最新更新日:2011/11/06
ThinkPad X30、X31の部屋 元に戻る

2002年11月からわずか4ケ月しか販売されなかったThinkPad X30とその後継機X31シリーズのコンテンツです


簡単なスペック紹介
ThinkPad X30
ThinkPad X30はThinkPad10周年記念モデルとして天板がミラージュブラック(s30と同様)に塗装されたものが2002台限定で発売されました。

すぐに通常のブラックタイプが発売されましたが、わずか4ケ月で後継機のX31シリーズにバトンタッチとなりました。もともとPentiumMを搭載する予定で設計された筐体だったようですが、チップセットの供給が間に合わず従来のIntel830MGとモバイルPentium-IIIを組み合わせた状態で発売されたため、当初から短命なのはわかっていたようです。

X30の前身であるX24がIntel830MGとモバイルPentium-III 1.13G、それにATi Mobility RADEONを組み合わせたものに対し、X30はビデオ機能をIntel830MG内蔵のもので代用したため、明らかにスペックダウンとなってしまいました。そのため、発売当初から酷評されたようです。

しかし、PentimuMを念頭に置いた筐体のため、モバイルPentium-IIIを駆動するのには十分余裕があり、熱暴走しやすかったX24に比べると動作は安定していたようです。

チップセットの関係で、X30はUSBが1.1。メモリが144pinのSDRAMとなります。144pinのSDRAMは価格が高騰しており、最大サイズの1024Mbyteまで増設しようとすると、メモリ代だけで\20,000位(2008年2月現在)かかります。

ThinkPad X31
2003年3月に登場した、X31シリーズは当時最新のチップセットであるIntel855Mを採用し、ビデオチップもATi Mobility RADEONに戻されました。CPUはPentiumM 1.3G〜1.7GHz、メモリもDDRに対応し一新。USBも待望の2.0対応となり、BlueToothや無線LAN内蔵モデルも用意されました。2003年12月に後継機X40シリーズが登場しても、X31シリーズは併売され最終的には1.8GHzのX32となり、2006年まで販売されたのでした。

本体サイズはX30、X31とも共通で、幅273×奥行き223×厚み24.9〜30.2mm、重量は1.62〜1.64kg。X20シリーズより横幅は少し小さくなっています。6セルバッテリーが標準で、実稼動時間は約4時間と十分です。


所有しているX30、X31
X30 1号機(2672-12J)ベンチマーク
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumIII 1.06G、HDD 20Gbyte、メモリ128Mx2=256Mbyte(SDRAM)。WindowsXP Profesional


2008/02 \15,600で入手しました。大きな不具合箇所は、キーボードベゼル右角欠損。右側HDDケース部も折れていましたが、液晶パネル部分は問題ありませんでした。キーボードはかなりテカリがあり、文字欠けも少々ありましたので、キーボード&キーボードベゼルは交換しました。
上が交換したもの

無線LANが無いモデルだったのでminiPCI無線カード(Intel2200BG 11b/g)を購入して内蔵し、アンテナはX31シリーズ用の天板を入手し交換しました。

HDDはオリジナルのIBM Travelstar 40GN IC25N020ATCS04-0をそのまま使用し、メモリのみ256x2=512Mbyte仕様に変更してあります。

ベース自身は安価で入手できたのですが、色々部品を交換したため、合計で\30,000弱となり高くついてしまいました。



2009/04現在の状況
HDD 20G、メモリ512Mとそのままの仕様で、嫁さん専用パソコンとしてリビングで活躍しています。
X31 1号機(2672-B1J→2672-B2J)ベンチマーク
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumM 1.30G、HDD 20Gbyte、メモリ256Mbyte(DDR)。Windows2000


2008/03 \26,000で入手しました。X3シリーズにありがちな筐体の割れも無く、ウルトラベースX3付。難は液晶パネル内に白い点々が多数あることです。反射板についているカビと思われますので、分解して清掃するつもりです。
→後日、分解清掃を行い気にならない程度になりました。

システムボードをWindowsXPモデルの2672-B2Jへ変更。メモリは512Mを追加し、合計768Mbyteとしました。こちらも無線LANが内蔵されていなかったので、Intel2915ABGを内蔵しました。アンテナはX31シリーズ全機種内蔵なので、それを利用しました。

HDDはオリジナルのIBM Travelstar 80GN IC25N020ATMR04-0をそのまま使用しています。→後日32GbyteのSSDに交換しました。

2009/04現在の状況
メモリは512Mのままで、HDDをTravelstar 80GN IC25N020ATMR04-0に戻しました。予備機扱いでほとんど使ってません。
X30 2号機(2672-11J)ベンチマーク
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumIII 1.06G、HDD なし、メモリなし。Windows2000モデル


