MS−DOSで省略されている機能


 ここでは、MS−DOS以外のOSで、比較的簡単に実現できる機能のうち、MS−DOSでは省略されている機能について説明します。

1.マルチユーザー機能

 MS−DOSは、UNIXとは異なり、研究・教育機関や企業等用途ではなく、個人用途に開発されたOSです。このため、1台のコンピュータを複数の人で、利用するのに必要となる機能が省かれています。

(1)ユーザーのログイン・ログアウト、ユーザーの登録・削除・使用履歴等のユーザー管理機能
 ログイン・ログアウト等、ユーザーの概念が省かれているため、誰でもMS−DOS(OS)を起動すれば、コマンド入力(プログラムの実行)が可能な状態になります。
(2)ファイル・ディレクトリのユーザー・アクセス制限機能
 基本的にOSレベルのファイル・ディレクトリ保護機能が無いため、すべてのプログラムやデータへのアクセスが可能です。よって、特定ユーザーは重要なファイルを保護することはできません。
 なお、MS−DOS Ver3.3以降、共有データの不一致防止用として、ファイル単位でLANやローカル・ユーザーからのアクセスに制限をかける(ファイルアクセスモードによる)ことが可能になったようです。

2.マルチタスク機能

(1)プログラムの同時実行
 2つ以上のプログラムを同時に実行する機能は省かれています。1つのプログラムを実行すると、そのプログラムが終了する(プログラムからOSに制御が返される)まで、コマンド入力が可能な状態にはなりません。
 一部の機種のMS−DOSに、プログラムを終了させずに、コマンド入力を可能とする(プログラムを切り替える)、DOS Shell機能(たしかGRPH+TABで切替)がありますが、切り替えられたプログラムは(バックグランドで)実行しないようです。
 なお、時刻を表示しながら、あるプログラムを実行する場合、時刻表示のプログラムをメモリに常駐、タイマー割り込みさせることで実現可能ですが、時刻表示のプログラム側でメモリ常駐やタイマー割り込み、割り込み禁止処理などを作成(想定される事象に対処)する必要があります。

(2)プログラム実行制御
 プログラムの同時実行機能が省かれているため、プログラムを強制終了させたり、フォアグランドやバックグランドで実行させる機能がありません。また、実行優先順位を変更する機能もありません。

(3)自動タスク実行(時間指定によるプログラム起動)
 プログラムの同時実行機能が省かれているため、自動タスク実行の機能はありませんが、プログラム側で準備すれば実現可能です。

(4)スクリーン・セーバー
 プログラムの同時実行機能が省かれているため、スクリーン・セーバーの機能はありませんが、プログラム側で準備すれば実現可能です。

3.仮想メモリ機能

 MS−DOSのプログラムは、基本的にメモリ(RAM)の約600kB内(コンベンショナル・メモリ内)に読み込み、実行させる必要があり、また、マルチタスク機能が無いため、UNIXやWindowsのようなスワップ・メモリ機能は省かれています。
 なお、600kB以上となる大きなプログラムは、機能別にプログラムを分割して個々のプログラムとして実行させるか、予めプログラムを分割して、必要なときに該当するプログラムを直接メモリの一部へ読み込む手法(オーバーレイと呼ぶ)などを用いて、実行させることができますが、プログラム側で準備する必要があります。

4.ツール等

 MS−DOSには、WindowsやLinuxのような、ちょっとした、便利なツールがありません。便利なツールはVector等で探しましょう。

<便利なツールの例>
・電卓、カレンダー、ワープロ、ゲーム
・画像表示・作成ソフト、音楽系ソフト、通信系(ブラウザ、メール、FTP、ターミナル、FAX)ソフト


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