君にもできる?日本縦断自転車旅行(4)
体力について(4)
さて、琵琶湖一周旅行ですっかり自信をつけた私は、その後2週間まったくトレーニングすることなく、日本縦断旅行出発の日を迎えてしまった。よく考えてみると、琵琶湖一周の時はコースも平坦だったし、荷物も軽かったし、天気も良かった。しかし、これから走る日本縦断のコースの中にはたくさんの峠がある。そして、荷物も倍以上の量になってしまった。はたして大丈夫だろうか。出発の直前になって再び不安がおそってきた。しかし、ここはもう出発するしかない。今ないものは、旅の間はなんとかすればいいのだ。というわけで、不安を振り切り1998年9月11日、京都府八幡市の自宅から旅立った。
その後、私は舞鶴へ向かい、船で北海道へ渡り、約3ヶ月かけて鹿児島まで走った。走行距離は3800km。体力なし、根性なし、金なしの私がよくここまで走ったものだ。で、体力のことであるが、結局その後の旅の中で、体力が問題となるような場面はほとんどなかった。地図を慎重に読んで、できるだけ平坦な道を選んだし、走っているうちに徐々に体力が付いてきて、少々の坂道なら苦にならなくなってしまったのだ。 ということで、日本を縦断するにあたって、体力はそれほどなくても走ることはできる。(世界ともなれば話は別であるが)。もちろん、体力がないゆえの様々な制限はある。たとえば、とてもよい景色の場所がその先にあるとわかっていても、そこへ行くまでに峠があるという理由で行くことをあきらめてしまったことも一度ではなかった。コースもある程度限られてくる。体力があれば、また違う旅ができただろうなと思うこともあった。しかし、それはないものねだりというものだ。結局は、現在自分が持っている力を十分に知り、それに合わせた旅のスタイルを自分自身で考えればよいのだ。そう考えると、初日の失敗は自分の力を知るよい機会であったと思える。あの日の苦労がなかったら、自分は最後まで走れたかどうか・・・。 問題は体力のあるなしではない。自分自身の力を知り、自分に合った旅をすること。これが私が日本縦断の旅で得た旅の極意なのであった。 |