<食事に恵まれた日>
日本海に近い、とあるキャンプ場にやってきた。ここは海辺の松林の中にあって環境は最高。そして、管理人さんがいて炊事場などの設備が整っていて清潔。にもかかわらず無料という天国のようなキャンプ場だ。
キャンプの前に管理人さんとしゃべっていると、「隣町に漁港があって、その近くにおいしい魚屋さんがあるんだよ」と教えてくださる。さらに、「その店先で採れたての魚を焼いていて、これがまたうまいんだよ」とも。
さっそく自転車をとばして隣町へ行き、焼き魚を仕入れる。ついでにとれとれのお刺身も。さすがに海辺だけのことはあって、安い。うれしい。
海辺に腰掛けて、刺身と焼き魚で夕食をとる。これがまたうまい。一人幸せにひたっていると、となりでキャンプしていたおじさんが、
「このちゃんぽん、冷凍だけどおいしいんだよ。一個余分に買ってきたから、あげるよ」
と言って、具のいっぱい入ったチャンポン麺をくださった。暖かいチャンポンをすすりながら夕暮れの海を眺める。東の空から満月が昇ってきた。美しい。旅に出てよかったなあ、ほんと・・・。しあわせ。
<食事に恵まれなかった日>
東北地方のとある河川のちかくにある公園に到着。キャンプ地を探すのにかなり手間取り、もうああたりは真っ暗だ。これからテントを設営し、食事を作らなければならない。
さて、めしは何にするかな?今日は何も仕入れてこなかったから、買い置きのレトルトにするか・・・。あれ?ない。しまった、一昨日食べた100円カレーが最後だったのか。くそー、しゃーないな、ご飯だけ炊いてふりかけでもかけて喰うか。
あ、変な臭いがするな。あちゃー、お米焦がしてしもた。もう、何回米炊いてるんや。でも、もれしか喰うもんないもんな。しゃーないか。ありゃ、上の方はまだ芯があるな。もう最低やな、これ。せやけど捨てるわけにはいかへんしな、もぐもぐ。
うーん、なんか物足らんな。なんかないかな?
あった、カロリーメイト。これ食べよ・・・、うっ、粉々になってる。ま、口に入れたら一緒や。流しこも・・・。うわー、口の中ぱさぱさや。水飲も、水。げ、水がない。さっき米炊いたんが最後やったんか。あーもう、ええかげんにしてくれー。自転車ほかして、電車で家帰ろかな・・・。とほほ。(ふてくされて寝る)
<考察>
このように、食事の善し悪しによって旅の気分は最高にもなるし、最低にもなりうる。最低ということはほとんどないが、最高ということはもっと少ない。最高と最低の中間ぐらいということが多いわけだが、食事のグレードを少しでも上げるためには、常に細心の注意と努力をすることが必要である。
旅における食事の方法は、自炊する、弁当・総菜などをスーパー・コンビニなどで購入する、安い食堂で食べる、高いレストランで食べる、人に食べさせてもらうなど様々である。
ちなみに私の場合は、キャンプをした場合、朝食・夕食は自分で作る。朝はパン+紅茶・スープなどで簡単に。夕食は、キャンプ地の近くにスーパーなどがあれば、肉・野菜などを勝ってきて、焼く・煮るなどして簡単に調理する。食材が手に入らなければ、あらかじめ買っておいたレトルトのカレー、牛丼などを適当に引っ張り出してきて食べる。米は必ず自分で炊くようにしていた。昼食は、外食または市販の弁当。安くて、おいしくて、できればその土地の名物を・・・などと思うが、思うようにいかないことが多い。
要は、上に書いたような様々な方法を、自分の予算や旅のスタイルに併せて組み合わせるのである。ただし、いくらお金があると言っても、毎日必要以上に豪華な食事をとると、健康に害を及ぼす可能性があるので気をつけてほしい。(例:朝−中華バイキング、昼−豚カツ定食大盛り、夜−フランス料理フルコース など)。また、金がないからと言って、あまりに貧相な食事をとると、これまた健康を損なう可能性が高い。(例:朝−インスタントラーメン、昼−インスタントラーメン、夜−インスタントラーメン)。体が資本の自転車旅行である。体をこわしてしまっては元も子もない。栄養のバランスにはできるだけ注意したいものだ。
「金」「栄養」「味」。この3つのバランスのとれた食事をとることが、キャンプを伴う旅において最も重要な課題であり、また楽しみであるともいえよう。
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