2.1.2 風向部動作原理

風向は胴部の向きによって測定する。胴部の向きは尾翼の側面にかかる風圧によって変えられる。この風圧は尾翼の側面が風上に垂直になっているときに最大になり、プロペラが風上の方向に完全に向いているときはかからない。しかし、風圧のみでは風上の方向に向いて胴部は止まらず振動する。風上を向いて止まるのは回転することによって生じる空気の抵抗があるからである。すなわち風向に応答して動く胴部の向きは、風が復元力として、回転運動による空気抵抗は回転速度に比例もしくは2乗に比例する抵抗として、軸周りの摩擦は一定の抵抗として働く、減衰振動となる(図2.3参照)。風向に対して一定の角

図2.3 風向部動作原理

度を持たせた胴部が減衰振動をして正対するまでの過程において、その63%に達するまでに必要な風程を周期定数といい、これは風速によらない定数となる。風向は胴部の回転によってそれが向いた方向で測定されるため、風向に対する追従性は風向回転軸周りの慣性モーメント、風によって発生するトルク、摩擦力によって決まる。また胴部を動かすのに必要な最小の風速を風向計の起動風速という。

このようにしてプロペラのついている部分が風上を向いた胴部の向きは、80型ではトルクシンクロ方式で検出し、95型ならばロータリーエンコーダで検出する。ロータリーエンコーダは光学的に位置を読みとる方式だが、トルクシンクロ式は電気機械的な方式であるので、摩擦が大きくなる。
得られた位置信号はデータ変換部に送られ、風向に変換される。

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