2008/04 \3,700という驚異の低価格で入手しました。この安さなので当然そのまま動作するわけはありません。キーボード&キーボードベゼル、バッテリーなし、メモリもHDDもなし(カバーやマウンタも欠品)のジャンク状態でした。
天板にはシール痕 入手時の状態 バラバラにして各部点検
バッテリーロック付近のボトムカバーが押されて変形していたので、熱風にて修復しました。

液晶パネル部分は2箇所あたりがあるぐらいで、発色もよく明るさも十分ありました。懸念していたBIOSロックなどもなく、システムボード自身はまったく問題ありませんでした。

キーボード&キーボードベゼルはX30一号機で取り替えたものをとりあえず取り付け。メモリカバーやHDDマウンタは別途入手し、メモリは256x2=512Mbyteに増設。HDDは手持ちのIBM Travelstar 40GN IC25N020ATCS04-0を取り付けて運用開始しました。

キーボードベゼルは、割れている箇所があるものを流用したので、修理を試みました。最初はプラリペアを使いましたが、材質が特殊なようでプラリペアの溶剤で溶けてくれません。とりあえずABS用接着剤で接着してみましたが、完全ではありません。
→2液混合のエポキシ接着剤で修理できました。

天板は綺麗になりました
天板のシール痕は\100均のシールはがしと、無水エタノールで綺麗に除去できました。

Windows2000で使いはじめましたが、全く同じスペックのX30 2台をどのように運用していくか、現在検討中です。
→とりあえずLinuxのubuntuを入れて勉強中です

2009/04の状況
HDD 6G、メモリ512MでLinux実験機として使用しています。もともとついていた液晶パネルはX31 2号機に移動し、こちらにはX31 3号機で使用していた傷ありピカピカ液晶を取り付けています。
X31(2672-CBJ)
2009/03 \1,500で入手。液晶割れで、起動しないと記載された超ジャンク品で、オークションではなく中古品通販で購入しました。システムボード修理技術向上のために入手しましたが、一般で入手できないIC(MAX1845)が壊れており、修理は出来ませんでした。

無線LANの液晶カバー、バックライト、反射板、プロダクトナンバー付のメモリスロットカバーなどを他に流用。現在は抜け殻になっていますが、流用できる部品が多数あったので、十分元は取れました。
X31 2号機(2672-PHJ)ベンチマーク
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumM 1.60G。HDD、メモリなしの下半身のみ


2008/04 \2,980で入手。0192エラーが出て起動しないジャンク品で、下半身のみの購入でした。EEPROM張替えで直ると安易に考えていましたが、セキュリティチップはそんなに甘くなかったです。
入手時の状態


結局、BIOS ROMをジャンク品のX31から移植して、見事修理完了となりました。液晶パネルとキーボードは上記X30 2号機から、キーボードベゼルは別のジャンク品から移植しました。

1.6GのPentimuM、ギガビットイーサと、最近のノートパソコンと比べても遜色のない性能で、満足しています。

2009/04現在の状況
HDDは32GのSSDに変更し、メモリも1024Mまで増設。無線LANも内蔵し、我が家のメイン機として活躍しています。



2009/06
miniPCI無線LANカードを純正(91P7303)と交換しました。Fn+F5でのON/OFFや液晶画面下のインジケータも、正常に点灯するようになりました。
X31 3号機(2672-B1J)
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumM 1.30G。HDD、メモリなし


2008/04 \3,300で入手。起動しないと記載されたジャンク品で、上記X31 2号機にキーボードと、キーボードベゼルを提供するためだけに購入しました。

キーボード&ベゼルを流用し、残りは部品取りとしてストックする予定でしたが、電源を入れてみたところ何の問題もなく起動しました。とりあえず、割れたベゼルや文字消えキーボードを取り付けて動作できるように復元しました。

液晶パネルは圧痕、カビ、当たりと最悪の状態でしたので、バラバラにし偏光板プリズムシートやバックライトを含むバックパネル一式を、液晶割れのものから移植しました。しかし、液晶パネル自身についていた、トラックポインタの圧痕がかなり目立っており、特に暗い画面の場合には気になります。
カビ、圧痕 ばらばらに プリズムシートなどを移植

どのように運用するか決めていませんが、とりあえずWindows SP統合CD作成後の動作確認用として使用しています。ぼろぼろの液晶は、表面をピカールで磨いて傷を消そうと試みましたが、傷が深すぎたため消えませんでした。しかし、副産物としてノングレア(つや消し)仕上げがうまい具合に剥げ、ピカピカ光沢液晶に変身しました。
ピカピカの光沢液晶に変身(-_-;)

