◆ お鶴ちゃん一家のプロローグ・風来坊おつる
2013年・晩秋
お鶴ちゃんは11月になるとうちに出入りするようになります、お外が寒いので一時避難といったところでしょうか。
一度だけ茶色い男の子を連れて来ました (というか、なんの警戒心もなくお鶴ちゃんにくっついて侵入してきたのです) が
お子ちゃまたちのことはいつもお外にほったらかしです。
外でなに不自由なく生活している野良猫を無理やり家の中に閉じ込めても、野良さんにとっては
監禁されることへの恐怖と人間に対する不信感しか芽生えないので、ここは持久戦覚悟でじーっと我慢して様子をみます。
とはいうものの、このまま “めし家” にされてはたまらないので、お鶴ちゃんの反応もよーく見極めなくてはなりません。
最低限でも避妊手術には連れて行きたいと思っています。
気ままに暮らしている野良さんを捕獲した経験がないので、ここから先は未知の領域(笑)です。
ユメコのおねえさんが付きっきりでお世話をしてくれるので、ポチコやチビコに威嚇されてもあまり気にならないようです。
もともとお鶴ちゃんは少しぼーっとしていて、ユメちゃんに言わせると “トリアタマ” だそうです。(笑)
最初の頃はゴハンを食べては1階で所在なさそうにしていました、ずっと側についていてあげるわけにもいかないので
お鶴ちゃんを1階に残したまま2階で用事をしたりしていました、お鶴ちゃんの側にはユメちゃんが付いてくれています。
初めて2階へ案内したきには、ぶーにゃんずが勢ぞろいしているのに圧倒されて(笑)1階に逃げてしまいました。
まだこの頃は「帰りますにょよ、出して出して~」といっては出て行き、お外でお子ちゃまたちの面倒もみていたようです。
11月15日
お鶴ちゃんはずっと親猫にストーカーしています、側を離れないのでユメちゃんとチビコが少し嫉妬しています。
お鶴ちゃんは2階でくつろぐようになります、ベランダがお外とつながっていることを知って少し安心したようです。
おコタの存在も知ります、お鶴ちゃんが部屋の中でぬくぬくしている間、お子ちゃまたちはいつも
玄関先の自転車カバーの陰で寒さをしのいでいるのでした。
12月13日
夜、ものすごく冷え込んで雨風が強くなったので心配になって玄関を開けるとお鶴ちゃんが飛び込んできました。
ふたりのお子ちゃまたちも一緒です。
お子ちゃまたちは玄関に入りかけましたが、中に人が居るのに気がついてビックリして逃げてしまいました。
お子ちゃまたちは怖くて寒くて、一生懸命母猫のお鶴ちゃんのことを呼んでいます。
お鶴ちゃんがひとりで家の奥へ入ろうとしたので「ちゃんとお子ちゃまたちを連れて来なさい」と追い返しましたが
お鶴ちゃんはすぐにまたひとりで入ってきたのでした。
ゴハンを食べて2階へ上がってお布団の上でぬくぬくと寝てしまいます。
外では凍えるような寒さの中、暴風雨に怯えながらお子ちゃまたちが玄関先で泣き叫んでいるのに知らん顔です。
お鶴ちゃんが大顰蹙を買ったことはいうまでもありません。
【 写真 】
12月15日
お鶴ちゃんは1階から親猫が居なくなると自分から2階にあがってくるようになります、おコタのとりこです。
この頃のお鶴ちゃんは、お腹いっぱい食べてはおコタでほこほこして、お子ちゃまたちの元へ戻って行くという生活です。
玄関が開くのを待ち伏せしていて、足元をすり抜けて入ってきます。
しかーし、先にも書いたように、うちを “めし家” 扱いされてはかないません。
慈善事業でネコちゃんのお世話をしているのではありませんし、怪しい団体から補助金が出ているわけでもありません(笑)
ゴハンだけ食べに来て勝手に出入りしていいような場所ではない、ルールがあるんですよということを理解してもらうために
おコタのホコホコ生活を知ってしまったお鶴ちゃんを “お家に入れてあげない作戦” にでます。
幸いこの後、朝方雨が降る日が続きます、お鶴ちゃんは玄関先で待ち伏せができません。
どこかで雨露をしのいでいます、玄関の開け閉めの音を聞いてから飛んでくるまでに少し時間がかかります。
ちょっと可哀そうですが、顔を見てもお家には入れてあげません。
一度お家から出てしまったらなかなか暖かいお家は手に入らなくなってしまうのです。
お鶴ちゃんも少しずつ現実の厳しさだとか、共同生活のルールみたいなものがあるのだと知り始めます。
つづく・・・