猫を拾った。
茶色と黒の仔猫が2匹。
短毛でしっぽの長い、汚れてるけど毛並みがいいやつ。
「なーヒイロ、こいつらの名前何にしよっか」
「好きにしろ」
帰ってきたときからうきうきしてたデュオとは対照的に、不機嫌なヒイロが ぶっきらぼうに返してくる。
「…ご機嫌ナナメ?」
「………」
返事はないけどまあいいか、とデュオは再び2匹のネーミングに頭を悩ませだした。
せっかく飼うなら可愛い名前がいい。
「んーーんーーんーー…難しいなぁ…。 ―――いっそヒイロとユイとか?」
「おい」「にゃあ」
冗談半分で呟いた声に2つの声が被さった。
前者はあいかわらず冗談の通じないヒイロ。後者は……。
黒猫?
「『ヒイロ』?」
「にゃあ」
「………おいデュオ。まさかとは思うがこいつ」
「ぅにゃああん」
今度は茶猫。
「………。『デュオ』?」
「にゃーん♪」
「……『ヒイロ』」
「にゃあ」
「………」
「………」
二人共ひとしきり無言になった。
「………なーヒイロ、もしかしてさ、オレ擦り込んじゃった…?」
沈黙を破って、呆然とデュオが呟く。
ヒイロはどうでもよさげに肩を竦めた。
その時から、ここには同じ名前が2つずつ。
end.
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