2009/04現在の状況
液晶パネル(上半身)とキーボードベゼルを入手し交換し、ピカピカ液晶はX30 2号機へ移動させました。HDD 40G、メモリ512Mで2号機とほぼ同じ仕様となっていますが、予備機扱いでほとんど使ってません。さらにその後、キーボードも交換し、実験用のminiPCI無線LANも内蔵しました。

2011/11
まったく使っていなかったので、譲渡しました。
X31 4号機(2672-B1J)
\500で入手した起動しないシステムボードが修理できたので、不足していた部品をオークションで買い集めて一台出来上がり。キーボードベゼルは\980で入手。キーボードはテカリのあるものが一杯余っているのでとりあえず取り付けました。液晶パネルも\1,200の激安で入手しましたので、総額\2,700と激安です。

しかし、すでにX31は3台あるので使う予定は全然ありません。修理するのが趣味になってきたようです。


X30、X31の互換性
X30とX31では液晶パネルのフィルムケーブルとインバータが異なります。上半身交換で表示は問題ありませんが、miniPCIの無線LANカードが動作しません。

X31用は全機種無線LANアンテナ内蔵されていますが、X30は一部のみです。オークションなどで、X31用の無線LANアンテナ内蔵の天板のみを入手し、X30用と入れ替えることは可能です。

下半身は細かなパーツも含め、ほとんど互換性がありません。USBポートがX30は右、X31は左にあるためパームレスト、ボトムケースが違います。キーボードも、コネクタや取り付け方法は同じですが電源ボタン横のインジケータが違います。このパネルのみを取り替えれば問題ありませんが、はずせるかどうかは不明です。→取り外し方法がわかりました。下記↓
X30用インジケータ X31用インジケータ

CPUファンもCPUが違うため流用できません。ボトムケースの形状が違うため、システムボードを載せかえることもできません。
メモリスロットのカバーも形状やネジ位置が違うため使えません。
右側面の違い。上がX30 左側面の違い。上がX30
背面パネルは全く同じなので見分けがつかない。

バッテリーやウルトラベースX3は互換性があり使えます。HDDケースもまったく同じなので使えます。


キーボードの分解
インジケータの取り外し方法
X30シリーズとX31シリーズではキーボードのインジケータと、F5キー以外は全く同じです。インジケータは簡単に外すことができますので、完全に入れ替えることが可能です。

F5キー・・・・X31の場合は無線機器のON/OFF表示が記載されています。
インジケータ部分をパームレスト側に押し下げながら、持ち上げると外すことができます。 AccessIBMボタンも外せます

キートップの取り外し方法
場所によって固定方法が異なりますので、無理をしてパンタグラフを破損しないように注意が必要です。
トラックポインタ付近

他のキー(SHIFTやスペースなど)は、下からめくるように外しますが、トラックポインタ付近のF、G、H、Jのキーだけは上から外します。
ファンクションキー部分

右側(白いほう)から外します
カーソルキー部分

左側から外します

Enterキーは右側から外します
キートップがほとんど外れました

きれいなキーボードからキートップのみを移植します。


DtoDについて
X30シリーズ
電源ON後、画面下にF1とF12を押すように表示が出ます。一緒にF11を押す表示が出ている場合は、F11を押すことでDtoD領域にアクセスすることが出来ますので、リカバリーを行うことができます。

F11の表示が出ない場合は、DtoD領域が存在しないか、F11が無効になっているかのどちらかです。

F11が無効になっているだけなら、USAのLenovoサイトからd2dfdzip.exeをダウンロードし展開したファイルを、Windows98SEの起動ディスクにコピーします。出来上がったディスクを使いブートし、メニューから 1.Restore F11 message and function. を選択します。

X31シリーズ
電源ON後、AccessIBMのボタンを押すことで、DtoD領域にアクセスしリカバリーを行うことが出来ます。

DtoD領域
FAT32形式で、プライマリパーティション(基本領域)でフォーマットしていないと認識できないようです。


ドライバー関係のリンク
Windows2000、XPなどの古いドライバは
こちら
から探してください。


WindowsXP、2000用(X30)

その他のデバイス−PCI Device(その1)・・・・Intel チップセット・サポート 1 (Windows 98/2000/XP) - ThinkPad T30/X30
その他のデバイス−PCI Device(その2)・・・・トラックポイント・ドライバー(Windows 2000/XP/XP Tablet Edition 2005)
ディスプレイドライバー・・・・IBM ThinkPad X30 ディスプレイ・ドライバー (Intel 830MG)(Windows 2000/XP) Ver.6.13.10.3510
有線LAN、オーディオ、モデムのドライバーは不要
→WindowsXP SP3の場合は、ディスプレイドライバーのみインストールすればOK。

