどの公演会場までガラガラ荷物を引いていく。
カンヌの会場はEspace Miramarという400人ぐらい入るホール。
ここにはちゃんと技術スタッフがいるので、こちらの注文通りてきぱき設営が進んでいく。
カンヌ映画祭の会場のひとつでもあるらしく、映画用のスクリーンが下ろされ、
その前に高座が組まれているが、舞台のかなり前なので、
舞台袖の鳴り物班からは高座が見にくい。
よく見るとこのスクリーンには小さな穴が無数に空いていて、
スクリーン裏から高座や客席が見える。
ならばとスクリーンの真後ろに三味線や太鼓を配置して照明を調節して見てみると、
客席からは全く後ろは見えないが、裏からは高座や客席がよく見える。
これなら演者の動きに合わせてはめものも演奏しやすい。
いつもなら舞台袖の幕の間や御簾を透かして高座を見ながら、つまり真横から演奏するが、
高座の真後ろから演奏するなんてみんな初めて。
おまけに客の顔までよく見える。
あらかた設営終わったところで昼食タイム。
こちらも一時間半の休憩。
スタッフに向かいのベトナム料理屋を勧められてそこで昼食。
テーブルの透明シートの下には映画祭で訪れた世界の映画関係者の名刺がびっしり張られている。
中には日本の配給会社やエイベックスの人の名刺も。
ついでに僕も名刺をはさんで来た。
ここの料理は大ヒットやった。
どれもこれもうまい。
ただ従業員の数が少なく、表回りが山城新伍に似たおやじ一人で切り盛りしてるので
てんてこ舞い。
ここもやはり昼食に一時間半かかってしまった。
昼食後、プロジェクター・音響・照明の調整をして、またお香の解説から通しリハ。
字幕のタイミングもあるが、スタッフに一通り見せておくと段取りも安心。
舞台袖と字幕のカーンとの連絡用に無線機を持ってきてるが、
今日の公演は進行する人間がいない。
客入れの状況などがわからないので、もう一台ある無線を伊藤さんに渡し、
伊藤さんから客入れの状況を判断して公演スタートを連絡してもらうことにした。
でも無線が3台あると混乱するのでコードネームを決めることにした。
前は字幕のマイケルも福矢もいつまでもインカムの操作がわからず、
両方ボタン押しっぱなしでしゃべってたりしてたので、コードネームは「アホ1号」と「アホ2号」やった。
今回は伊藤さんが「ジュテーム1号」でカーンが「ジュテーム2号」、
福矢を「ジュテーム3号」と決めた。
でも「ジュテーム3号からジュテーム1号へ」「はい、こちらジュテーム1号」
などとやり合ってるのはおかしかった。
開演の7時半まで少し時間が空いたので、街を散策してみることにした。
まず会場前からすぐそこに見える海に出て、海岸沿いを歩く。
浜辺にはカフェが並んでいて、カフェに入らないと砂浜に出られない。
みんなプライベートビーチのようになっている。
天気もいいし暖かくて気持ちいい。
それからヨットハーバーで豪華クルーザーを見て歩き市街地へ。
ショップをのぞいて行くと、おしゃれなシャツが目に入り、そこで僕とひろばは自分用に服を買った。
夕方ホールに戻ってちょっと休憩。
僕は開演前にまた雑誌のインタビュー。
「カンヌ・ソレイユ」というカンヌの情報誌の取材。
写真撮影もあるので着物に着替えて、伊藤さんの通訳で30分ほどインタビューを受ける。
開演前に主催者であるカンヌ市の代表と日仏協会の会長さんらが挨拶したが、
マルセイユの日本総領事もわざわざ来てくれて舞台挨拶。
そしてまたお香の解説からスタート。
会場は大きいが客の入りはイマイチ。
後で聞くと公演日を間違って掲載したり、宣伝が行き届いていないよう。
でも反応はここも上々で、ちゃんとツボでよく笑ってくれた。
終演後着替えているとカンヌ市や日仏協会の役員さんが挨拶に来られ、
カンヌ市からはカンヌの写真集と映画祭の豪華記念パンフを全員にいただいた。
それをみんなに配布するとき「カンヌ市から」と言うと、
みんな「え?神主?」と聞き返す。
まぁむりも無いけど・・・。
その後先ほど舞台挨拶された総領事も楽屋に訪ねてこられた。
ところがこの総領事の顔を見て思い出した。
8年前のベルギー公演の時にお世話になった塚原さんだった。
その時は在ベルギー日本大使館の広報文化センター所長だったが、
今は出世してマルセイユの総領事になっておられる。
意外な所で再会した。
10年も海外公演を続けているとこういうこともあるわなぁ。
世界中に知り合いがいる。
撤収後一旦ホテルに荷物を置きに帰って、市役所そばのイタリアレストランへ。
日仏協会の皆さんと共に夕食。
ピザを注文したが半身だけど一人で食べきれない量。
会食終了後、最終公演の打ち上げとして撮影班の野田氏が見つけていたアイリッシュパブで
改めて乾杯。
お香班3名は明日帰国するが、落語班と撮影班は残って最後に完全休養日となる。



カンヌの公演会場Espace Miramar。


コートダジュールの浜辺。


カンヌ映画祭でも使っているスクリーンに字幕を映す。
この裏で三味線や太鼓など鳴り物班が演奏している。



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