「ぎにゃーーーっ!!」
バリッ
キッチンでコーヒーを入れていると、濁音付きの猫の声とイイ音がした。
―――懲りないな…。
「ふーーーーっ!!」
今度は威嚇声…まあこっちは引っ掻きはしないだろう。
やれやれと、ヒイロは一旦手を止めて振り向いた。
「そろそろ諦めたらどうだ?」
「うるさーいっ」
リビングを覗けば、目に入るのは逃げまわる茶猫と腕に捕獲されてもがく黒猫。
それと、ブラシを雄雄しく掲げたデュオの姿。
「毛並みはいいんだ、磨けば光る素材なんだーーっ」
「………」
「いいんだよ、こーいう時は親馬鹿でっ」
頬に引っ掻き傷を付けつつ、頑張ってブラッシングをしたデュオの努力はとりあえず報われる。
次回のターゲットは取り逃がした茶猫だ。
とりあえず現在黒猫は、つやつやさらさら美人さん。
end.
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