君にもできる?日本縦断自転車旅行(5)
                               キャンプ場をさがす

 「キャンプをしながら旅をする」
これが私が日本を長期間旅行するにあたっての大前提であった。理由はただ一つ。「金がない」。日本の宿は高い。ユースホステルでも1泊2食つきで4000円を超える。ライダーズハウスというライダー用の安宿があって、2食付きで1500円ぐらいだったりするが、これはほとんど北海道にしかない。金をかけずに日本をゆっくり旅するにはキャンプしか方法がないのだ。

 ところが、このキャンプをする場所を探すのがなかなかたいへんなのだ。一人用の小さなテントを張るスペースがあればいいわけだが、スペースさえあればいいというものでもない。まず、人に迷惑がかかるような場所はだめ。そして、一晩そこで寝るのだから、静かで安全が確保できる場所がいい。水が確保できればなおよし。景色がよければさらによし。ビールの自動販売機があれば言うことなし・・・、と欲望はつきるところがない。

 数あるキャンプ地の中で、とりあえず安心できるのが、キャンプ場だ。水は必ず確保できるし、炊事場もある。近くに無料の露天風呂があるという天国のようなキャンプ場もある。ただ、有料の場所がけっこうある。地図のキャンプ場の記号をたよりにして行くので、事前に値段がわからないのがくせ者で、行ってみたらオートキャンプ場で、テント一張り4000円などということもある。いつの間にキャンプはお金持ちの遊びになってしまったのだろう。
 そこまでひどくなくても、新潟県などはどこへ行っても判で押したように1200円でたいそう困った。私は旅の間1000円以上はキャンプに使わないと決めていたので、なんとか安くしてもらうように頼んだりすると、「駐車場だったらただでいいよ」とか言われてキャンプ場の駐車場のアスファルトの上にテントを張ったり、「2泊だけど1泊の料金でいいよ」と言われたり、けっこうなんとかなるものだ。(本当はなんともならないことの方が多いが・・・)

 ところが、キャンプ場というのは、設備はそれなりに整っているのだが、少し物足りない感じがする。面白みがないのだ。
 私がけっこう好きなのは、大きな川の河川敷。キャンプに向いた場所が結構多く、うまくいけばトイレがある場合もある。広々していて気持ちがいいし、何より私は、川の流れる音を聞きながら寝ることが大好きなのだ。
 しかし、河川敷もいいことばかりではない。橋桁にスプレーで「夜露死苦(よろしく)」とか「○○族 参上」とか落書きがしてあったり、4WDやバイクの轍がついているような場所はさける。夜中にちょっかいをかけられたり、テントごと車に轢かれたのではしゃれにならない。

 そのほか、ちょっと大きめの公園の茂みの中、橋の下などを利用したが、公園はけっこう夜中に人の出入りがあり、橋の下は車の音がうるさかったりしてなかなかうまくいかない。

 どうしても見つかりそうにない場合は、地元の人に聞く。いかにも困ったような顔で(実際困っているわけだが)、「このあたりにキャンプできるような場所はないでしょうか?」と尋ねる。すると、「そういえば、夏になるとあの辺でキャンプしている人がいるわよ」とかいって教えてくれる。
 ただ、鹿児島県のある場所に行ったときに、聞く人聞く人全員に「このあたりは毎晩のように暴走族がでるから、キャンプはやめておいたほうがいい」と言われたことがある。そのときは、たまたまシーズンオフで閉まっているキャンプ場を見つけたので勝手にテントを張っていたのだが、案の定、夜中に暴走族があたりを一晩中走り回り、なかなか眠れなかった。

 というように、キャンプ地を見つけることはなかなかたいへんな作業なのであるが、一種のゲームのような感覚で、それがまた旅の楽しみでもある。すばらしい自分だけのキャンプ地を見つけたときの喜びはなかなかのものである。ぜひ一度挑戦してみてほしい。

 余談であるが、キャンプ地探しにおいては、「苦労してキャンプ地を探し出した翌朝、走り出してすぐにもっとよいキャンプ場が見つかる」よいう法則がある。また、「夕方、もっとよいキャンプ地があるのではないかと思って先に進むと、絶対に前よりいい場所はみつからない」という法則もある。覚えておくと何かの役に立つかもしれない。(たたない・・・)

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