入れたほうが便利なドライバー
バッテリー情報・・・・バッテリー省電力機能パッケージはX2xシリーズとは共通だが、s30とは異なる。
ThinkPad 省電力ドライバー (Windows 98 SE/Me/2000/XP/Vista ACPIモード)
オンスクリーン表示ほか・・・・ThinkPad ホットキー機能 (Windows 98/98 SE/Me/NT 4.0/2000/XP)
→WindowsXP SP3の場合、ThinkPad 省電力ドライバーを入れないと不明なデバイスが残る。

WindowsXP、2000用(X31)
ディスプレイドライバー・・・・ATI ディスプレイ・ドライバー Windows XP/2000用 (ATI Mobility RADEON/FireGL)
モデム・・・・IBM ThinkPad AMR Modem II ドライバー (Windows 95/98/98 SE/Me/NT 4.0/2000/XP)
無線LAN・・・・インテル ワイヤレスLAN (11abgn, abg, bg) (Windows XP/2000)
トラックポイント・ドライバー(Windows XP/Vista 32-bit)

入れたほうが便利なドライバー
バッテリー情報・・・・バッテリー省電力機能設定 パッケージ
オンスクリーン表示ほか・・・・ホットキー機能 (Windows Vista/XP/2000)
ThinkPad 省電力ドライバー (Windows 98 SE/Me/2000/XP/Vista ACPIモード)

OS標準のドライバーで代用可
オーディオ・・・・オーディオ・ドライバー (Windows 98 SE/2000/XP)(対象デバイス SoundMax Integrated Digital Audio)
LAN・・・・IBM ThinkPad Intel(R) PRO/100/1000 LAN アダプタ ソフトウェア (イーサネット・ドライバー)(Windows 98/98 SE/NT 4.0/2000/XP, DOS, OS/2)


バッテリーについて
X20シリーズと似ていますが、微妙に形状が異なり互換性はありません。
X30シリーズはSANYO製セル、X31シリーズはPanasonic製のセルを使用しているようです。

SANYO製のバッテリはリコンディショニングを行うと、20%づつ容量が上昇するタイプです。

SANYO製のセルを使用しているタイプを殻割りしてみました。
基盤に搭載されているチップは、24C01R6(EEPROM)、BQ8011DBT、BQ29310PM。

24C01(EEPROM)のデータを読み出してみました


上はサイクルカウント392、満充電容量7.78Whのデータ。下はサイクルカウント394、満充電容量7.76Whのデータ。
先頭の00h〜01hのデータがサイクルカウント値になります。(10進数に変換します)
例)01 88・・・392、01 8A・・・・394

02h〜03hのデータが満充電容量になります。(10進数に変換します)
例)03 0A・・・778、03 08・・・776

この2箇所のデータをEEPROMライターで書き換えると、サイクルカウント値や満充電容量を変更することができます。

X30のバッテリー情報データは、2進に変換したり、上位下位を逆転したりする必要がなく単純。
一旦フル充電し3%まで放電させ、再学習させたところ満充電容量は49.54Whにアップ。
セル換装後のバッテリー駆動時間はフルパワーで約4時間と十分な稼動時間です。


起動不良の原因と修理
T2xシリーズが起動不良になるのと同様、X31シリーズも経年変化で起動不良が発生します。電源ONすると、キーボードインジケータが点灯し、CPU冷却ファンも回転するのですが、画面がまったく表示されません。また、メモリを抜いた状態で電源を入れても、エラー音が発生しません。

今までは、この状態になるとシステムボードを交換するしか修理の方法はなかったのですが、最近中国の掲示板でC683を交換すると直るといった記述が多く見られるようになりました。

検証のため、起動しないと記載されたシステムボードを\500で落札しC683を交換してみたところ、無事起動するようになりました。ただし、今回入手したものはスーパーバイザーパスワードもかかっていたので、ThinkPad 570から剥ぎ取ったEEPROM(24RF08)の張替を行いました。

今後、同様の障害が発生しても、たった1個のパーツを交換するだけで直ることがわかったので安心です。

C683は220μF 4.0Vのものです。Q45(FDS6986S)の入力に接続されており、さらにその先はU48(MAX1845)へ繋がっています。

参考図
ACアダプタを接続した状態での正常電圧
C683付近 拡大(すでに交換済み)
パスワード 570のEEPROMを移植