手をぺろぺろ舐めて、顔をごしごし。
器用に耳の後ろまでくるっとこすると、もう一度最初からやり直し。
「………」
「に?」
毛繕いし損ねた箇所を見つけたのか黒猫が横からぺろりと舐めた。
一瞬驚いたらしい茶猫が、お礼にか今度は黒猫の毛繕いを手伝う。
食後にほぼ毎回見られるその光景を、デュオはだらしなくソファに転がった体勢で ぼんやりと見ていた。
「………」
「どうした?」
横に座ったヒイロが聞いてくる。
デュオは視線をちろりとそっちに流して、ぼそぼそした口調で答えた。
「いや、なんかもー慣れたと言うかでも当てられたと言うか…」
「いつもの事だろう」
「だからだろ」
この間のトロワの話だと、普通猫はここまで団体行動しないらしいし。
「変な猫…」
「始めからだ」
「まあ、そうなんだけど」
溜め息でも吐きたそうな言葉と同時によいしょ、とかけ声付きで起き上がると、
デュオはヒイロに抱きついた。
「……おい」
「…なんかやっぱり当てられたみてぇ」
不満いっぱいの顔で声で、デュオはぎゅうっとしがみついた。
猫のいる生活。
案外、ペットは飼い主の生活にも影響与えるものなのだ。
end.
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